純正部品
TOP純正のメリット純正ブレーキ開発者の声

メーカーが作る純正部品は新車と同じで安心

ブレーキに関わらずクルマに求められるものは、品質と信頼というのが一番重要です。その上でSUBARUは安心と運転する愉しさを求めています。たとえばブレーキパッドやローターを開発するときに、必要とされる性能をすべて満たした上で、互いのパッドやローターがマッチする組み合わせをきちんと開発しています。最も大切なブレーキの性能とは、なによりもよく効くということ。ブレーキの鳴きとよく言われるような音がしないこと。さらにブレーキをかけたときにしっかり振動とかしたりせずによく止まれること。お客様の安心を満たすために、これらの基準はかなり高いところに設定しています。

クルマはいろいろな部品が寄せ集まって一台のクルマになります。しかし、どれだけ部品を集めて組み付けても、決して本当の完成にはなりません。そこには必ずクルマ全体のチューニングが必要です。ブレーキの開発では、パッドだけでなく、ローターやキャリパー、サスペンション部品などの特性をマッチングすることで、初めてクルマという乗り物になっていく。純正部品の良さというのは、その部品を組むだけで、クルマ全体のバランスがぴたりと決まること。それがSUBARU純正部品の最大のポイントだと思います。

SUBARU純正ブレーキパッドの摩擦材は2種類

現在、乗用車に使用されているブレーキパッドの摩擦材は大きく分けると、2種類あります。 ひとつは、一般のクルマの摩擦材。もうひとつはスポーツモデルで使っている摩擦材です。グローバルも含めて基本的には2種類の摩擦材のパッドを使用して、ブレーキローターやキャリパー、パッドの大きさやブースターの特性を変えることで、それぞれ各モデルに合わせた仕様にしています。 その2種類の摩擦材で大きく異なるのが素材です。ひとつはノンアスベストオーガニック材(NAO材)と言うもので、これは品質とか磨耗性能が非常に特性として優れているもの。もうひとつは、ロースチール材と言われているもので、こちらはどちらかといえば効きを良くする、熱に対して少し強い、そういった特性を基準にしています。 SUBARUでは、日常の運転でユーザーがスムーズに走行できるように、鳴きや磨耗などの特性の良い素材をセレクトし、スポーツ性の高いクルマの場合は、その走る楽しみに応えるために制動力や耐熱フェード性という点を考慮したブレーキパッドをセレクトしています。

パッドが生み出す保護フィルム

樹脂などの材料を焼き固めたパッドが、ローターを摩擦することで制動力が生まれる。ふつうはそう思いますよね。でもちょっと違います。パッドと鋳鉄ローターはお互いの表面を削って摩擦力を出すと思われていますが、実はそうではなくて、ローター表面に保護フィルムを生成してそこを摺動させることで摩擦力をだすという仕組みです。とくにノンアスベスト材のパッドはそのフィルムを良い条件でつくるのが、結構難しい。樹脂は熱に強いわけではないので、高温になると壊れてしまう。フィルムも剥がれてしまう。ローターとも相性のいいパッドでなければ、表面を綺麗に生成できない。パッドがローターに接触する面積の合計はハガキ一枚ほどですが、2tの重さの運動エネルギーをハガキ一枚ほどのパッドで熱に変えるにはどうするか。摩擦面を生成するロジック、摩擦面の大きさやパッドとローターの材料。そのすべてがマッチングして、はじめて理想のフィルムと制動力が生まれるのです。

ベンチテストで過酷な状況を再現

開発段階では、実際の車での走行試験とは別に、ブレーキの部分だけを機械装置に取り付けてブレーキの単品の特性を評価するための試験、ベンチテストというのを行っています。 よくブレーキでいう摩擦係数という言葉を聞かれると思いますが、たとえば摩擦係数、摩擦特性というものが速度や負荷に応じてどんな特性を持っているか。熱を加えるといったフェード試験のときに摩擦係数がしっかり狙ったとこにあるかどうか、などをベンチテストで確認します。 さらに耐久試験では、新車時の新しいローターと新しいブレーキパッド、摩擦面もまだ綺麗な状態からスタートして、様々な状況のテストを繰り返します。 雨の中も走るかもしれない、長い下り坂もおりるかもしれない、あるいは急いでいるからと飛ばす場合もあるかもしれない。そういったケースをベンチテストを使った安定した試験で、持続的に開発を続けています。

鳴きのシャシーダイナモメーター

車一台を使って行うベンチテストを、CDM(シャシーダイナモメーター)テストと言います。SUBARUには、「鳴きのCDM(シャシーダイナモメーター)」というのがあって、実車をCDMの上で自動運転して、ブレーキの鳴きをテストします。ブレーキの「キー」とか「クー」という音の発生を評価しています。ブレーキは低温とか高湿度で鳴きやすいという特性があるので、高温域はもちろん、低温は—10℃〜、高湿度は~80%くらいまで、お客様が遭遇するであろう組み合わせで確認しています。あとはブレーキの踏み方。クリープ速度から130kmといった高速条件まで、減速度もm/s2刻みくらいできめ細かく確認をしていく。だいたいひとつのテストで2週間くらい24時間回しっぱなしにして、マイクで音を録ってそれをひたすら解析します。音さえ突き止めればもう大丈夫。音がわかると、どういう理由でブレーキが鳴いているのか、私たちはそのメカニズムを理解していますから。音から異常な部分を直していけます。

見えない精度とサビを落とすパッド

ディスクローターは、見た目は普通の鋳鉄にしか見えませんが、その精度がとっても大事なんです。表面を触ってもまったくわからない、見た目もまったくわからなくても、ほんのわずかの凹凸、厚みの変動があるとブレーキを踏んだときに振動として伝わります。いま量産されているものはマイクロメーターレベルの精度で作られていますが、外気と触れるローターは、雨や風、融雪剤が原因で表面がサビてしまうことがある。そのサビが振動のもとになったりパッドを磨耗させたり不都合なことの原因となってしまう。だからSUBARUのパッドには、ローターのサビをどれだけきれいに落とせるか、サビ落とし性という性能があります。それは量産品としてすべての条件を考える、つねにベストコンディションを追求するという、部品へのきびしい基準があるからだと思います。

厳しい要求が物語るSUBARUらしさ

たとえば「錆び落とし」という、ローターをきれいにしたり凹凸を生成させるテストがありますが、サプライヤーさんからは私たちの要求条件が厳しいと言われています。サプライメーカーから選りすぐりのパッドを選んで頂いて開発をスタートするのですが、うまくいきません。選りすぐりを更にモデイファイします。その理由は、私たちのスペックにどうしても合わないところがあって、性能のバランスを取る必要があるためです。特に異音や振動といった品質と効き性能のバランスが厳しいと言われますね。サプライヤーは自信を持って提案するのですけど、それをSUBARUのスペックでやると評価基準を満たさない、となってしまう。たとえばフェード性能を強化しないといけない、じゃあ要求はこうしようと、私たちは昔から積み上げて、ものすごい数の評価コードがある。それが今の形になっている。なのでサプライヤさんからはSUBARUさん厳しいですよと。もう世の中に出ているパッド材をもってきてもSUBARUだとNGになってしまう。そういった要求の厳しさが私たちの財産になっていて、そこが今のSUBARUのブレーキの品質になっているのだと思います。

楽しいスポーツモデルのブレーキ

楽しくて苦労あり。スポーツモデルは、やはり効きとかフィーリングの部分が大切になって、それはシステムで決まるところもありますね。ブレンボのキャリパーはこういうフィーリングになるとか、国内メーカーではこういうフィーリングになるとか、そのシステムの違いもあるし、パッド材の影響もある。スポーツモデルと一般のモデルを同じにして、すべての要求を完全なものとするのは無理な部分があって、それぞれに適した性能配分にしています。ブレーキの効きがいいね、熱に強いね、という背反としてノイズやダストはこのくらい出るけどバランスは適切かとか、お客様に提供する性能を私たちは決めていて、それを高い次元でまとめ上げることが課題ですね。ブレーキは摩擦係数を高くして、効きを良くすればフィールは良くなるけど、背反としてある部分の品質は下がる。そこのバランスをとるためにパッドに要求することもあるし、キャリパーとかローターに求めることもある。それが純正として組み上げていく面白みでもあります。

環境にも配慮した継続的な基礎開発

パッド材の開発というのは、じつは基礎開発が大切。だから車種開発と平行して、つねに開発は続いています。パッドの摩擦材はさまざまな物質を焼結で固めています。時代の変化によって、その成分が環境物質として規制される場合があります。有名なものとしてはアスベストがありました。最近では別の成分の規制が2014年から入りましたが、SUBARUはその規制に対して5年、10年前から先取りして対応していました。環境にいちばん良いものを使っていこうというのは開発の基本にありますから、先取りしてその成分を使わないパッドを量産しています。じつはその次のステップ、2020年とか、2025年にむけて新しいパッド材を今作っています。しっかりリードタイムを持って、環境にいいものを先取りしてやっていく、というのがSUBARUの考え方です

アイサイトも純正ブレーキパットが基準

最後に、純正ブレーキパットを使用して欲しい理由がもう一つあります。最近はVDCなどの安全装備も全部標準で付いている。VDCやABSは車両の挙動をコントロールするものなので、それは純正ブレーキパッドに合わせたセッティングがされています。なので、たとえばSUBARU純正部品以外のブレーキパッドを使った場合には、摩擦係数が違うとか、制動特性が違うとか、本来狙っているVDCやABSの性能が100%発揮できないなどの影響が出る場合があります。 そしてもちろん、アイサイトも同じです。アイサイトはステレオカメラという目で見てその状況に応じてブレーキ力をコントロールする。そのアイサイトのプログラムは、純正ブレーキパッドを前提にしてプログラムが組まれています。アイサイトなどの電子制御の部品はさまざまなケアを施されているので、いきなり危険なことにならないようにできています。だけど、開発を通じて、本来、私たちが求めいている安全性能を発揮するためには、やはりSUBARU純正ブレーキパッドを使用していただきたいと思います。

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