心が澄んで、冴え渡る感覚。
京都の名刹で体験した瞑想は
私の心を解きほぐした。

レヴォーグで旅する京都府の旅

2022.09.30 | #63 Kyoto Touring /Day5:Experience「成相寺」

京都府北部の旅は、どちらかというとアクティブな旅だ。しっとりと落ち着いた京都を離れ、日差しと海風が似合う晴れやかな道程を行く。
そんな京都北部の宮津市に、かねてから行きたかった寺があった。創建は704年にまで遡る橋立真言宗の古刹。境内からは日本三景・天橋立を一望するという。寺の名は成相寺(なりあいじ)。私は下調べで偶然目にした瞑想体験を予約して、成相寺に向かった。
天橋立を横目に宮津市街を抜け、山道に入る。崖と見紛うような急な坂道を、車は力強く登っていく。成相寺は、山の中にあった。観光バス用の駐車場も備えた大規模な寺だ。
京都府 急な坂道を登るレヴォーグ | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

成相寺への道は、急な坂道が続く。レヴォーグの力強いトルクが頼もしい。

こういう空気を“気が良い”というのだろう。
清潔な境内は手入れの行き届いた植物が茂る。木陰が多い。涼しい風が、鳥の声を乗せて吹いていく。重厚な由緒正しき寺だが、堅苦しさがない。きっと長い間、この地の人々に愛されてきたからだろう。
瞑想体験のために、庫裏に通された。 境内の賑わいから離れ、静けさが満ちた場所だ。気持ちが引き締まる。 近年、瞑想は身近になっているが、こうした寺の空間に身を置くと、やはり特別な体験だと思わせる。
京都府 成相寺の本堂 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

成相寺の本堂。堂内に安置される御本尊・木造聖観世音菩薩像は33年に一度開扉される秘仏。

京都府 成相寺 撞かずの鐘 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

撞かずの鐘。鐘を撞くと鋳造の際に不慮に亡くなってしまった赤ん坊の鳴き声が聞こえるため撞くことがなくなった、という悲しい伝説がある。

京都府 成相寺 本堂に掲げられた「眞向の龍」 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

本堂に掲げられた「眞向の龍」は、名工・左甚五郎の作。

しばし待っていると、ご僧職がやってきた。副住職の石坪龍眞さんと名乗られた。
「これからご説明をします。ですが難しいので覚えなくて良いです」
龍眞さんはそう切り出して微笑んだ。緊張を解きほぐすような、穏やかな声音だった。“覚えなくて良い”という話だったが、たとえ話やユーモアを織り交ぜる龍眞さんの話術で、すんなりと心に染み込んできた。
ここでの瞑想は「阿字観」と呼ばれる、真言宗の修行のひとつ。誰の心の中にもおられる仏様の存在を見つめ、そして仏様と一体となるように集中する。
「雑念が浮かんだら、その雑念を浮かべている自分を客観的に見るようなイメージです」
京都府 成相寺 副ご住職の石坪龍眞さん | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

副ご住職の石坪龍眞さん。ユーモアを交えながら、難しい話をわかりやすく伝えてくれた。

そして阿字観がはじまった。
腰の下に折りたたんだ座布団を敷き、あぐらのような座り方に。目は半分だけ開き、前に置かれた梵字を見るとは無しに、ぼんやりと見る。龍眞さんの「あー」という声に合わせて、静かに「あー」と声を出す。声はどんどん小さくなり、意識はどんどん内側に向いていく。頭の中だけで「あー」と続ける−−。
気づくと目線の先の畳の目を数えていた。
「私はいま、畳の目を数えている」
と自分自身を見つめる。やがて、ぼんやりと畳の目が浮き上がってくるような錯覚。鳥の声が聞こえる。だが耳から入ったその音は、脳のどの組織にも保存されずにそのまま溶けていく。湯船に浸かって体が弛緩するように、脳が弛緩する感覚。心からのリラックス。畳の目のことは、もう忘れていた。梵字はずっと目に入っている。
京都府 成相寺 阿字観の様子 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

静かな室内で阿字観がはじまる。「阿」の言葉を唱えながら瞑想する方法は、阿字観の基礎である「阿息観」の方法。

京都府 成相寺 瞑想する手元 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

手は印を結び、目は半眼。ゆっくりと心を整えてから瞑想に入っていく。

京都府 成相寺にあるお軸 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

前に置かれたお軸の文字は、梵字で大日如来を表す「阿」。

「はい、おつかれさまでした」
龍眞さんの声で目を覚ます。半目で目を開いていたはずだが、“目を覚ます”という感覚だった。深呼吸をしてみる。ぐっすりと眠って、自然に起きた朝のように、すっきりとした気分だった。
「とても上手でしたよ」
と言われて、うれしくなった。
「ぜひこれからも続けてください。現代社会にはストレスが多いですから、心にも休息が必要です」
そう見送ってくれた龍眞さんに別れを告げ、境内を散策する。すっきりとした爽快感は、まだ残っている。展望台に向かい、天橋立を眺めた。ここに来てから何度か見た風景だが、昨日よりもいっそう美しく見えた。心が冴えて、目が澄んでいる。瞑想とは、ただ頭を無にする時間ではない。リラックスし、日頃、蔑ろにしてしまっている自分自身の心を慈しむ。そうすることにより生まれるすっきりとした気分こそが、この日の阿字観が私にもたらしてくれたものだ。私はこの素晴らしい体験を、一刻も早く誰かに話したくなった。
京都府 成相寺 阿字観体験後にいただくお茶とお茶菓子 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

阿字観体験後はお茶菓子でひと休み。リラックスした心に甘さが染みる。

京都府 天橋立が見える展望台とレヴォーグ | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

展望台への道をレヴォーグで走る。眼下に天橋立が見える絶景。

DATA

成相寺
住所:京都府宮津市成相寺339
TEL:0772-27-0018
URL:https://www.nariaiji.jp/
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