森の中、宙に浮かぶテント。
泊まれる公園の夜は、
忘れられない旅の思い出となった。

2022.06.17 | #40 Shizuoka Touring /Day5:STAY「INN THE PARK」
これまでの旅を思い返してみると、やはり宿の印象が強く残っている。
夕食をとり、風呂に入り、眠る。宿の時間は旅先だけの特別な行動ではなく、生活の中で繰り返される行為。だからこそ日常との差が感じられ、宿の印象は胸に残るのだろう。
だから宿を選ぶ基準は、難しくなる。日常との距離が離れた非日常の空間が良い。だが同時に、旅の疲れを癒すような、心落ち着く場でもあって欲しい。該当する宿はそう多くない。だが静岡にはそれがあった。「INN THE PARK」という施設だ。
まず「泊まれる公園」というコンセプトが響いた。写真を見てみると、森の中にシャボン玉のように浮かぶドーム型の客室が見つかった。ここに行ってみたい、と強く思った。
沼津ICを降りて、山道に入る。少しずつ街から遠ざかっていく感覚が心地良い。窓を開けると一瞬で、車内は新緑の香りに満たされる。目的地に向けて運転しながらすでに、気持ちは森に包まれる。穏やかな期待感がじわじわと高まっていく。
静岡県 山道を走るレヴォーグ(セラミックホワイト) | SUBARU グランドツーリングNIPPON
到着した先は、美しい真っ白な建物だった。 ロビーに足を踏み入れる。白とウッドを基調としたスタイリッシュな空間だが、同時にどこか懐かしいような気持ちになる。
受付で支配人の宮谷友貴奈氏が出迎えてくれた。宮谷氏によると、ここは林間学校用の施設を宿泊施設としてリノベーションしたものだという。言われて改めて見回してみる。そして私が感じたノスタルジーの理由に気づいた。美しく再生されているが、下駄箱や扉、ちょっとしたインテリアなど所々に林間学校の面影が残っている。
静岡県 INN THE PARK 内観と支配人 宮谷氏 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
宮谷氏に案内されて部屋に向かう。かつて広間だったというサロンは、一面のガラスの向こうみずみずしい緑が見えた。通り過ぎたコテージは、宿泊用の部屋だった場所をほぼそのまま利用しているという。テラスや焚火場は新設されたものだが、施設の中で違和感なく調和している。
新旧が、互いの存在を尊重しながら共存するような場所。
それが歩きながら私が思った率直な感想だった。
静岡県 INN THE PARK 内観 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
静岡県 INN THE PARK 建物内のサイン | SUBARU グランドツーリングNIPPON
静岡県 INN THE PARK リノベーションされた下駄箱 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
静岡県 INN THE PARK 焚火場 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
芝生広場を横目に見ながら小道を少し歩くと、球体の部屋があるエリアに到着した。正体は、ツリーハウスのように樹木の中ほどに設置されたドーム型のテントだ。扉のファスナーを開いて中へ。驚いたことにそこは、大きなベッドとランプが設えられたシックな空間だった。だが木に吊られたテントだけに、中を歩くとかすかに揺れる。その不思議な浮遊感が、私を非日常の世界へと誘った。
荷物を置いてサロンに戻り、再び宮谷氏に話を聞いた。広々とした公園の中にある、優雅で落ち着いたホテルだ。どんな想いで作られた施設なのか、尋ねたくなったのだ。
「近年の公園はあれこれと禁止事項も多いもの。そんな中、ボール遊びや焚火や花火で思いっきり遊んだ後に、そのまま泊まれるような公園があれば良いなと。いわば自分たちが過ごしたい公園を、との思いで作った施設です」
静岡県 INN THE PARK ドーム型テント 外観 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
静岡県 INN THE PARK ドーム型テント 内観 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
静岡県 INN THE PARKから見える広大な森林 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
それから公園を散策した。
遊歩道は緑に包まれ、爽やかな空気が満ちていた。園内を流れる小川には、ホタルもやってくるという。芝生広場では、ボールやフリスビー、バトミントンなどで遊ぶことができる。道具はすべてホテルで貸し出してくれるという。
「さあ、何をして遊ぼうか」
そう思ったところに、雨が降り出した。普通なら旅の雨は残念だが、この緑豊かな公園にいると、雨もまたアクティビティのひとつのように思える。傘を差して公園を歩く。サロンには多彩な本やボードゲームも用意されていた。
しばらく愉しんでからテントに戻り、ベッドに寝そべってみる。窓の外の緑が、雨で生き生きと輝いて見えた。天井を雨が打つ音が聞こえた。騒音の多い都会にいると忘れてしまいがちだが、強弱緩急が不規則な雨音はなんとも耳にやさしい。
静岡県 INN THE PARK 公園 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
静岡県 INN THE PARK ドーム型テントの窓から見える森林 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
夕食会場はサロンだ。初夏の太陽はまだ明るいが、窓外の緑は先程よりも濃い色合いに変わっている。景色に見とれていると、夕食が運ばれてきた。地元・静岡の食材を軸にしたフランス料理のフルコースだ。
手掛けるシェフは野田侑秀氏34歳。東京や熱海の名店で腕を磨いた実力派だ。
前菜はアユのアメリカンドッグや地元養鶏場の卵を使うウフマヨ、自家製フォカッチャと三島のキノコのブルスケッタなどの盛り合わせ。洋食の中にチャーシューが交じるのは、シェフの実家がラーメン屋であることに由来。正統派の中にそんな遊び心が潜むのも、この公園の中の宿泊施設にはふさわしい。
魚料理は静岡の天然真鯛に新タマネギのピューレを添えて。肉料理は牛ランプステーキに、地元の醸造蔵の赤味噌のソース。デザートは戸田の無農薬甘夏にアボカドのソルベ。
どれも地元のテロワールを活かした本格派のおいしさだ。そこにこのロケーションが深みを加える。天井までの窓と、外の緑。まるで公園の中で食べているような開放感だ。
おいしさは、素材の質やシェフの技術とともに、食べる側の心が決める。そんな発見のある素晴らしいディナーだった。
静岡県 INN THE PARKで供されるディナー | SUBARU グランドツーリングNIPPON
静岡県 INN THE PARKのシェフ 野田侑秀氏 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
食べ終わる頃には、さすがに日も暮れていた。
そして先程まで降っていた雨も上がっていた。
ライトに照らされた遊歩道をゆっくりと歩く。雨上がりの草の爽やかな香りがした。
今宵の寝室は、夕闇の森のなかにぼっかりと浮かんでいた。不思議な眺めだった。雨上がりの空気と森の静けさに包まれ、浮遊するテントで眠る。それはきっと、いつになってもはっきりと思い描くことができるような、私の大切な思い出になる。
静岡県 夕暮れ時のINN THE PARK ドーム型テント 外観 | SUBARU グランドツーリングNIPPON

DATA

INN THE PARK
住所:静岡県沼津市足高220-4
電話:055-939-8366(10:00〜17:00)
URL:https://www.innthepark.jp/numazu/
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