トピック

Car Watch×カートピア スペシャルコラボ

東京・恵比寿発、本州縦断ロングドライブ【後編】

トピック | 2025/02

カートピア 公道を走っているクロストレック Premium S:HEV EX。 | SUBARU

クロストレック Premium S:HEV EXの優れた燃費性能と大容量タンクでいったいどこまで走れるだろうか?そんな大いなる期待をもとにCar Watchとカートピアが特別連動企画!モータージャーナリスト山田弘樹氏がステアリングを握り、長距離ツーリングに出た。

●前編はこちらからご覧いただけます。

渋滞時はアイサイトXで長距離でも疲れにくい


首都高速道路に入っても、こうした印象は変わらなかった。曲がり込んだカーブでもそのステアフィールは軽やかかつ正確で、ターンインではスムーズにノーズがコーナーの内側へ入っていく。ターンミドルで姿勢が安定しているのは、ハイブリッドシステムが車体の中心線に沿って配置され、シンメトリカルAWDの美点が損なわれなかったからだろう。そこからコーナーの出口に向けてアクセルを合わせ込んでいくと、四輪が旋回Gを実に気持ち良く縦Gへと変換していく。

カートピア 関門橋を走るクロストレック Premium S:HEV EX。 | SUBARU
山口県下関市と福岡県北九州市門司区を結ぶ関門橋を走る。本州を縦断し、九州に上陸するまであと少し。

東名高速道路に入ってからは、ドライバビリティに注目してみた。その主役となるのはやはり、クロストレックPremium S:HEV EXに設定された「アイサイトX」。中でも特筆すべきは「アクティブレーンチェンジアシスト」の制御だろう。全車速追従機能付クルーズコントロール(ACC)を起動させ、アイサイトXのスイッチを押して作動を確認。そこからウインカーレバーを半押しすると、3D高精度地図データのある自動車専用道路であれば周囲の安全を車両が確認した後、すみやかにレーンチェンジの操舵支援が始まる。

カートピア アイサイトXが作動している状態の画面表示。 | SUBARU
クロストレックとしてアイサイトXを初採用。渋滞時ハンズオフアシストやアクティブレーンチェンジアシストなど高度運転支援システムが使える。

こうした制御は既にSUBARUでも実用化されていたが、クロストレックS:HEVでは一連の動きが明らかにスムーズになった。ハンドルの切り始めには唐突感がまるでなく、かつ操舵スピードと操舵量が適切なため、修正舵を与えることすらなくレーンチェンジが完了するのだ。これまではややアトラクション的な印象だったアクティブレーンチェンジアシストが、最新世代では十分実用できる装備になった。そして渋滞時ハンズオフアシストが、とても実用的だった。車間を守り、かなりの操舵追従性を見せるのは当然ながら、低速時にしか作動しない制御も安心感が高い。だからインジケーターが青く光ってアシストが始まると、ホッと一息つくことができた。

カートピア アイサイトXの渋滞時ハンズオフアシストが作動している状態の画面表示。 | SUBARU

ACCそのものの制御についても、全く同じことが言えた。曲率が大きいカーブに対する減速や操舵、そしてブレーキのかけ方など、全ての制御がさらに洗練されていた。

カートピア 渋滞している高速道路を走行するクロストレック Premium S:HEV EX。 | SUBARU

こうしたアシストのおかげで、アイサイトXで高速巡航をすると、非常に疲れにくい。そして運転中にリラックスできるようになったことで、さらに周囲の状況が見渡せるようになった。ステアリングのタッチセンサーは静電容量式だから軽く手を添えるだけでACCによる走行ができるが、完全にクルマ任せというよりも、感覚的にはドライバーが運転を見守ってあげる立場になったという表現の方が近い。

カートピア ステアリングを握る、モータージャーナリストの山田弘樹さん。 | SUBARU
街中や高速道路を流れに乗って走り、ストロングハイブリッド化したクロストレックの良さを存分に味わえた。アイサイトXも装備され、疲労を大幅に軽減してくれた。

さらに驚いたのは80〜100㎞/h付近の巡航で、かなり頻繁にEVモードに入ったことだ。通常だとEV走行は高速巡航時の効率がわるく、エンジン走行を軸とするのが常套手段だと思っていたが、クロストレックS:HEVはかなり積極的にエンジンを停止させて、EV走行した。

シンメトリカルAWDの走りを維持しつつ、九州へ到達


さて、ハイライトは終盤の下関で訪れた。北九州へと向かう関門橋に差しかかったところで、ついにエンプティランプ(燃料残量警告灯)が点灯したのだ。メーター内に表示される航続可能距離は60㎞。コーションランプはつきつつも九州上陸は目前だった。

そのまま北九州の街中へ行くことは可能だったと思われるが、ここは大事を取って、九州で最初の降り口となる「門司港IC」で高速道路を降りた。折しも最高のタイミングで11.6インチセンターインフォメーションディスプレイには周辺にあるガソリンスタンドの検索を提案するメッセージが現われ、それに従いながら、門司のガソリンスタンドに到着した。

カートピア 門司港レトロの前に停車するクロストレック Premium S:HEV EX。 | SUBARU
印象的な建物が並ぶ門司港レトロ。マグネタイトグレー・メタリックのボディカラーはどんな景色にもなじむ。

ちなみに給油量は58.17Lと、純粋なタンク容量で見る限り残りは4.83Lとごくわずかだった。

しかしここで重要なのは、SUBARUらしいシンメトリカルAWDの走りを維持しながら、九州へ到達したことだ。それはSUBARUファンだけでなく、SUBARU車に乗りたくて躊躇していた人々も、期待が高まる結果だったと言えるのではないだろうか。

プロフィール

カートピア 山田弘樹 YAMADA Kouki | SUBARU
山田弘樹 YAMADA Kouki

モータージャーナリスト

自動車雑誌「Tipo」の副編集長を経て独立。編集部在籍時代からレース活動を始め、各種ワンメイクレースを経てスーパーFJ、スーパー耐久にも参戦。この経験を活かし、モータージャーナリストとしての執筆活動と並行して、レースレポートやインストラクター活動も行っている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

今月乗った車

カートピア CROSSTREK S:HEV EX | SUBARU
CROSSTREK Premium S:HEV EX

全長×全幅×全高 / 4480×1800×1575mm*
 *ルーフレール装着車の場合は+5mm
最低地上高 / 200mm
パワーユニット / 2.5L DOHC 直噴+2モーター[e-BOXER(ストロングハイブリッド)]
トランスミッション / リニアトロニック
駆動方式 / AWD
タイヤサイズ / 225/55R18
燃費消費率(WLTCモード) / 18.9km/L
燃料タンク容量 / 63L

カートピア クロストレックの詳細はこちら | SUBARU
カートピア クロストレックを試乗してみる | SUBARU

※燃料消費率は定められた試験条件のもとでの数値です。したがって、実際の走行時には、気象、道路における交通の混雑の状態、運転方法に応じて燃料消費率が異なってきます。
※WLTCモードは、市街地、郊外、高速道路の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モードです。市街地モードは信号や渋滞等の影響を受ける比較的低速な走行を想定し、郊外モードは信号や渋滞等の影響をあまり受けない走行を想定、高速道路モードは高速道路等での走行を想定しています。

Photographs●高橋 学
協力●Car Watch編集部
Car Watch https://car.watch.impress.co.jp/

※こちらの記事は2025年冬号に掲載した内容です。

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