ひとつの体験が、新たな人生の扉を開く。
海に潜った私が見た、想像を絶する眺めと
未知なる未来への可能性。

レヴォーグで旅する愛媛県の旅

2022.08.12 | #54 Ehime Touring /Day4:EXPERIENCE「DIVE愛南」

先日、水中アクティビティの入門編を体験した私は、その夜、その美しい世界の夢を見た。
無重力のような浮遊感と、宝石のような珊瑚と魚。私は愛媛県で、すっかり海の世界に魅了されてしまった。水中を愉しむ次のステップはダイビングだ。私は勇気を出して愛南町のダイビング体験を予約し、その日を待った。
一度訪れた愛南町への道は、陸の世界から海の世界への橋渡しのように、少しずつ気分を盛り上げる。いわばそれは海への憧れを満たす道だ。太陽を反射する界面を横目に、私は軽やかに車を走らせる。道路沿いに広がる青い海。あの水面の下にはいまも、魚たちが泳ぎ、美しい光景を描いているのだろう。これから見る水中世界に思いを馳せて、胸を高ぶらせながら走る。
愛媛県 愛南町の海沿いを走るレヴォーグ | SUBARU グランドツーリングNIPPON
到着した「DIVE愛南」は、古い港町の一角にある、小綺麗な建物だった。ここから船に乗って、レベルや天候に合ったダイビングスポットに移動するのだという。
教えてくれたのは、代表の田中翔さん。朗らかな笑顔が印象的な、愛南の海のように爽やかな人だった。
しかし、やはりダイビングは危険を伴うのだろう。
保険証提示や緊急連絡先の記入、体調や持病などの細やかなチェック項目がある申込み用紙に記入し、そこからようやくレクチャーに入る。道具の使い方や水中での姿勢やハンドサインなど覚えることは多く、徐々に緊張が高まる。
船に乗り込んでからもレクチャーは続いた。この近海は小さな島々が入り組んでおり、島をひとつ回り込むだけで波の高さや水の濁り方は大きく変わってくるという。この日は、横島という無人島の側がダイビングポイントに選ばれた。
愛媛県 ダイビング用の船と海 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
愛媛県 「DIVE愛南」代表の田中翔さん | SUBARU グランドツーリングNIPPON
愛媛県 DIVE愛南スキューバダイビングの道具 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
愛媛県 岩間から見える青空 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
大丈夫、覚えるべきことはひと通り教わったはずだ。
私は緊張しながら機材を背負い、船の縁に腰掛ける。この状態から後ろ向きに海に飛び込むのだ。未経験の私には、そのアプローチひとつがハードルだ。
田中さんに促され、決意を決めて海に飛び込んだ。
その瞬間、パニックの兆候がある。ボンベにつながったレギュレーターを口に加えているが、呼吸がうまくいかない。次は息を吸うのだったか、吐くのだったか。そんな陸上ではありえない疑問が、頭の中を満たす。
しかし私がパニックになる直前、田中さんがやってきて、水中用のボードに文字を書いた。
『ゆっくり息を吐いてください』
言われるままに、息を吐く。息を吐ききると、自然と吸う動作ができた。ただ息を吐くことだけに集中し、ゆっくりと呼吸を続ける。それでもまだ、恐怖心は拭えない。するとまた田中さんがやってきて、水面に顔を出すように促す。
「顔をつけて呼吸の練習だけしてみましょう」
水上に顔を出すと、笑顔の田中さんがそう言った。私の緊張は徐々に、ほぐれる。それは機材に慣れたからというよりも、この田中さんへの信頼が強くなってきているからだと思った。いかなる場合でも私の状態を確認し、的確なアドバイスをくれる存在。この人に任せておけば大丈夫だ。そんな信頼が、私の緊張を解きほぐしたのだ。
愛媛県 海に浮かぶ気泡 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
愛媛県 海底から見える船底 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
呼吸に慣れてくると、沈めた船の錨の鎖をたどって、水中深くへ。呼吸に合わせ、肺に入れた空気の量に応じて、体が浮き沈みする。その呼吸もコントロールしながら、水中で体を動かす。フィンを付けた足を動かして、少しずつ移動する。水中の花畑のように、美しい珊瑚礁が広がる。珊瑚の間を、魚たちが泳いでいく。
人間は陸上で生きる動物だ。当然、水中での動きは不自由になる。だが、私の心は自由を感じていた。重力から開放される自由。360度、どの方向にも動ける自由。珊瑚の森の上を泳ぎ、行き交う魚を追いかけてみる。悠然と泳ぐ大きな魚、ちょこまかと動く小さな魚。どこか人間社会にも似た水中世界を眺めながら、ゆったりと泳ぐ。
愛媛県 スキューバダイビングの様子 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
気づけば呼吸も耳抜きも、自然にできるようになっていた。
水中の世界を、自然に愉しめる気持ちになっていた。
青く、透明な世界の中に、私は自然と溶け込んでいた。
しばし水中散歩を愉しんで、船に上がる。私の心は、やりきった達成感と自信に満ちていた。ただ半日の体験ダイビングを終えただけだが、海の中の世界が、決して遠い世界ではなく、自分にも行ける場所であると思えた。
田中さんによれば、日本近海に約3,500種いるという魚のうちに実に1,000種近くが、この愛南の海に生息しているという。サメもウミガメも熱帯魚も、この海の中でみることができるのだという。
それは、私の人生の中で、出合う可能性のある生き物がいっきに1,000種類増えたということだ。海の中を知らなければ出合う可能性のなかった生き物。
ひとつの体験が、人生の扉をひとつ開いた。その記念すべき場所として、愛南の海は、私の心に刻まれた。
愛媛県 海底の様子 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
愛媛県 光が差し込む海底 | SUBARU グランドツーリングNIPPON

DATA

DIVE愛南
URL:https://dive-ainan.jp/
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