まるで暮らすように客を迎える
京丹波の古民家カフェの
心安らぐ、おだやかな時間。

レヴォーグで旅する京都府の旅

2022.09.22 | #62 Kyoto Touring /Day4:EAT「2番目のテーブル」

京都には古民家カフェが多い。
なにしろあちこちに築100年、200年という古民家がごろごろしているのだ。それを利用したカフェが多いのも頷ける。だが居心地はそれぞれだ。思うに人と人との相性のように、人とカフェにも相性があるのだろう。
京丹波町は、京都府の真ん中近く。深い山々に抱かれるような里山は、日本の原風景を思わせる。そんな街の一角に今年8月、新たな古民家カフェが誕生したという。
教えてくれたのは、京都に住む知人。まだできたばかりの店だけに、ネットにも情報はほとんどない。私は聞いた住所だけを頼りに、京丹波に向けて車を走らせた。
フロントガラスの向こうには、一面の田園風景が広がっている。賑わう京都市内から1時間ほどの移動で、これほどの牧歌的な景色が広がることに驚いた。空が広く、緑が濃い。広い空の下をのびのびとドライブする感覚が心地よく、走るごとに、どんどんこの地が好きになっていく。
しばしドライブを愉しんでいると、目的地に到着した。店の名は『2番目のテーブル』という。周囲の景色に溶け込む、落ち着いた佇まいの古民家だ。
京都府 京丹波の田園のそばを走るレヴォーグ | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

レヴォーグのハンドルを握り、京丹波を走る。のどかな田園風景が目に優しい。

入り口を開き、土間を通り、靴を脱いで店内へ。襖を取り払い4室の部屋を繋いだ和室にテーブルが3卓。スペースをゆったりと使った、贅沢な空間だ。そのひとつに腰掛け、周囲を見回す。なんだか妙に居心地が良い。
卓上の花は、あたりに咲く野の花だろう。柱や梁は古いが、どっしりとして頼り甲斐がある。掃除の行き届いた畳が気持ち良い。アンティークのテーブルは、まるでずっとこの家で使い込まれたように馴染んでいる。
よく見ると壁に古いキャラクターのシールが貼られている。きっとこの家で育った子どものいたずらの跡だろう。あれを貼った子どもは、怒られただろうか。いや、今でも剥がさずに貼られているのだから、きっと微笑ましく見守られたのだろう。そんな想像が頭をよぎる。
カフェとして作り込まれているというよりも、丁寧に片付けて、心を込めて客を迎える家のような雰囲気なのだ。
京都府 『2番目のテーブル』内観 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

『2番目のテーブル』の店内。控えめだがセンスの良いインテリアが揃う。

京都府 『2番目のテーブル』内観 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

卓上には季節の花、書棚には絵本。さりげないもてなしの心がうれしい。

注文を取りに来た女性に話を聞いてみた。彼女が店主の平井由己さんだった。平井さんによれば、住まいのリフォームで、たまたまこの家に一ヶ月ほど間借りして、気に入ってそのまま借り続けてしまったのだという。
「暮らしているとき、ここにソファを置いて、ご飯を食べていたんです」
そう言って平井さんは、ローテーブルが置かれた一角を指差した。
「ここから見える景色が大好きで、ずっとここに居たいと思いました。それからもっと多くの人に同じ体験をして欲しいな、とも」
言われた場所に座ってみる。
サッシの向こうに広がるのは、草が生い茂る空き地に小さな木が2本、朽ちかけたあばら屋や錆びたドラム缶、そしてブルーシートがはためく畑。どんな画家でもモチーフにし得ないような、なんの変哲もない風景だ。
いや画家ならむしろ、この風景から漂う不思議な温かみを描き出すのだろうか。そう、温かいのだ。当たり前の田舎を窓が切り取っただけのこの風景は、まるで聞き慣れた音楽をぼんやりと聞いているかのように、気持ちをほっと安らげてくれる。
心が緩む。そんな感覚を、私は久しぶりに味わった。そしてこの店の居心地の良さも、きっと同じ理由なのだと納得した。
感想を伝えると平井さんは「そうでしょう?」とうれしそうに笑った。
京都府 『2番目のテーブル』店主 平井由己さん | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

店主の平井由己さん。「去年の今頃は、ここで店をやっているなんて想像もしていなかった」という。

京都府 『2番目のテーブル』室内から見える風景と店主 平井由己さん | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

平井さんを惹きつけた風景。窓枠や庭の柵さえも、おだやかな景観を織りなす要素になっている。

メニューは天然酵母で焼くカンパーニュのトーストやクロックマダム。もともと京都市内で週に1度シェアカフェを開いていた平井さんだけに、パンを焼くのはお手の物。ただ『2番目のテーブル』の店名は、そこに続く2号店という意味ではない。
「1番はお家の食卓。やっぱりそこが温かく、豊かであって欲しい。そしてこの店では、家に続くようなくつろぎをご提供できれば」
親戚の家に招かれたような穏やかなくつろぎ。そんな私の第一印象は、あながち間違いでもなかったようだ。
カンパーニュは柔らかく、味わい深く、おいしかった。たっぷりの野菜は地元のもの。環境が良いからか、水差しの水さえたまらなくおいしい。
私は空間と料理に浸り、すっかり長居してしまった。豊かに、大切に暮らしながら人をもてなすようなこのカフェがすっかり気に入ってしまったのだ。
再訪を約束して店を後にする。次に来るときは、誰か大切な人を連れてきてみよう。なぜかそんな想いが湧いた。
京都府 『2番目のテーブル』クロックマダム | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

カンパーニュにホワイトソース、ハム、チーズを合わせ目玉焼きを乗せたクロックマダム。

京都府 『2番目のテーブル』たまごトースト | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

平井さんが家で作っていたというたまごトースト。甘めのスクランブルエッグとマヨネーズが絶妙。

京都府 『2番目のテーブル』トーストしたカンパーニュと新鮮野菜のプレート | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

トーストしたカンパーニュと新鮮野菜のプレート。全メニューに付くスープは、この日はビーツのポタージュだった。

京都府 京丹波の川にかかる橋を渡るレヴォーグ | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

すっかり満たされた気分の帰り道。レヴォーグに乗り、再び京丹波の田園風景の中を走る。

DATA

2番目のテーブル
住所:京都府船井郡京丹波町上野北垣内50
TEL:090-2444-7177
URL:https://www.instagram.com/ladeuxiemetable/
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