
午前10時、東京渋谷区にあるオフィスを出発し、フォレスターは一路東名高速道路を西へ向かってひた走る。目指すは紀伊半島の先端にある古座川町。ここにカメラマン梅田正明氏の旧知のアウトドア仲間がおり、彼に今回の旅の案内をお願いしたのである。
上田博久さんがその人。古座川流域を中心に、豊かな自然環境を舞台にカヌーやトレッキング、エコツアーなど、様々なアウトドア・アクティビテイを案内する『古座川アドベンチャークラブ』を主催していて、紀伊半島南部エリアの自然環境には通じた人物だ。
今月の表紙のテーマは清流。できれば、滝かゆったりと蛇行して流れる川を狙いたかった。川景色であればある程度の情報はあるのだが、滝となると既に観光名所となった場所以外に思い浮かばない。そこで幾重にも連なる山の中に無数の滝が流れるこの地をターゲットに選んだのである。
フォレスターは東名道から伊勢湾岸道路を抜け、東名阪を南下する。そのまま伊勢自動車道を下り、昨年開通した紀勢自動車道を終点まで走れば、そこから3時間ほどで目的地に到着するのだが、今回は途中、大台ケ原に寄って行くことにした。上田さんが大台ケ原まで迎えに来てくれ、案内してくれるという。15時30分、大台ケ原ドライブウェイの入り口に到着。ほどなく上田さんが現れ、先導してドライブウェイを頂上に向かって走り始める。坂道を登っていくにつれ、景色が開けて眼下には幾重にも重なる深い山並みと、その間にたなびく乳白色の霧とが織り成す幽玄な風景が広がる。
「一番奥に見える山が、左から釈迦ヶ岳、仏経ヶ岳そして弥山です。熊野の山々は古くからの修験道となっているんです」
と、説明してくれた上田さんご自身、かつて熊野から吉野まで続く道を、宿坊に泊まりながら修行して歩く奥掛けを経験し、これらの峰を踏破したのだという。
駐車場にクルマを駐め、トレッキングシューズに履き替えて山頂の日出ヶ岳を目指す。途中、低い熊笹に覆われた斜面では、何頭もの鹿の姿を見かけた。この辺りは年間雨量が5000mmに達する日本でも有数の豪雨地帯で、熊野川の源流のひとつもここに発しているという。目の前を流れる小さな瀬が、明日以降出会うであろう滝や川のスタートポイントだ。
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大台ヶ原ドライブウェイ |
大台ヶ原の夕景 |
日出ヶ岳遊歩道 |
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