ヨットに乗って、無人島へ渡る。
ゆったり穏やかな船旅が教えてくれた
瀬戸内海の優しさと心地良さ。

レヴォーグで旅する愛媛県の旅

2022.08.19 | #55 Ehime Touring /Day5:EXPERIENCE「島旅ヨット」

瀬戸内海で、連絡船に乗った。
ただ島を渡るための移動手段だったが、甲板に立ち海風に包まれながら景色を眺める時間は爽快そのものだった。船は数分で目的地に着いた。だが私は、心地良い潮風に包まれ、青い海を間近に見るあの爽快感が忘れられない。
船に乗りたい。それもなるべく海面に近づける小さな船が良い。
調べてみると、瀬戸内海に浮かぶ小さな島々のひとつである佐島に、ヨットのツアーがあるらしい。詳しいことはわからなかったが、なんとなく夏らしい“ヨット”という響きに惹かれ私はさっそくそのツアーを予約して、瀬戸内海に向かった。
いくつもの島々を橋で結ぶ瀬戸内しまなみ海道。無数の小島が浮かび、一瞬ごとに景色が変わる美しい瀬戸内海を眺めながら広島県の因島まで向かい、フェリーに乗って生名島へ。そこから橋を渡ってようやく佐島に到着する。決してアクセスが良い場所ではないが、ここでは移動そのものもアクティビティのようなものだ。私はドライブを愉しみながら、ゆったりと島を目指した。
待ち合わせ場所に指定された「島旅BASECAMP」は、地域の集会所をリノベーションした秘密基地のような場所。そこでオーナーの齋藤サムさんと、パートナーの中山なぎさんが出迎えてくれた。ふたりともまるでこの瀬戸内海の海のように穏やかでフレンドリーな人物だった。
「島旅ヨット」は、ヨットで好きなように遊べるオーダーメイドのツアー。まずはベースキャンプで、天候や希望を確認しながらルートを決める。
「子どもが水鉄砲で遊んだり、犬と一緒に寝転がったり、ビジネスマンが船の上でミーティングをしたり。想定していた以上に、それぞれ自由ですね。先日は車椅子の方も愉しんでいきました」
とサムさん。想像力次第で、ヨットは無数の愉しみ方があるようだ。だが今日の私の希望は、とにかくゆったりと海を行くこと。
「なら少し遠くの無人島まで行ってみましょう」
サムさんのそんな提案に従い、この日のルートが決まった。目の前に停泊していたヨットの帆を上げる。AsanagiとYūnagiと名付けられた二艘のヨットは、ポリネシアの釣り船に着想を得たというカタマランヨット。船大工であるサムさんによる手作りだという。
白い帆が張られたヨットに乗り込み、いよいよ出航だ。ヨットは静かに瀬戸内海に進み始めた。
カヌーのような2つの船体を連結したカタマランヨットは、真ん中に広いスペースがあり、座ってくつろぐことも、寝転がることもできる。手際よくヨットを操るサムさん。頬に瀬戸内の風を感じながら、ヨットは滑るように進む。
エンジン音のないヨットは、静かだった。波の音、風の音、はためく帆の音に、時折野鳥の鳴き声が交じる。リラックスした気分のまま話をした。
愛媛県 カタマランヨットから見た瀬戸内海と架かる橋 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
愛媛県 カタマランヨットで帆を張る「島旅BASECAMP」オーナー齋藤サムさん | SUBARU グランドツーリングNIPPON
愛媛県 カタマランヨットの帆 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
サムさんの家族は、ヨットに乗って世界中を巡っていたという。サムさんも幼い頃から、船の上で暮らすのが当たり前だった。家族はニュージーランドを出て東南アジアに向かい、タイの港を離れて5年半かけて奄美大島に着いた。そこで瀬戸内海の噂を聞き、この地までやってきたのが8年前。
「新たな港に着く度に“さあ次はどこに行こう?”という家族が、唯一落ち着けた場所がここだったんです」
そう振り返るサムさん。
「海が穏やかで優しくて、でもここに居るだけでいろいろな夢が持てる。最高の場所です」
言われて改めて海を眺める。青く、静かで、波のない海。確かに“優しい海”だ。
愛媛県 「島旅BASECAMP」オーナー齋藤サムさん | SUBARU グランドツーリングNIPPON
愛媛県  瀬戸内海とその海に浮かぶ島や架かる橋 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
やがてヨットは小さな無人島に到着した。
港のない島に、普通の船は着岸できない。だが船体が軽いヨットは砂浜にそのまま乗り上げることができる。どこにでも行ける船。それもまたこのヨットの魅力だ。
無人島は、まるで時間の流れが違うかのようにゆったりとしていた。何をするでもなく、砂浜に座る。波音が耳に優しい。
「上島町には25の島があるんです。こんなに近くなのに、それぞれ雰囲気が違うんですよ」
サムさんがそう教えてくれた。
「すべての島に行ったんですか?」
「まだ行けていないんです」
私の問いにサムさんが答えた。そして付け加える。
「でもそれがうれしいんです。まだ開けていないプレゼントがあるみたいで」
それはサムさんがいかにこの海、この島々を愛しているか伝わるような答えだった。
愛媛県 上空から見た瀬戸内海に浮かぶ島と透き通った青い海 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
愛媛県 砂浜に停泊するヨット | SUBARU グランドツーリングNIPPON
愛媛県 「島旅BASECAMP」オーナーの齋藤サムさん、パートナーの中山なぎさん | SUBARU グランドツーリングNIPPON
無人島には、本当に何もなかった。ただ砂浜があり、森があり、海がある。ただそこにあったのは、日常から完全に切り離された時間。徐々に日々の雑念が消え、この自然と一体になったかのような気分になる。“心が洗われる”とは、きっとこういう時間のことなのだろう。しばらくくつろいでから、島を後にした。気づけば結構な時間が過ぎていた。島にいる間、私は時計の確認さえもしていなかった。
愛媛県 上空から見た瀬戸内海に浮かぶヨット | SUBARU グランドツーリングNIPPON

DATA

島旅ヨット
URL:https://shimatabiyachts.com/
島旅ヨット インスタグラム
Instagram:https://www.instagram.com/shimatabiyachts/
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