日本にこんな場所があったなんて。
秘境と絶景と温泉を巡る
久住高原のドライブルート。

レヴォーグで旅する大分県の旅

2023.1.20 | #77 Oita Touring /Day2:DRIVE「やまなみハイウェイ」「壁湯温泉 福元屋」「栃木温泉 紅葉谷の湯」「天空のプロムナード」

私はドライブが好きだ。
ただあてもなく車を走らせるのも好きだが、綿密に計画を立てたルートを走るドライブはなお良い。まだ見ぬ旅先を想像しながら、私は地図を眺め、頭の中で愛車を走らせる。
大分県の山間には、日本百名道のひとつとして知られる「やまなみハイウェイ」がある。そこを起点にドライブルートを組み立てる。車の性能が発揮できる適度なワインディングがあると良い。走り抜ける爽快感のために雄大な景色も必要だ。そしてできるなら、展望台でも、茶屋でも、何かひとつでも目的地があると良い。
調べているうちに、徐々に旅のボルテージが上がる。そしてついに、これ以上ないほど素晴らしいドライブコースができあがった。
竹田市方面から国道442号線を通り、やまなみハイウェイに向かう。
出発直後から見えていたくじゅう連山の山々が、走るごとに近くなる。その山裾を縫うように走り抜け数分間だけ熊本県を通り、やまなみハイウェイの入り口に到着する。ここまでの国道ものびのびと走れる道だったが、この先にはさらに雄大なドライブロードがはじまる。
阿蘇くじゅう国立公園の中、標高1000メートルほどの高原を抜けるやまなみハイウェイ。事前にじっくりと調べていたが、その雄大な景色は想像以上だった。
フロントガラスの向こうに、左右の窓に、バックミラーにも、山々の雄姿が映る。霧に包まれたかと思うと、すぐに青空が広がるような山の天気も、窓を開けると流れ込む高原の清々しい空気も、やはり体感してみなければわからない魅力だ。
大分県 やまなみハイウェイを走るレヴォーグとその側にある長者原湿原 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

やまなみハイウェイ沿いには、広大な長者原湿原をはじめ見どころが多い

大分県 霧に囲まれたやまなみハイウェイを走るレヴォーグ(セラミックホワイト) | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

高地のため霧が出やすいが、その幻想的な眺めもまた魅力のひとつ

私はゆっくりと時間をかけて景色を愉しみながら、やまなみハイウェイを北に向かう。目的地は久住町にある旅館『壁湯温泉 福元屋』だ。「おんせん県」といわれるほど温泉が豊富な大分県。調べているといくつもの秘湯が見つかった。そのなかで「天然洞窟温泉」との言葉が気になり、この壁湯温泉を目指したのだ。
宿のフロントで日帰り入浴を申し込む。対応した方が、主人の岐部榮作さんだった。この温泉について尋ねてみると、囲炉裏端に誘われあれこれと教えていただいた。
宿の創業は明治40年。しかしそれ以前から温泉は湧き出し、地元の人が農作業の疲れを癒やしていたのという。宿ができてからも、基本的には地元住民だけが利用するような場所だった。それが変わったのが高度成長期。山登りがブームになり、久住町にも大勢の登山客が訪れる。その客がこぞって訪れたのが、秘湯の雰囲気が残るこの壁湯温泉だった。
しかしさらに時代が変わり、団体客が減ると20年ほど前に改装し、個人客がゆったり静かに過ごせる宿にリニューアルをしたのだという。改装したとはいっても、建物の基本は明治の築。使い込んだ囲炉裏や先々代の嫁入り道具だという箪笥が、郷愁を誘う雰囲気を醸し出していた。
「四季でがらりと景色が変わるからね。そんな自然をのんびり愉しんでほしい」
岐部さんはそう言った。
話を終えて、目当てだった洞窟温泉に向かう。川沿いの通路を少し歩くと、すぐに洞窟温泉がわかった。名前の通り、川にせり出すような崖の下部が抉れて、洞窟になり、そこに湯が満ちている。岐部さんによれば300年以上前から自然に湧き出している温泉で、傷ついた鹿が体を癒やしに来たという伝説があるという。
川沿いにある簡素な脱衣所で支度をして、湯に体を浸す。 鹿の気持ちがわかるような、やさしい湯だ。39度というぬるめの温度が心地よい。天井から落ちる雫、川のせせらぎ。野趣あふれる造りでありながら、なんとも心安らぐ湯だ。 しばし浸っていると、肌に無数の気泡が付いていることに気づいた。炭酸を含む湯の成分なのだろう。なんとも新鮮な気分だ。
さらに驚きは、あれほどぬるい湯にほんの10分ばかり浸かっただけなのに、湯上がりの体がいつまでもポカポカと温かかったことだ。どの温泉にもさまざまな効能が示されているが、これほど実感できる温泉の力ははじめてだった。
大分県 やまなみハイウェイ | 壁湯温泉 福元屋 | 栃木温泉 紅葉谷の湯 | 天空のプロムナード | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ
大分県 壁湯温泉 福元屋の駐車場に停まるレヴォーグ(セラミックホワイト) | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

「壁湯温泉 福元屋」に到着。温泉宿だが日帰り入浴も可能

大分県 壁湯温泉 福元屋の主人 岐部榮作さん | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

「壁湯温泉 福元屋」の岐部さん。長い伝統を持つ壁湯温泉の歴史を聞かせてくれた

大分県 壁湯温泉 福元屋の天然洞窟風呂 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

右手の崖の下の洞窟状の部分が天然洞窟風呂

岐部さんに別れを告げ、やまなみハイウェイに戻る。
窓を開けて走ると、火照った肌に高原の風が心地よい。帰路には、もうひとつのドライブルートである「天空のプロムナード」へ向かう予定だ。くじゅう連山をぐるりと巡る周遊道路で、素晴らしい絶景が愉しめる道だという。
だが時間はまだ昼過ぎだ。ただ決めていたコースをなぞるだけではなく、少し寄り道してみても良いだろう。私はあてもなくハンドルを切り、山道へと進む。
やや狭くなった山道は森を縫うように進む。 山景色を愉しみながら1時間ほど走っただろうか。ふと道端に「紅葉谷の湯」の看板を見つけた。
先程の温泉で温まった体はさすがに冷めてきた。しかし湯船に溶けるような幸福感はまだ覚えている。せっかくの大分県だ。もう一度、温泉に入っていっても良いだろう。私は看板に従って道を進む。ほどなく道端に、一軒の建物が見えてきた。ここが「栃木温泉 紅葉谷の湯」だ。建物の脇には、名前通りの立派なモミジがあった。
受付で尋ねると、ここは6室の家族風呂から成る立ち寄り入浴施設だという。大浴場も良いが、貸し切り風呂でのんびりくつろぐのも良い。私は受付を済ませ、家族風呂のひとつに入る。
内湯は十分に足を伸ばせる広々とした湯船。少し肌にまとわりつくような柔らかい肌触りだ。外には石造りの露天風呂もあった。こちらの温度は少し低めで、美しく手入れされた木々を眺めながらいつまでも浸かっていることができる。聞けばここの主人は造園業を営んでいるという。自然のままのようでいて、どこか庭園のような美しさも感じる木々は、造園のプロの技術なのだろう。湯と景色を愉しんでいると、貸し切り時間の60分は、あっという間だった。
大分県 栃木温泉 紅葉谷の湯の家族風呂の浴槽 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

「栃木温泉 紅葉谷の湯」の家族風呂の一例。6室の家族風呂のうち2室に露天風呂がある

大分県 栃木温泉 紅葉谷の湯の露天風呂 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

露天風呂からは庭園のように美しい山景色を望む

大分県 壁湯温泉 福元屋の駐車場に停まるレヴォーグ(セラミックホワイト) | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

紅葉の盛りは過ぎていたがモミジの美しさは「紅葉谷」の名の通り

すっかり寄り道をしてしまい、気づけば夕刻が近づいていた。
私は最後の目的地である「天空のプロムナード」に向けて車を走らせる。少しずつ傾き始める太陽で、山々の表情が変わって見える。空の色が暗くなるに連れて、ただ爽やかで開放的だった山景色が、どこか神秘的な雰囲気を帯び始める。
そして夕刻。幸運なことに、夕焼けが空を染める最高のタイミングで周遊道路の「天空のプロムナード」を走ることができた。空気の色がオレンジに変わる。太陽の最後の一筋が山の稜線に消えると、やがて深い紺色に変わる。そのほんのひとときの美しさに、私は息を飲んだ。
日本にまだこんな秘境があることに、これほどの景色が眺められることに、ただただ驚いた1日だった。秘境と温泉の魅力をたっぷり堪能したドライブで、私はますますドライブと大分県が好きになった。
大分県 天空のプロムナードを走るレヴォーグ(セラミックホワイト) | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

夕刻に走り抜けた「天空のプロムナード」。開放的な景色が愉しめる最高のドライブウェイ

大分県 夕焼けのくじゅう連山とレヴォーグ | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

夕焼けのくじゅう連山。そのスケールと美しさが胸に響いた

DATA

壁湯温泉 福元屋
住所:大分県玖珠郡九重町町田
TEL:0973-78-8754
URL:https://www.kabeyu.jp/
栃木温泉 紅葉谷の湯
住所:大分県玖珠郡九重町大字野田3077
TEL:0973-78-8202
URL:https://i-oita.net/kokonoe/spot/28357/
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Oita

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