世界最大級のジップライン。
そのスリルと浮遊感に浸りながら
私はかつてない感動に包まれていた。

レヴォーグで旅する北海道の旅

2022.07.22 | #49 Hokkaido Touring /Day7:EXPERIENCE「HANAZONOジップワールド」

スノーリゾートとして知られるニセコだが、夏のアクティビティも充実している。渓流釣りやトレッキング、ラフティングやカヤックなどの川遊び、もちろんドライブも魅力だ。限られた旅程の中でどれに狙いを定めるか悩むのは、ワクワクと愉しい時間でもあった。
そんななか、目に飛び込んできたのは「世界最大級」の文字。
興味を惹かれて調べてみると、今夏、ニセコに世界最大級、アジア最長級のジップラインが完成したという。ジップラインとは聞き慣れぬ言葉だったが、ハーネスを付けて山の斜面などに張られたワイヤロープを滑走するアクティビティだ。イメージとしては遊具の“ターザンロープ”の強化版のようなものだろうか。
ホームページには、もうひとつ印象的な言葉があった。それは「スリリングな『飛行体験』を味わうことができるジップライン」という言葉。広大で美しいニセコの大自然。視点を変えて、それを上から眺めることができれば、それはどれほどの体験になるのだろう。私はさっそくその『HANAZONOジップワールド』を予約して、当日を待った。
ニセコはリゾートとして非常に完成度の高いエリアだ。街は美しく整備され、大規模なリゾート施設やホテルも整然と立ち並ぶ。しかしそのどれもが自然の中にしっかりと調和している。どの施設も、自然への敬意が根本にあるように感じられるのだ。この日、長い一本道を走って向かった花園というエリアもそうだ。雪のないゲレンデは寂しく見えてしまいそうだが、ここにあるのは美しく、爽快な自然だった。
北海道 羊蹄山が見える道を走るレヴォーグ(セラミックホワイト) | SUBARU グランドツーリングNIPPON
受付を済ませるとここからは、ガイドとともにサマーゴンドラに揺られて山を登り、そこからジップラインで滑り降りてくるという流れだ。
ここにあるジップラインは3つ。
最初のZIP1グリーンは、427mの入門編。ここでハーネスの装着や体の使い方を身につける。続くZIP2レッドは、やや勾配が上がりスピードも出るが、その分、景色と爽快感もアップ。そしてクライマックスがZIP3ブラックダイヤモンド スーパーフライ。アジア最長級1700mのジップラインで、最高速度は時速110km。スリルと浮遊感を存分に味わえる。
説明を聞いているだけでワクワクしていると、最初のスタート地点に到着した。厳重にハーネスをチェックし、ワイヤーに滑車をつける。スタートは自動で行われるため、ここまで来たらためらうこともできない。
ゲートが開き、滑り出す。ふわりと宙に舞う浮遊感、そして上から山の木々を見下ろす開放感。はじめての体験に驚いている間に、30秒ほどでZIP1は終了した。思っていたよりもずっと爽快で、だが思っていたほど恐怖感はなかった。ただ気持ち良い30秒だった。
続くZIP2は、先程よりも少し速度が出るが、2度目だけに景色を愉しむ余裕もできていた。右手を見ると、羊蹄山が見えた。地上と数メートルしか違わない視界だが、初めて見る山のように感じた。景色を愉しんでいるとZIP2もゴールに着いた。こちらも30秒ほどだった。
「これならZIP3も余裕だろう」
ふたつのZIPを滑った私は、心にゆとりが生まれていた。スタート地点に立つと、はるか先に小さくゴールが見えた。あそこまでの時間を、存分に愉しもう。そしてZIP3に滑り出す。
ぐんぐんと速度が上がる。目の下をものすごい速さで木々が通り過ぎていく。耳が捉えるのは、轟々と鳴る風切り音だけ。頬が揺れるような風圧。体ひとつで空中にいる不思議な感覚。これはまさに、「飛行体験」だ。私の口から飛び出した叫び声は、スリルのためか、愉しさのためか。これほどの大声を出したのは、いつ以来だろうか。
気を取り直して景色を眺める。
緑に包まれた羊蹄山。そのふもとの街。どこまで頭を回しても緑色が広がるパノラマの山景色。時速100kmを越える速度の中、ただ浮遊感に身を任せながら堪能するニセコの景色。
きっとこれほど体験と伝聞の差が大きいアクティビティはそうないだろう。つまり、体験してみなければこの感動は伝わらない。それほど、人生の中で似ているもののない稀少な体験だった。
ゴールまで1分30秒ほど。ZIP3は震えるような感動を残して終了した。3つのジップラインの段階と構成、それもきっと緻密に計算された演出なのだろう。私の中でこの日の思い出は、強い感動とともに心に刻まれた。
北海道 羊蹄山を一望しながら「HANAZONOジップワールド」のジップラインを下る様子 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
北海道 ニセコエリアが一望できる「HANAZONOジップワールド」| SUBARU グランドツーリングNIPPON
北海道 「HANAZONOジップワールド」ジップラインを下る様子 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
もうひとつ、印象的だったのがジップラインをサポートする専属ガイドの存在だ。ジップラインの保守、点検、調整をし、実際の体験の際には先に滑り降りてゴール地点で待ち構え、到着したゲストが降りる手助けをする。いわばこの体験のキーマンたちだ。そして彼らは、この洗練されたリゾートのスタッフにしてはワイルドだった。大げさに言えば、彼らに命を預けるのだ。この山を知り尽くすようなワイルドさはかえって好ましい。
山に登り、準備をして3つのジップラインを滑るまで合計2時間ほど。彼らと話す時間も増え、私はいつしか彼らのチームの一員になれたような気がしてきていた。それが誇らしい気分だった。
「気持ちよかったでしょう?」
ZIP3を滑り終えた私に、ガイドのひとりが尋ねる。
「ええ、最高でした」
私が応えると、彼はニコリと笑った。その真っ直ぐな山男の笑顔もまた、私の心にしっかりと刻まれた。
北海道 「HANAZONOジップワールド」ガイドの皆さん | SUBARU グランドツーリングNIPPON

DATA

HANAZONOジップワールド
電話:0136-21-3333
ニセコHANAZONOリゾート 公式サイト
URL:https://hanazononiseko.com/ja/summer/activities/zipline
HANAZONO ZIP WORLD 特設サイト
URL:https://www.hanazonozip.com/
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