曇り、のち晴れ。
しっとりと濡れた伊豆の緑は
私に奥深き自然の美しさを伝えた。

2022.06.03 | #36 Shizuoka Touring /Day1:DRIVE「西伊豆スカイライン・筏場のわさび田・浄連の滝・河津七滝ループ橋」
やはり茶畑のイメージが強いからだろうか。
静岡を思い浮かべるとき、その景色はいつも緑色に彩られる。
季節は初夏、新緑が萌える時期
「いまの静岡は、どれほど緑色なのだろう」
私はその風景を想像して、居ても立ってもいられなくなった。
次の旅の目的地は、こうしてあっさりと決まった。
出発の日、天気は薄曇りだった。
西へ向かう高速道路は空いていたが、期待していた富士山は影も見えない。
ワクワクとした気分で出発を待ちながら、爽やかな日差しと鮮やかな緑を想像していただけに、正直少しだけ残念な気持ちだった。 幸い、雨は落ちてこない。
「午後から天気は回復の見込み」というラジオの天気予報に望みをかけて、私は車を走らせた。
修善寺ICで高速道路を降りる。少しだけ開けた窓から流れ込む空気が、一気に山の匂いに変わる。みずみずしく爽やかな、緑の匂い。フロントガラスの向こうの景色も、少しずつ緑色の割合が増えてきた。
最初の目的地、西伊豆スカイラインを目指して山道へ。そして私は、曇天を恨んでいた気持ちを一気に忘れていた。
薄曇りの伊豆の緑は、しっとりと濡れていた。
芽吹いたばかりの黄緑に近い若葉、常緑樹の鮮やかな緑、針葉樹の濃い緑。さまざまな緑が露に濡れることで、いっそうくっきりと色を主張していたのだ。それは静かに澄んで幻想的な、美しい緑の集合体だった。きっとまぶしい太陽の下では、この微妙な違いに気づけなかったことだろう。
静岡県 山道を走るレヴォーグ(セラミックホワイト) | SUBARU グランドツーリングNIPPON
どの天気にも、どの季節にも、それぞれの美しさがある。
私は自分の目を通して実感したそんな事実に、なんだかうれしくなった。
山道を登るにつれて、霧が深くなってきた。しかし私はもう、その天候を嫌ったりしない。まるで雲の中に入っていくような、視界の悪い道さえも、一期一会の貴重な景色だ。 標高800mの土肥峠は、晴れていれば海と富士山を見渡す絶景だろう。だが、山肌を雲が包むようなこの不思議な眺めも、この場所だけの絶景だ。私は展望台の駐車場で、しばしその景観に浸った。
静岡県 雲がかった西伊豆スカイラインを走るレヴォーグ | SUBARU グランドツーリングNIPPON
静岡県 雲がかった西伊豆スカイラインを走るレヴォーグ(セラミックホワイト) | SUBARU グランドツーリングNIPPON
道中では時折、「わさび園」の看板が目に入った。そういえば市販のわさびにも「伊豆・天城産」の文字を見かける。このあたりは名産地なのだろう。
考えていたらわさびが食べたくなってきた。通りかかったレストランに立ち寄り、わさび丼なる料理を注文した。鰹節と海苔を振ったごはんの上に、おろしたてのわさびを乗せただけの丼だが、無性においしかった。新鮮なわさびは辛さよりも、爽やかな香りが際立った。その香りに惹かれ、今度は実際にわさび田を見たくなった。きれいな水でしか育たないというわさび。きっとその生育地は、爽やかな空気に包まれているのだろう。
地図で調べてみると、近所に有名なわさび田があるという。カーナビの指示に従ってハンドルを切る。細い山道をたどり、山奥に分け入るように進む。
筏場のわさび田というその場所は予想していた通り、胸に響くような美しさだった。川の中に作られた段々畑に、見渡す限りわさびが育つ。誰もいない一帯に、せせらぎの音だけが響いていた。
案内板によればここは、東京ドーム3個分の広さの中に1500枚ものわさび田があるという。橋の上からは、上流を見ても下流を見ても、延々とわさび田が続いている。窓を全開にして、清涼な空気をいっぱいに取り込む。ここもまた、雨上がりのしっとりと濡れた緑が、景色の美しさを際立てていた。
わさび田を後にして山道を下ると、天気予報の通り、少しずつ晴れ間が見え始めた。 曇りの日の美しさを実感したばかりだが、やはり晴れも美しい。木々の間から木漏れ日が差した。途中で立ち寄った浄連の滝では、滝壺から上がる水しぶきが、陽の光できらきらと輝いていた。国道414号線を南下する、天城越えの道を進んだ。
静岡県 浄連の滝 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
静岡県 木漏れ日が差す山道を走るレヴォーグ | SUBARU グランドツーリングNIPPON
しばし国道を走っていると、国道は大きなカーブに差し掛かった。そのまま円を描いて1周、さらにもう1周。2周する間に、標高は大きく下がる。これが有名な河津七滝ループ橋だろう。
下部にあった駐車場に車を入れて、ループ橋を見上げてみる。なんと壮大な建造物だろう!
案内板によれば、かつてはつづら折りの細道で山を下っていたが、1978年の伊豆大島近海地震で起きた崖崩れをきっかけに、このループ橋が作られたのだという。
半日ずっと山の中を走り、自然を見てきたからだろう。人が造り上げたこの橋の巨大さが、いっそう感動的に思えた。
曇りと晴れ、自然と人工物。まるで2つの世界を走り抜けるような、変化に富んだツーリング。そして両方を体験してはじめてわかる美しさ、偉大さ。そこに気づけたこの旅は、きっと幸運だったのだろう。いま、この瞬間を感じる旅。きっと雨だって悪くないはずだ。そうだ、雨の日の海なんてどうだろう? 私は帰り道ですでに、次の旅に向けて胸を躍らせていた。
静岡県 上空から見た河津七滝ループ橋 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
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