カートピア9月号で訪れた岩手県盛岡市とSUBARU XV

Touring with SUBARU

高原の涼気と、
樹の香にひたる

NEW SUBARU XVー岩手県盛岡市/秋田県大館市

東北自動車道・松尾八幡平ICを降り、岩手山を左手に眺めながら牧草地帯を走るなだらかな坂道を上っていく。今月は青空と緑の中で鮮やかなコントラストを見せてくれるサンシャインオレンジのSUBARU XV2.0i‐L EyeSightで八幡平アスピーテラインを走り抜け、秋田県にある大館を目指した。
助手席にはこの春大学を卒業したカートピア新人スタッフが乗っている。生まれて初めてみちのくの土地を踏んだ都会育ちの彼女にとって、緑いっぱいの車窓風景や自然が生み出す空気の香りなど、体験するすべてが新鮮に映ったようだ。XVは、彼女にどんな未知の世界を見せてくれるのだろう…。

アスピーテラインを走り抜け、
天然秋田杉の森へ


八幡平アスピーテラインは片側一車線の良く手入れの行き届いた舗装路面で、ところどころにトンネルのように囲われたスノーシェルターがあるが、コーナーもそれほどきつくはなく、快適に走ることができる。山頂への登山者や観光客のクルマでにぎわう見返峠駐車場を過ぎると、秋田県へ向けて下り坂となる。途中、後生掛温泉近くのコーナーを曲がると、目の前に黒い物体が現れた。こんな時もXVは安心してブレーキを踏むことができ、ピタリと停止してくれる。黒い物体は月の輪熊。体長は1.3mほどもあろう成獣だ。熊はXVの前を悠々と横切って道路端を少し歩き、藪の中に消えた。この地では間違いなく私たちが来訪者であることを実感する。

八幡平アスピーテラインで遭遇した熊

八幡平アスピーテラインで遭遇した熊をXVのサイドウインドウごしに撮影。 

アスピーテラインを秋田側に降りて次に向かったのは矢立峠。青森との県境に近いこの峠には、天然秋田杉の森がある。道の駅『やたて峠』の駐車場からすぐに散策路に入ることができた。遊歩道を5分ほど歩くと、周囲には杉の巨木が並び立ち始める。傍らにあった解説板には幹の太さは3〜7m。樹齢は平均的なもので300年と記されていた。1991年の台風19号により200本以上の木が倒され、今では杉の周囲にミズナラ、ホウノキなどの広葉樹が枝を広げている。

SUBARU XVのコックピット

道の駅「やたて峠」からアクセスできる天然秋田杉の森。

濡れた枯れ枝や落ち葉で覆われた山道は、足を置くとサクッと沈み込む。炎天下の駐車場と違って、高い木々に囲まれた空間には涼しい風が吹き、額の汗も引いていく。

杉林の中のSUBARU XV

杉林の中は陽光が遮られ、昼間でも薄暗い。

杉が並び立つ山を眺めながら次に向かったのは大館の郊外にある大館・小坂鉄道レールバイクだ。廃線となった小坂鉄道のレールを使い、地元の鉄工会社で作った1台のレールバイクを走らせたのが2010年のこと。当初は地域活性化のために製作した映画の中の架空の存在だったが、2011年に10台の車両を集めてイベントを開催したところ、雨天にも関わらず全国から大勢のお客さんが来てくれた。

「振動や音は列車と同じ。自分でペダルを漕いでダイレクトに線路の感覚を味わいながら、緑いっぱいの美しい景色を愉しめるのが最大の魅力です」と、レールバイクを運営している小棚木政之さんは話してくれた。

鉄橋を渡るレールバイク

鉄橋を渡るレールバイク。隣に乗っているのは
(一社)秋田犬ツーリズムのコリン・フリンさん。
米国ニューハンプシャー出身で、大館に住んでいる。

小坂鉄道レールバイク理事長 小棚木政之さん

特定非営利活動法人大館・小坂鉄道レールバイク理事長を務め
る小棚木政之さん。

秋田杉でつくる
世界でひとつの手作りお弁当箱


大館駅前には立派な秋田犬の銅像がある。東京・渋谷駅で主人を待ち続けたハチの生まれ故郷がここ大館なのだ。前足をぐっと踏ん張り、両耳がピンと立った力強い像を眺めていると後方に“鶏めし”の文字を発見。秋田名物の駅弁“鶏めし弁当”をつくっている花善の店舗だった。テイクアウトの弁当の他にここで食事ができる食事処もあり、立ち寄ってみることにした。もうひとつの秋田名物、大館曲げわっぱに鶏めしが入った鶏めし御膳をいただく。
「おいしいです。特にご飯が!」
箸をつけるなり、新人スタッフの舘山は感動の表情を見せた。お米がおいしいだけでなく、大館曲げわっぱには、ご飯をおいしくする働きがあったのである。

大館駅前にあるハチ公像。

大館駅前にあるハチ公像。

花善・御食事処の鶏めし御膳とスタッフ

大館駅前にある花善・御食事処の鶏めし御膳(900円・税込)

次に訪れた大館曲げわっぱ体験工房で曲げわっぱづくりを指導してくれた齋藤忠さんが、その理由を話してくれた。
「秋田杉は、軽くて保湿性が高いのでご飯が冷めにくく、程よく水分の調整もしてくれるので、漆塗りでもウレタン塗装でもご飯がおいしくなったと言われます」
昔からお弁当箱やお櫃として曲げわっぱが使われてきた背景には、そのような理由があったのだ。
「リーマンショック以降、お弁当を持参する方が増えたようで、その頃から曲げわっぱのお弁当箱の評価が高くなり、最近は製造が追いつかないほどの人気です」
ということで、シャッター街となりつつある町を活性化するために2009年にオープンした大館曲げわっぱ体験工房も、現在はかなりの人気なのだそう。

大館曲げわっぱ体験工房の齋藤忠さん

組み立て方の手順をていねいにアドバイスしてくれた
大館曲げわっぱ体験工房の齋藤忠さん。

曲げわっぱの器

工房にはさまざまな曲げわっぱ商品が展示されている。

舘山が挑戦したのは、丸弁当箱。まったくの素人がつくって本当にまともな形になるのか? と心配していたが、先行する難しい工程はすべて本職の方が手掛けたキットを使うと分かり、ホッとする。また、このキットが完成するまでに約二週間かかっているという。
体験内容は丸く仕上げられているわっぱに底板を付け、さらに補強するための底輪を取り付けるという作業。底板と底輪は、わっぱに合わせて一つひとつあつらえたもので、サイズはぴったり。耐水性があり、体にも無害な特殊な接着剤と木槌を使って嵌め込んでいく。
「板材は軽くて薄いのに、木槌でかなり力を込めて叩いても割れないのですね」と、舘山。齋藤さんの手ほどきを受け、はみ出した接着剤をていねいに拭き取り、縁をやすりがけして世界でひとつのMyお弁当箱が出来上がった。

作成中の曲げわっぱ丸弁当箱
作成中の曲げわっぱ丸弁当箱

接着剤を塗って底板をピタリと嵌め込む。

今回つくった曲げわっぱの丸弁当箱

今回つくった曲げわっぱの丸弁当箱。山桜の皮で留めている。

今月のルート


松尾八幡平IC〜八幡平アスピーテライン〜ヤタテトウゲ〜大館曲げわっぱ体験工房〜大館・小坂鉄道レールバイク

今月の紹介ポイント


株式会社 花善

秋田県大館市御成町1-10-2
TEL:0186-43-0870
営業時間
弁当販売処 6:30〜19:00
御食事処 10:00〜14:30
(いずれも年中無休)

特定非営利活動法人
大館・小坂鉄道レールバイク

秋田県大館市雪沢字大滝30-2地内
TEL:0186-50-2555
(受付時間 8:45〜16:30)
http://www.railbike.jp
運行日 4月下旬〜11月上旬
定休日 毎週火曜日、水曜日(臨時休業あり)
出発時間 9:00〜16:00
乗車時間 往復で約30〜40分(片道約1.8㎞を往復)
【体験料金】
2人乗り 1台2,000円
4人乗り 1台3,000円
トロッコ 中学生以上1人1,000円
★1グループに記念写真1枚付き

大館曲げわっぱ体験工房

秋田県大館市大町70
TEL:0186-42-7502
開館時間 9:00〜17:00
休館日
(ウェブサイトを参照)
http://odate-magewappa.com/workshop.html
事前予約要
利用人数 1〜14名
手づくり体験メニュー
・パン皿(18㎝)
制作時間:1時間30分〜2時間
料金:3,000円
・七寸盆(21㎝)
制作時間:1時間30分〜2時間
料金:4,000円
・丸弁当箱
制作時間:2時間〜2時間30分
料金:5,000円

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