カーゴルームのユーティリティを拡張する
新型フォレスターの純正アクセサリーパーツ
メーカーを知る | 2025/07

新型フォレスターの純正アクセサリーは、“FUNな気持ちを生み出すワクワクするアイテム”と、“使うほどに満足感を高める機能性を持ったツール”を兼ね備えることを目指し、“FUN”ctionというコンセプトワードを掲げて開発しました。このコンセプトを実現するため、従来の企画・開発手法を大きく見直しました。これまでは、商品事業部が車両の企画を行い、車両仕様が確定した後にアクセサリー企画部がアクセサリーパーツの企画に取り掛かる、という流れでした。今回は、お客様に新たな価値をお届けするために、車両とアクセサリーの企画・開発を同時に進めるというアプローチに挑戦しました。この取り組みから、SUBARUらしさを存分に感じられる純正アクセサリーが誕生しました。
カーゴルームの可能性を拡げる8個の“クレーター”
新型フォレスターのリヤゲートを開けると、カーゴルームの両サイド(左右それぞれに3か所)とリヤゲート(2か所)の内側に直径5㎝ほどの円形のくぼみが全部で8個あることに気付きます。これはアクセサリーのユーティリティフックを装着するために設けたもので、新型フォレスター全グレードに標準装備しています。従来、アクセサリーパーツのためにベース車のインテリアデザインにここまで手を加えることはありませんでしたが、新型フォレスターではお客様の体験や経験と車両をシームレスに結びつけ、お客様のライフスタイルに密着したアイテムを創造するために、車両とアクセサリーの同時企画・開発を初めて実現しました。
ユーティリティナットの配置、カタチにはすべて意味がある
開発に際して、最初から何を作るか決まっていたわけではありません。まず考えたのは“フォレスターの世界観をアクセサリーで表現しようとしたときにどんなことができるのか”ということでした。まず、商品事業部、アクセサリー企画部、デザイン部からコアメンバーが集まり、調査やアイデア出しを行い、フォレスターの強みである使いやすいカーゴルームに、さらにSUBARUらしい新たな付加価値を創造しようということになりました。
そこで、様々な趣味やスポーツなどでクルマを使いこなしている社内の有志を集めて通称“アクティビティの達人ヒアリング”を行い、実際の使用シーンでどのようにカーゴルームを使っているのか見せてもらい、カーゴルームに何があったら便利なのか詳しく話してもらったのです。そこで得られた多くの要望や、使い方のアイデアの中で、最も実現性が高く、便利に使えそうだったのが、荷室を上下に区切って使い勝手を高める棚でした。例えばフロア面にクーラーボックスやスーツケース、マイバスケットやベビーカーなど、重かったりかさばったりするものを置き、棚の上にジャケットやブランケットなど、軽いものや汚したくないものを置くことができれば、後席からすぐに手に取ることもできて便利です。このような使い方を前提に、主要メーカーのクーラーボックスやスーツケース、折りたたんだベビーカーなど、棚の下に置くと想定されるもののサイズを計測し、棚を設置するのに最適な高さを導き出しました。次に、棚を設置する手段についてアイデアを持ち寄り、未使用時の収納性やシンプルに使える構造、機能拡張性を考慮して壁面にフックを装着し、そこに前後2本の伸縮性バーを取り付けてその上にボードをヒンジで固定するというアイデアを採用しました。

ユーティリティフック(カーゴサイド用)@2個入り ¥2,530- ※1 /ユーティリティバー1本 ¥6,600- ※2 /カーゴシェルフボード ¥22,000-
※1:写真では左右で3セット/6個を取り付けています。カーゴシェルフボードの取り付けには2セット4個を使用します。
※2:写真では2本使用しています。
フックを取り付けるためのユーティリティナットは、カーゴルーム側はすべてボディ骨格に直接溶接することで、堅牢性を確保しています。そのため、内装トリムの裏側にある吸音材や補強リブ、ハーネスなどとの干渉を避ける凹みを設ける必要がありました。企画提案当初、デザイナーはこの“クレーター”のような凹みを標準装備としてインテリアに組み込むことに難色を示していました。そこで試作品を用いた実車確認会を実施し、ユーティリティナットの導入でカーゴルームの機能性がどれほど向上するかを現物を用いながら検証し、その企画意図を丁寧に伝えました。新型フォレスターを“お客様のライフスタイルに合ったプロダクトにする”という目標はデザイナーも私たちも同じですから、「やりたいコトが良く分かりました。一緒により良いものに仕上げていきましょう」と賛同を得ることができたのです。最終的にはアクセサリーのユーティリティフックを使わない場合でも、カーゴルームの機能拡張性を感じられる、フォレスターらしいインテリアになりました。
1つで3つの役割を果たすユーティリティフック

ユーティリティフック(カーゴサイド用)@2個入り ¥2,530- ※3
※3:写真は左右で3セット6個を取り付けたカーゴルームの左側側面です
ユーティリティフックの主な役割は三つあります。一つ目は、買い物袋やリュックサックを引っ掛けられること。二つ目は、大小さまざまなカラビナを自由な角度で取り付けられること。三つ目は、ユーティリティバーなどのアクセサリーパーツを固定できることです。これらの役割をひとつのパーツで果たせるよう、糸巻き型の独特な形状のフックを設計しました。ユーティリティナットに組み付ける側には、M6規格のネジ山が刻まれた直径6mmの金属製ボルトがあります。このボルトに、車両の内装部品で広く採用されているPP材(ポリプロピレン)を用いた、外径5cmほどの糸巻き型パーツを組み合わせています。
金属製ボルトと結合した基底部は台座の役割を持ち、中心部にはユーティリティバーの先端形状に合わせたくぼみを設けました。荷重がかかるくぼみに十分な強度を持たせるため、PP材だけでなくおわん型に成型した金属部品を内部に組み込む特殊な成型を施しており、カーゴルームでは3kg/個、ゲートでは1kg/個の耐荷重を実現しました。この成型方法は特許を取得しています。

基底部から約1.5cmのスポークを3本立ち上げ、外側にサークルを設置しました。サークルには内側に向けて約5mmの返しが付いているため、買い物袋の紐やハーネスを掛けても走行時に外れ落ちることはありません。また、スポークの間隔や太さは、さまざまなサイズのカラビナをどの方向からでも取り付けられるよう試験を重ね、最適なサイズに仕上げました。さらに、ユーティリティバーをセットする際にはスポークがガイドとなり、バーの先端がスムーズに奥まで差し込めるよう、角度と形状を工夫しています。
ここまで来て、予想外の課題が発生しました。SUBARUの純正アクセサリーにはすべて耐荷重や使用時の注意を記載したコーションラベルを貼付するという内規があるのですが、ユーティリティフックにはそのスペースが確保できなかったのです。そこで、デザイナーと知恵を絞り、“捨てられないコーションタグ”を作ることにしました。アパレルブランド品のプレミアム感のあるタグを参考に、保管したり飾ったりしたくなるような、高級感のある樹脂製タグを専用にデザインしたのです。このタグも、愉しさだけでなく安全性も重視するSUBARUらしい発想のアイテムと言えるでしょう。


ユーティリティフック(カーゴサイド用)@2個入り ¥2,530-


ユーティリティフック(リヤゲート用)@フック2個+ターンナット2個入り ¥4,180-

堅牢で収納性に優れたカーゴシェルフボード
2本のユーティリティバーの上にヒンジで固定するカーゴシェルフボードは、開発初期はフロアボードと同様の一枚板で試作しましたが、フォレスターはフロア面に対してボディ上部が徐々に狭まるフォルムを持つため、使用時にボードを跳ね上げるような場面を考慮した寸法にすると、固定位置では左右のトリムとの間に隙間が生じてしまいます。隙間をなくしつつボードを可動させ、さらに取り外した際の取り回しも便利な設計とするため、ボードの芯材を4つに分割することで、折りたためる構造を採用しました。使用時には前方のユーティリティバーに2か所のフックを引っ掛け、後方はユーティリティバーに載せるだけで固定できる樹脂製のストッパーを配置しました。芯材はフロアボードと同じ材質を使用し、耐荷重5㎏を実現しています。開発過程では耐久性や振動・騒音評価を含め、SUBARUの車両開発と同じ基準でテストを行っており、試作パーツを装着した状態での試験走行も行いました。その際、特定の周波数帯域で微細な共振ノイズが発生したため、その原因を分析し後方のユーティリティバーとの接触部に防振材を追加しました。また、ユーティリティバーを使用しないときには長さを縮めて収納できる専用の収納スペースをフロアボードの下に標準装備しています。また、カーゴシェルフボードや防水仕様のカーゴミドルボックスをまとめて収納できる専用ストレージバッグを、別売アクセサリーとして用意しました。

カーゴシェルフボード ¥22,000-

SUBARUオリジナルストレージバッグ ¥4,400-
新型フォレスターで目指した、
機能美を感じさせるSUBARUらしいデザイン
新型フォレスターは、従来よりもデザインのプライオリティを高めて開発しました。ただ、SUBARUのデザインは単に形の美しさを追求するものではありません。プロダクトが持っている“機能性”と、そこから感じとることができる“洗練されたカッコ良さ”は本来相反するものではないからです。シンプルで機能に徹したからこそ生まれたカッコ良さ~そんな“機能美”を感じさせるデザインこそSUBARUらしさだと思います。8つの“クレーター”を持つ新型フォレスターのカーゴルームは、機能性と拡張性を備えたSUBARUらしいデザインの象徴です。そこにユーティリティフックなどの純正アクセサリーを取り付け、使い込むほどにより深い愉しさと満足感を味わっていただければ幸いです。


- 近藤 太郎(こんどう たろう)
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株式会社SUBARU 商品事業本部
現行商品群総括グループ群馬県みなかみ町(旧月夜野町)生まれ。幼少期から赤城山や谷川岳を眺めながら育つ。子どもの頃からクルマ好きで大学生の時に10年落ちの中古で入手したフランス製ホットハッチ(2ボックスの小型スポーツカー)は、レガシィB4と共にメインテナンスをしながら現在も所有している。フォレスターのアクセサリーを企画することになってマウンテンバイクに初挑戦。会社の先輩の指導を受け、白馬岩岳にある専用コースで走ってみて乗り物を操ることの面白さを再発見し、これからも継続してMTBの腕を磨きたくなったという。
※掲載価格は消費税10%を含むメーカー希望小売価格(2025年6月時点)
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