フォレスターが
「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞!
2016-2017はインプレッサ、2020-2021はレヴォーグが受賞しています!
フォレスターを徹底解剖
日常も冒険も。
幅広いライフスタイルに応える、
SUBARUの正統派SUV。
開発責任者に聞く“デザイン”から生み出された
フォレスターの真髄
デザインからの開発にSUBARUが初めて挑戦
使い手のライフスタイルに寄りそう乗用型SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)として開発されたフォレスターは、SUBARUのラインアップの中でもど真ん中の正統派SUVだ。
「もともとSUBARUのお客さまは好奇心旺盛でアクティブなライフスタイルの方が多く、以前からSUVを支持してこられました。加えて、現在はクルマを選ぶ際、SUVが当たり前の選択肢になりました。
フォレスターは、若い世代のファミリー層を中心に、初めてSUVを購入される方でも一目で『これぞSUBARUのSUV』と、その価値を感じとってもらえるようなものにしたかったのです」と、株式会社SUBARU商品事業本部の只木克郎プロジェクトゼネラルマネージャーは6代目誕生の背景を語る。
「SUVとしての価値、クルマの放つ個性が外観デザインからダイレクトに伝わるようにしたい。そのために、“堂々たる安心感ある佇まい-乗員が守られ、かつ、安心して、どこへでも行けそうな、The SUV-”というコンセプトワードをデザインで表現する、つまりクルマをデザインから始めることに挑戦しました」
3台の6代目フォレスター。左からPremium S:HEV EX、X-BREAK S:HEV EX、SPORT EX。
従来、SUBARUでは技術的な要件を寸法に落とし込み、デザイナーは寸法的な制約の中で新しいクルマのデザインを創造する方法をとってきた。寸法的な制約とは衝突安全、視界、空力といったもので昔も今も大きくは変わらない。只木には、この制約の中でデザインを始めると、クルマとして進化したとしても見た目は先代と変わらない、変化の乏しいものになってしまうのではないかという懸念があったという。何かやり方を変えなくては……只木は思い切って「デザインから開発を始めてみよう」とプロジェクトチームに提案した。これはSUBARUのクルマづくりの歴史において、初めてのチャレンジだ。
「とはいえ、SUBARUのデザイナーは常に寸法的な制約の中で新しいデザインを生み出す仕事のやり方をしてきているので、『自由につくる』という発想からスタートしても制約を意識しながら仕事をしてくれるんですね。それでも、その取り組みから制約を超えた意匠がさまざまな部位の細部に生まれていきました。そしてそれが今回の開発でデザイナーがつくりたいもの、大事にしたいことなのだろうと解釈し、どうやって技術的な要件と折り合いをつけていくかというところに一番、労力を費やしました」
乗る人全員の安全を第一に考えるSUBARUのクルマづくりは、技術的に求められる要件が厳しいと容易に察せられる。これまでは、求められる性能を定量値に落とし込み、寸法的な制約を設けることにずっと力を注いできた。そして、それがSUBARUらしさでもあった。しかし、と只木は続ける。
「見方を変えると、従来のやり方を疑ってかからずに続けてきたんです。お客さまの期待には応えなくてはなりませんし、決して機能、性能を譲るわけではありません。ただ、これまでの考え方が正しいのか、このやり方でいいのかという議論を今まではあまりしてこなかった。でも今回はそんな議論を重ねました」
デザインが技術的要件にもたらした効果
『デザインからつくるクルマ』として開発がスタートしたフォレスターは、新しい議論を重ねるうちに思いがけない収穫を得ていく。技術的な要件自体もさらなる進化の方向に向いたのだ。最たる例が、視界。これまでのフォレスターではドライバーから真正面に見える視界の範囲を数値化し要件としていた。6代目はデザインをフックに全ての議論が始められたので、ドライバーは真正面だけではなく周囲全体を広く見ているという着眼のもと、視界全体の見やすさをデザインから工夫できるのではないかという発想が生まれ、具現化されていった。
「ドライバーの目線から見るとどうしても凸凹が見えていました。例えばワイパーのブレードの付け根などが視界に入ると、無意識に形をもったノイズとして目が行きがちになり、注意力の散漫につながってしまう。単に見える見えないだけでなく、そういったノイズの要素もできるだけ取り除いて、見ないといけない方向に注意が向くような視界のつくり方をしました。これが、非常に難しかった。
現在は3D技術やバーチャルリアリティ技術が活用できるので、立体画像につくり上げた仮想空間を使って評価や検証ができるようにはなっていますが、人間の目の機能と脳の処理能力にはとても追いつかない。できるかぎりはやるんですけれど、人間の目で見ている状態とはまったく同じではない。この考え方でつくれば視界はよくなっているはずだとやっていくんですが、確かめる術はなく、クルマが完成したときに初めて分かる。できてしまうと、もう直せない。6代目が完成して乗ってみたとき、思っていたとおりの視界のよさが実現されていて、これは本当に嬉しかったですね」
プレミアムを軸に横幅を広げたグレード構成
こうして堂々とした佇まいのデザインに包まれた6代目フォレスターには、Premium、SPORT、X-BREAKと、3つのグレードがラインアップされている。それぞれ、どんなところを目指して完成に至ったのだろう。
「フォレスターはSUVですから、アウトドアユースか都市生活ユースかでいうと基本的にアウトドア寄りです。Premiumを中心にしながら、SPORTは都市生活寄り、X-BREAKはさらにアウトドア寄りに振り、同じSUVの中で商品の幅を広げた構成になっています。よくある松竹梅と表されるような価格に応じて装備が豪華になるといった縦のグレード構成ではなく、お客さまの使い道、ライフスタイル、家族構成に応じて選んでもらいたくて、グレード構成を横に広げました。ユニークなキャラクター付けをしたのはSPORTとX-BREAKの2つであり、6代目フォレスターのコンセプト、やりたかったことを素直に具体化したのがPremiumです。ど真ん中のSUVとして逞しさ、走破性の高さが一見して分かるような外観を目指しました」
Premium S:HEVは、フォレスターが持っている価値を継承し、佇まいから本物のSUVらしさを表現。
自然と共生するアウトドアフィールドでの活用を前提とし、タフな実用性を備えたX-BREAK S:HEV。ストロングハイブリッド搭載。
クルマの重要な選択基準とされる燃費に対しては、ストロングハイブリッドが搭載された。6代目フォレスターは2.5L直噴エンジンに2つのモーターとバッテリーを組み合わせたストロングハイブリッドと、1.8L直噴ターボエンジンの2つのパワーユニットをラインアップ。パワーユニットの特性に合わせて、それぞれ専用の足回りチューニングも行っている。
「そもそもターボと、バッテリーを積むハイブリッドでは数十キロという単位で車両重量が違い、足回りそのものは分けて開発する必要がありました。ならば、味付けも変えようと。ターボと比べるとストロングハイブリッドは少し滑らかな乗り心地で、路面の継ぎ目を走ると下からコツコツ突き上げてくる振動をうまくいなしてくれるようなダンパーにしているので、上質に感じてもらえるのではないかと思います。
ストロングハイブリッドは高出力モーターを使っているため、レスポンスがよく低速域のトルクコントロールがしやすいといった特徴があります。そのため走り出しの滑らかさや、エンジン走行時にモーターアシストをプラスした力強い走りなど、中低速域で気持ちのよい走りが感じられます。ターボは高速域での加速の伸びがよく、軽快でパワフルな走りの愉しさを味わえることが特徴です。ターボの基本的なスペックは旧型と変わっていないのですが、6代目はクルマそのものが進化しているので、アクセルを踏んで加速していくときに聞こえてくるエンジン音などの騒音が抑えられ、乗り比べれば6代目の快適さや走りの質感の高さを感じていただけると思います」
Premiumからより都会のライフスタイルに合う上質感、輝きをプラスしたSPORT。エンジンは1.8L直噴ターボ。
モデルチェンジしてもフォレスターらしさは不変
6代目フォレスターは正統派SUVというポジションを強く意識して開発されたことがよく分かる。そうすると、数ある他のSUVとは一線を画す“フォレスターらしさ”はどのあたりに込められたのか気になるところだ。
「フォレスターらしさとはずばり、扱いやすさです。以前からフォレスターはSUVにしては外寸がちょっとコンパクトで取り回しがしやすいと評価をいただいています。狭い駐車場でも入れやすいといったところがメリットだと思っています。外寸は小さいですが、室内空間はというと実は同じカテゴリーのクルマの中でトップクラス。コンパクトで、車内は広く、すごく扱いやすいSUVなんです。最低地上高もきっちりあって、アプローチアングルもちゃんと確保できているので、例えば出かけた先のキャンプ場などで本当に最後の目的地まで辿り着けるようになっている。扱いやすく期待に応えてくれるクルマというのが誕生以来受け継いできたフォレスターらしさです。フルモデルチェンジしても『やっぱりフォレスターだね』って言ってもらえる“らしさ”を継承することを意識して開発しました」
さまざまなシーンで運転しやすい、取り回しのよさを実現。
扱いやすさに関してはユーティリティも重要な要素となるが、6代目フォレスターの荷室は至ってシンプルだ。荷室をどういう仕立てにするか検討するとき、乗り手のニーズに合わせると、あれもこれも備わっているべきだと足し算の議論になりがちだが、只木の選択はむしろ逆だった。
「自分としては、実用面はおせっかいなものにしたくなくて。荷室は特に、四角くて何もないのが一番使いやすいと思うんです。だからあまり余計なことはしない。余計なことはしないぶん、使い道に合わせてお客さま自身がアレンジできるようユーティリティナットに純正アクセサリーを組み合わせることで、用途により工夫が広がっていくような仕立てとしました。
6代目フォレスターはデザインを強化することから始まりましたが、決して見たことがないような奇抜なクルマをつくるということではありません。手に入れた後にだんだんつまらなくなるものではなく、どちらかというと飽きのこないデザインを意識したんですよ。カタチが決まってもう2、3年経ちますが、いま見ても格好いいなと思いますし、そういうデザインになっていると自負しています。お店で実車をご覧いただき、気に入って選んでもらえたら嬉しく思います」
用途に応じて、バーやラックなどさまざまな純正アクセサリーを装着することができるユーティリティナット。
Profile
只木 克郎 / TADAKI Katsuro
株式会社SUBARU 商品事業本部 プロジェクトゼネラルマネージャー
1995年、株式会社SUBARU入社。入社以来、一貫して設計に従事し、最初に参画したのが初代フォレスターだった。2000年代初頭からおよそ3年半、米国インディアナ州にあるSUBARU Research and Development(SRD)の設計チームに配属となる。中西部の広大な土地で日常の暮らしを送るなか経験したグランドツーリングがその後のクルマづくりに影響を与えることとなった。帰国後、レガシィ アウトバック、5代目フォレスターの開発などを経て、2022年より現職。
カーデザイナー髙木曽太と巡る
6代目フォレスター デザインクルーズ
デザインコンセプトはReady for Adventure
今回のデザインは、遠くから見ても明らかに新しいフォレスターと分かるような大きな進化が求められました。フロントフェイスの変化感はもちろん、サイドから見たときにも全く違うクルマに見えるよう、先代モデルのスポーティで軽快な表現から、水平基調でどっしりとした安定感のある重そうな表現に大きく変更しました。SUBARUの中でいちばんファミリー層に選ばれるモデルですので、4人で乗っても快適な空間が広がっているように見えることも重要です。横から見たときに、先代モデルは前から後ろに向かってウインドゥが狭くなっていたのを、6代目ではウインドゥエリアをフロントからリヤまで水平基調でしっかり確保しています。
これまでのSUBARU車の開発は「衝突安全で最高評価を獲得する」「0-100km/h加速を何秒にする」といった性能目標を第一に置いていました。デザインをスタートする時点で、その性能をクリアするために既に触ることができない領域もありました。6代目フォレスターでは、これまでとの変化幅を大きくするために、デザインを優先する開発アプローチを採用しています。SUBARUのデザイナーは長年の経験で、性能が犠牲になるデザインのラインを把握しているので、自由にやってもいいよと言われても、自然とその制約を守ったデザインになりやすいので、いかに飛躍できるかは苦労した点です。
SUBARU車のイメージがある程度認識されている中で、変化が大きすぎると、「SUBARUっぽくないね」とお客さまもマイナスの印象を持ってしまいます。お客さまは、ただカッコいいからではなく「丈夫で衝突安全性が高い」「荷物がいっぱい積める」「悪路を走っても平気」といったクルマが持っている機能を重視し、それがデザインで表現されているからこそSUBARUを選んでいただいています。デザイン優先になったからといって、これまでSUBARUが大切にしてきた、機能性の高さをデザインで表現することは忘れていません。守りたいことを守りながら新しいデザインにチャレンジできたことは、デザイナーとしても苦労したぶん、愉しい経験でした。
フロントフェイスは大きく変わりましたが、顔を隠して新型と旧型を並べても、ボディ全体のボリュームの付け方やプレスの表現の違いは2世代分くらいの進化が実現できたと思っています。デザイナーだけではなく、クレイモデラーやデジタルモデラーが競い合うように表現を高めていったからこそ実現できたのだと思います。デザイナーが描いた絵を受け取ったクレイモデラーは「絶対にデザイナーの絵よりカッコいいクレイに仕上げてやろう」とクレイモデルを削り上げます。クレイモデルを測定してデジタルデータを作るデジタルモデラーも「クレイモデルよりきれいな面で、クルマの狙いがはっきり出るようなデータを作ろう」と、各工程で知恵や工夫が入ってくるのがSUBARUのクルマづくりの特徴です。
他のメーカーに入社した大学の知り合いに聞くと、デザイナーがデジタルデータまで作ることもあるようです。そのほうが効率はいいかもしれませんが、その場合デザイナーが作れるスキルでしかデータが作れません。SUBARUはデザイナー、クレイモデラー、デジタルモデラーの三者のスキルが合わさることで、デザイナーの描いた絵を超えるクルマに仕上がるんです。車種数が少ないSUBARUだからこそできる長年積み重ねてきた作り込みが、デザインを優先して開発された6代目フォレスターで存分に発揮できたと思います。
それではこれから、エクステリア、インテリアを巡り、私たちが込めたこだわりの数々をご紹介していきます。
エクステリアから醸し出すSUVらしい重厚感
エクステリアデザインで先代からの変化が分かりやすいのはフロントフェイス周りかと思います。先代まではコの字のモチーフを入れたヘッドランプと六角形のグリルを分けて構成していましたが、6代目はグリルからヘッドランプまで軸を通したひと塊のデザインにすることで、寸法以上のワイドさを表現しています。
グリルは下地となるベース、表情をつけるバー、六連星マークから伸びる一直線のモールの3つの部品で構成されていますが、各部品のカラーコーディネートをグレードごとに明確に変えたことも、6代目の大きなポイントです。例えば、Premiumはベースの部分が艶のあるブラック、バーはダークグレー、モールはシルバーと3つのカラー。3色の組み合わせにより、立体感のある表情を持ったPremiumらしい上質さを演出しました。
フロントフェイスの違いにはみなさんすぐ気がつくかと思いますが、カーデザイナーとしては、一目見たときの重厚感をいかにアップするかがエクステリアデザインの重要課題でした。先代まではスポーティさを強調するために、ボディのキャラクター線も軽快で勢いのあるシャープなラインで構成していました。6代目は、あえてキャラクター線の角に丸みをもたせ、実際のボディの素材よりも厚みを感じさせるような処理を行うことで、安定感があり守ってくれそうな、重厚な表現に大きく変えています。また、タイヤの上の部分を囲う黒いフェンダーも、6代目ではフェンダーの上のボディ部分に押し込んだようなラインをつけることでボディの内側からフェンダーが盛り上がってきたような筋肉質な表現としています。
その他にも、実車で見てもらいたいこだわりを各所に込めています。例えばヘッドランプとリヤコンビランプは内部に骨格の存在を感じさせるシルバーのパーツを配置することで頑丈さと機能性の高さを表現しています。これまでのSUBARU車ではランプ内部に装飾を施すことはあまり例がないので、細かい作り込みを近くでじっくりチェックしていただきたいです。
新たに設定したボディカラーであるリバーロック・パールもシチュエーションによって印象が変わるので注目です。陽の光が当たる時間はパールにより陰影(コントラスト)が強調されて立体的な造形が際立ち、夜間や屋内では陰影を抑えた落ち着きのある印象を与えます。街中から大自然まで、どんなシーンにもマッチするフォレスターならではのボディカラーです。ぜひ実車でご覧ください。
使うたびに愛着が湧くインテリア
エクステリア同様、インテリアもインパネからドアまでボリュームのある断面を水平基調で通した力強い立体構造により、安心感と高品質感を表現しました。ファミリーカーとして使用されることが多いクルマですので、後席にも人が乗る前提でさまざまな工夫をしています。カタログの装備表にも載らないような、一見しただけでは気付かないこだわりのポイントを3カ所に絞ってご紹介します。
1つ目はフロントシートの形状です。実は左右非対称で、車両の中央側(運転席だと左側、助手席は右側)のショルダー部分のボリュームを1cmほど削っています。例えば前席の運転者が後席のチャイルドシートのお子さまに何かを渡そうとしたときに、この部分が1cm削れているだけでも動きやすいということが試作を重ねる中で分かり、採用しました。
次に、リヤドア内側のドアトリムのデザイン。スライドドアのように前後のドアの形状が大きく違いがあるような車種以外は、リヤドアトリムはフロントのデザインをコピーしたものが採用されることがほとんどです。フロントドアは、トリムの表皮をインパネと連続性のあるデザインとし、しっかりと囲まれたタフさと安心感を演出しています。いっぽう、リヤはフロントとはデザインを変え、座る人のパーソナルスペースの周りに布地の素材を多く持ってくることで、後席の人にも包まれるような守られ感を演出しています。
3つ目がリヤゲートトリムです。あまりデザインをしない箇所ですが、あえて凹凸をつけ、6角形の盛り上がった部分に等高線をモチーフにしたテクスチャーとSUBARUロゴを入れました。リヤゲートに腰掛けながらレジャーの準備をしているときに、ふと上を見上げるとSUBARUのロゴが目に入る。そんなシーンを想像してこだわってデザインしました。
こうしたデザインを行うと、設計からやり直しが必要となり、開発の工数はそのぶん増えます。それでも、このような細かい部分にも開発工数をかけてつくる……その理由は、購入されたお客さまの満足度を左右するのは内装デザインだと思っているからです。外装デザインはクルマの購入理由となる大きな要素です。いっぽう、内装は乗っているうちに「ここは使いやすいな」と、クルマへの愛着を上げていく役割を持っています。SUBARUのインテリアデザイナーは実際にお客さまが使用されてどう便利なのかまで常に考えてデザインをしており、今回の内装デザインはその面でもやりきったと自負しています。
それぞれに個性を持った、2つのグレードのデザイン
■大自然に映える“X-BREAK S:HEV”
X-BREAKはアウトドアをはじめとするレジャーを思いきり楽しみたいお客さまに向けたグレードです。他のグレードでは塗装でカラーコーディネートをしたフロントグリルや6角形のバンパーガードも無塗装で、汚れを気にせずガシガシ使えるキャラクターを演出しています。ルーフレールもX-BREAKのみにラダータイプを採用しています。このルーフレールはただデザイン的にタフなSUVらしさを見せるのではなく、アタッチメントやベースキャリアを取り付けたり、穴の部分にロープをかけて荷物を固定できたりと、多用途性に優れています。
デザイン的な特徴といえるのが、グリルやシートのステッチに施されているグリーンのアクセントです。レガシィ アウトバックのX-BREAKで採用されたエナジーグリーンというカラーです。先代のフォレスターX-BREAKにはレッドオレンジというアクセントカラーがありましたが、今回はキャンプ場などライフスタイルの中でのシチュエーションで親和性が高いこの色を採用しました。X-BREAKを選ばれるのは、アウトドアの趣味を持っていることをクルマでもアピールしたいお客さまが多いと思います。
レガシィ アウトバックのX-BREAKではワンポイントのあしらいですが、6代目フォレスターではグリルのモールにエナジーグリーンが目立つようにレイアウト。ラダータイプのルーフレールと合わせて、X-BREAKのキャラクターが遠くから見ても一目で分かるようなデザインに仕上げています。
シート表皮:撥水性ポリウレタン/合成皮革/内装色:ブラック/グレー(グリーンステッチ)
インパネトリム:ダークグレー(グリーンステッチ)/インパネ加飾:シルバー塗装/ベンチレーショングリル加飾:ブレイズガンメタリック
■都市に映える“SPORT”
近年のSUBARUはエクステリアをブラックカラーで引き締める表現でスポーティなイメージを演出してきました。1.8L直噴ターボ“DIT”搭載グレードであるSPORTも、フロントグリルを全て艶のあるブラック塗装にすることで、スポーティな表情を作り出しています。
従来のスポーツモデルの場合アルミホイールもブラックにするところですが、6代目フォレスターのSPORTでは国内モデル初採用となるブロンズ塗装を施しました。SUPER GTに参戦するSUBARU BRZでもマットブロンズのホイールを採用したり、STIのコンプリートカーでは以前からゴールドのホイールを装着するなど、金属調カラーのホイールはSUBARUならではのスポーティなアイテムとして認知されています。
また、スポーティさに加えて、上質さもテーマにしています。ブロンズの少し温かみのある金属色は、ひと手間かけた上質感を演出する狙いもあります。ホイールだけではなく、フロントとリヤのバンパーガード、サイドクラッディング、インパネの加飾パネルなどにもブロンズカラーを採用し、SPORTの個性を一目でアピールできる、統一感のあるコーディネートとしています。スポーティさを好む方にも、落ち着いた上品さを求める方にも、フォレスターのターボモデルを支持する幅広い年齢層のお客さまに選ばれるようなデザインを目指しました。
シート表皮:ウルトラスエード/合成皮革/内装色:ブラック/グレー(ブラウンステッチ)
インパネトリム:ダークグレー(ブラウンステッチ)/インパネ加飾:ブラウン塗装/ベンチレーショングリル加飾:ピアノブラック
Profile
髙木曽太 / TAKAGI Sota
株式会社SUBARU 経営企画本部 デザイン部 車種開発プロジェクトチーム シニアデザイナー
2001年入社。7人乗りモデルのエクシーガ、クロスオーバーセブンなどのシートやトリム周りのデザインを担当し、6代目レガシィや北米市場で販売されているアセントでは内装部門のリーダーに抜擢。その後、6代目フォレスターのデザイン全体を統括する現在のポジションに。学生の頃はエクステリアのデザイナーを志していたが、SUBARUに入社してからは、外装よりも触れる時間が長く、乗る人の気持ちにダイレクトに応えることができるインテリアデザインの魅力に気づき、内装デザイン一筋でキャリアを重ねてきた。
1st model 1997〜
SUVと乗用車の双方の魅力を持ったクロスオーバービークル。
1980年代から、日本や米国ではSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)の人気が高まってきました。当時日本ではRV(レクリエーショナル・ビークル)と呼ばれていたこのカテゴリーへのニーズに応えるため、レガシィ・インプレッサに続く新世代SUBARUの第3のモデルとして、1997年2月初代フォレスターがデビューしました。初代フォレスターのキャッチコピーは「RVが、スポーツの走りを手に入れた」。発表に先立つ1996年10月、米国インディアナ・モータースピードウェイで24時間世界速度記録に挑戦し、平均速度180.082km/hの新記録を樹立し、他メーカーのSUVとは一味違う走りの良さを実証したデビューとなりました。セダンにはないアイポイントの高さと乗降性、ワゴンにはない走破性と室内のゆとり、そしてスポーティな走行性能。SUVと乗用車の両方の魅力をもったクロスオーバースタイルは、ひと足先にデビューしたレガシィ グランドワゴン(アウトバック)と同様に、日本国内はもちろん、米国や欧州でも人気を博しました。
TOPIC
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1996年10月米国インディアナ・モータースピードウェイで24時間世界速度記録達成。
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2000年の改良モデルで、STIと共同開発した特別仕様車「S/tb-STi」を設定。車高を下げ、専用チューニングの足回りでオンロードでの走行性能を向上。
2nd model 2002〜
クロスオーバーカテゴリーで世界トップの実現を目指す。
各国で高い評価を得たフォレスターの最初のモデルチェンジにあたりSUBARUが目指したのは、クロスオーバーSUVカテゴリーで世界トップクラスのポテンシャルを実現すること。2002年2月『“BEST of BOTH” WORLDを追求したクロスオーバーSUV』をコンセプトに“乗用車とSUVのいいとこ取り”をさらに進化させた2代目フォレスターが誕生しました。初代から継承されたコンパクトなボディに、走りや安全性、そして使いやすさをバランスさせた絶妙なパッケージングを「毎日をアクティブにする自由性能」として磨きをかけました。2002年10月には、タウンユースに求められる商品力をさらに高めたスタイリッシュな外観の「フォレスターCROSS SPORTS」が登場。立体駐車場の利用に配慮した車高1550mmのパッケージングとし、専用のサスペンションやタイヤなどを採用しオンロード性能を強化。フォレスターのフィールドを都市部へ広げ、“BEST of BOTH” WORLDをさらに拡大しました。
TOPIC
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2002年10月「CROSS SPORTS」を発売。最低地上高を170㎜に下げ、専用の足回りと外装を装備。
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2003年2月特別仕様車「X20 L.L.Bean EDITION」発売。SUBARU(当時は富士重工業株式会社)とL.L.Bean社は、両社の「本質を追求した商品づくり」に共感。日本国内のマーケティング活動について提携関係を結んだ。
3rd model 2007〜
クルマに乗るすべての人に、輝きのある時間を。
「新世代クロスオーバー」として2007年12月にデビューした3代目フォレスターは、これまでの基本コンセプトを継承しながら新たな価値を付加するために、SUVらしさを強化。ボディサイズを拡大し、力強いスタイルと快適でゆとりある室内空間を実現。最低地上高も当時のカテゴリートップの225mm(2.0XT)にアップし、さらに走破性を向上させました。2010年の改良モデルでは、1989年発売の初代レガシィに搭載した第2世代BOXERエンジン(EJ型)以来、21年ぶりに全面刷新した「新世代BOXERエンジン」を搭載。環境と走りの性能をより高次元で両立し、3代目フォレスターの基本コンセプトである「Best Balance for Active Life」の価値をさらに強化しました。
TOPIC
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全長、全高、全幅、ホイールベースを拡大させながらもリヤオーバーハングを抑えることで、優れた取り回し性と快適でゆとりある室内空間に。
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2010年STI コンプリートカー「tS」を発売。15mm車高を下げるコイルスプリングなど専用の足回りや、数々のSTIパーツを装備。専用色としてWRブルー・マイカを設定し、専用の内外装を備え大人のスポーツモデルにふさわしい雰囲気を演出。
4th model 2012〜
SUVとしての本質的な価値を実現した「全方位SUV」。
2012年11月に登場した4代目フォレスターは、「SUVとしての本質的な価値の実現」を目指し、新世代BOXERエンジンや新リニアトロニック、アイサイトver.2など、最新の技術を搭載しクルマの基本性能を進化。新開発のAWD制御システム「X‒MODE」を初搭載し、クロスオーバーから進化した本格SUVとして悪路走破性をさらに高めました。4代目フォレスターは、広告キャンペーンとして、発表の2012年11月から2013年10月の約1年に渡り世界五大陸約10万kmを走破するキャラバンイベント『FORESTER LIVE(フォレスターライブ)』を実施。テレビCMで各国での行程がオンエアされ、フォレスターの機能・性能の高さを実証しました。
TOPIC
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4輪の駆動力やブレーキなどを適切にコントロールし、悪路の走破性を高める「X-MODE」を初めて採用。
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2015年11月発売の改良モデルでは、SUBARU初となる「アダプティブドライビングビーム」と「LEDハイ&ロービームランプ/ステアリング連動ヘッドランプ」を採用。
5th model 2018〜
もっと、遠くへ。もっと、家族と。
2018年にモデルチェンジした5代目フォレスターでは、これまでのフォレスターの価値を継承しながら、「スバルグローバルプラットフォーム」や水平対向エンジンと電動技術を組み合わせた「e-BOXER」、SUBARU初となる乗員認識技術「ドライバーモニタリングシステム」など様々なSUBARU新時代のテクノロジーを採用。そして「歩行者保護エアバッグ」や「アイサイト・ツーリングアシスト」を全車標準装備し、優れた安全性も実現しました。豊かさ、快適さ、愉しさ、冒険心を感じられるエモーショナルで身近なSUVとして、約7年にわたる長いモデルライフの中で、多くのお客様に選ばれました。
TOPIC
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水平対向エンジンと電動技術を組み合わせた新開発のパワーユニット「e-BOXER」を搭載したAdvanceをラインアップ。
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2020年新開発1.8L直噴ターボ“DIT”エンジン搭載グレード「SPORT」を追加。また、2022年に専用の足回りと内外装でスポーティな質感を磨き上げた「STI Sport」を追加。
6th model 2025〜
人生をともに駆け抜けるSUV。
2025年4月、ついに6代目となるフォレスターがデビューしました。今や市場の主流となったSUVカテゴリーの中で、これまで継承し進化してきた“どこにでも行ける、どこでも使える”というフォレスターの価値をより多くのお客様に届けるために、一目見るだけで冒険への期待が高まる、堂々とした存在感のあるデザインを備え生まれ変わりました。家族構成、生活様式、趣味など、お客様のライフスタイルが変化しても、確かな価値で寄り添い続けるSUBARUが理想とする正統派SUVとして、フォレスターの冒険はこれからも続いていきます。
TOPIC
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BOXERエンジンとシンメトリカルAWDに、2つのモーターとバッテリーを組み合わせた「ストロングハイブリッドシステム」搭載グレードが新登場。
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自動車専用道路走行時の快適性と安全性を高める高度運転支援システム「アイサイトX」をフォレスターとして初搭載。