フォレスターを個性的に演出する
純正アクセサリー 山デカールメーカーを知る | 2025/09


新型フォレスターのエクステリアを個性的に演出する純正アクセサリーとして、山をモチーフにデザインされたドアアンダーデカールとリヤデカールがラインアップされました。写真は北アメリカ大陸最高峰のマッキンリー山(デナリ)をモチーフにしたデザインです。さらに、富士山をはじめとする日本の名峰9座を含め、全部で10種類のデザインバリエーションをラインアップしています。今回はフォレスターのためにこの10座をデザインしたねらいと、純正アクセサリーとして商品化に至るまでの経緯をご紹介します。

お客様に笑顔になっていただくために用意した、
渾身の10種類のバリエーション

アドベンチャースタイルパッケージ(デカール){フードデカール、ドアアンダーデカール、リヤゲートデカール}通常価格 95,700円▶パッケージ価格92,125円【税抜61,750円+標準工賃22,000円】
新型フォレスターでは山をモチーフにしたデカールのバリエーションを10種類ご用意しました。その役割は、単なるエクステリアのアクセントという従来の発想を超え、SUBARUならではの遊び心を目に見えるカタチでお届けすることで、“面白いことをやっているね”と、お客様の笑顔が広がることを目指しました。この想いを具現化するまでには、多くの試行錯誤や悩みがありましたが、その過程を私たち自身も楽しみながら、納得できるものが完成するまでとことん追求しました。

リヤゲートデカール 15,840円【税抜10,000円+標準工賃4,400円】


山デカール(リヤゲート)12,100円【税抜9,000円+標準工賃2,000円】
自然をモチーフにした図柄を探して
新型フォレスターのエクステリアアクセサリーを企画するにあたり、SUVかつフォレスターという車両の性格を考慮し、スポーティなキャラクターを表現するエアロ系パーツはSTIに集約しました。そして、よりアドベンチャラスなキャラクターを表現するパーツはデカールを活用しよう、というところからスタートしました。
デカールのメリットとして、フォレスターのSUV価値である走行性能(車高、アプローチアングル/ディパーチャーアングル)をスポイルせずに、ボディの下部に黒の面積を増やすことで視覚的に車高が高く見え、よりアグレッシブな雰囲気を演出できることが挙げられます。そこで新型フォレスターでは、ベース色に艶消しのマットブラックを用いて、タフな印象を与えるフードデカールとドアアンダーデカール、リヤゲートデカールを企画しました。デカールの素材は3年前にレガシィ アウトバックで初めて採用したポリウレタン素材にシルクスクリーン印刷を施した最新のものを使用しています。
洗車機試験や、拭き上げ時にウェスで擦る場合を想定した摩擦試験もクリアした信頼性の高い素材です。ただ、それだけではまだ何か足りない。冒険心をかきたてるフォレスターのキャラクターに合ったインパクトが欲しかったのです。

【フードデカール、ドアアンダーデカール、リヤゲートデカール】通常価格95,700円▶パッケージ価格 92,125円(税抜61,750円+標準工賃2,2000円)
フォレスターを題材にさまざまなアイディア展開をする中で、やはり自然をモチーフにした図柄がよく似合うということが分かりました。そこからさらに掘り下げていく中で、最もピンと来たのが“実在の山をモチーフにした図案”でした。
確かに、海や森、滝や川など、自然を題材とした図柄は他にも考えられましたが、それらを“カーアクセサリーのグラフィック”としてデフォルメすると、何がモチーフなのか今ひとつ伝わりづらくなってしまったのです。その点、山であれば、実在する山のフォルムを生かしつつフォレスターの力強さを強調するような表現ができ、かつ「何故このグラフィックなのか」というストーリー性も持たせることができると考えたのです。
そこで、初期案として選んだのがSUBARUと繋がりがある北米大陸の最高峰、マッキンリー山(旧称デナリ、アラスカ州)でした。北米でSUBARUを販売しているスバル・オブ・アメリカ(Subaru of America, Inc.)が、マッキンリー山のあるデナリ国立公園で環境保護活動を支援していることに関連付けたのです。

そのようにして決まったマッキンリー山のフォルムをフォレスターに合わせて図案化する作業には特に苦労しました。まずは写真集めから始め、様々な方向から撮影されたマッキンリー山を見ながら、多くの人が“これはマッキンリー山だ”と認識できるカットを選び出します。次にそれを図案化するのですが、線を写実的にしすぎるとフォレスターの大らかなキャラクターラインに馴染まず、写真をそのまま貼り付けたような印象になってしまいます。一方で、抽象的にしすぎると、今度は何の山を描いたものなのか分からなくなってしまいます。写実と抽象との間にある最適なバランスポイントはどこなのか?それを見つけるのは至難のワザでした。何枚もデザイン画を描いてもらいながら、文字通りのトライ&エラーを繰り返してようやく版画調の骨太なイメージの最終図案が仕上がりました。

ドアアンダーデカール 48,400円【税抜30,000円+標準工賃14,000円】●左右2枚セット


山デカール(ドアアンダー) 29,920円【税抜22,000円+標準工賃5,200円】●左右2枚セット
日本の山、9座を追加
試行錯誤の末、マッキンリー山の図案を描き起こし、いよいよサプライヤーを選定して正式発注するタイミングとなりました。そんな時にデザイナーと雑談をする中で、ふと“あるアイディア”を思いついてしまいます。「せっかくだから日本の山も加えて、お客様ご自身の“好きな山”を選べたら面白いのではないか?」。そこで、初期案のマッキンリー山に加えて、急遽日本の山も入れてバリエーションを増やすことにしました。

このアイディアを実現できた背景にはデカールというアイテムの特性があります。デカールは、簡単に言えばデザイナーが机上でデータを完成させれば、工業用プリンターで印刷して製品化することができます。そのため、コストと時間をかけて金型を製作する他の樹脂成型アクセサリーと比べて、低コスト・短期間で開発でき、複数のバリエーションを持たせやすいというメリットを持っています。
実は、山をモチーフにすることが決まってからは、親しみのある日本の山も加えた方が面白いのでは?という漠然としたアイディアは頭の片隅にあったのです。ただ、アクセサリーのデカールでたくさんのバリエーションを用意するという前例がなかったため躊躇していました。

そこで、「もし、山をモチーフにしたアクセサリーがあったとしたら、あなたがお奨めする山は?」という社内アンケートを実施したところ、ほぼ全員が自分の“推し”の山を持っており、多くの場合それは“身近な山、もしくは故郷の山”であることが分かりました。
このアンケート結果を踏まえつつ知名度順に2~3座追加しようと考え、デザイナーと相談しました。すると、いつの間にか他のメンバーも加わって議論が盛りあがり、皆が楽しそうに意見を交わしていることに気付きました。そんな様子を見て、改めてこの企画の可能性を感じました。ここで「デカールでそんなにバリエーションを増やして良いのか」という躊躇いから、思い切って「全国各地から代表的で親しまれている山をラインアップして、皆さんの好きな山や地元の山を選んで愉しんでもらおう!」という決心が付きました。
このような前例のない企画に対し、社内からは少なからず反対の声もありましたが、SUBARUの思いは必ずお客様に伝わる、そのためには最低でもこの10種類が絶対に必要です!と説得し、最終的にフォレスターのアクセサリーとして承認を得ました。
こうして日本全国から選んだのは、デカールとしてグラフィック化した際に分かりやすい特徴的なシルエットを持つ山9座です。
山デカールでラインアップした日本の名峰9座(北から順に/すべて車両左側用のデザインです)


色々な表現ができるからこそ、細部まで丁寧に仕上げる
山の図案は、既に完成していたマッキンリー山の表現手法をマスターとして作り込みました。黒と白二色のモノクロで表現するため、山の資料写真は基本的に山頂部に雪が残っている初夏に撮影されたものを集めました。また、山はどこから眺めるかによって尾根線が異なるので、できるだけたくさん資料を集めて検討し、多くの人が抱いているイメージに近いアングルを選びました。
・富士山デザイン初期①案


・富士山デザイン初期②案


この中で、意外にも一番時間がかかったのは富士山でした。グラフィックにしてみて初めて気付いたのですが、富士山は世の中にとてもたくさんのデザインが存在していて“私の思う富士山”のイメージにばらつきがあるのです。日本最高峰の雄大なシルエットを表現し、誰が見ても富士山だと認識してもらうために、色々なパターンを試し、最も多くのスケッチを描きました。


典型的な例を挙げると静岡側から見た富士山は右側の裾野に過去の噴火の痕跡である宝永火口がはっきりと見え、ダイナミックな印象を持っています。東海道新幹線や東名高速道路から眺めるのはこちら側なので、実物を見る機会が多く、見慣れているのは静岡側の富士山かもしれません。一方、山梨側から見た富士山は左右対称で均整のとれた姿が特徴で、写真や絵など作品として目にする機会が多いのはこちら側です。そこで、車両の左側とリヤゲートには静岡側の富士山、右側には山梨側の富士山を描くことにしました。


富士山だけでなく、他の山についても、初めに左側用に描いたものを鏡像反転して右側に流用すると実際には存在しない形の山となってしまうので、左右それぞれで描き分けています。ぜひ実際の製品を左右で見比べていただき、微妙な違いを見つけていただければと思います。このようなひと手間も実在の山をモチーフにした今回の企画として大切にしたところです。

また、後からデザインをした日本の9座は、絵画作品に入っている作者のサインをイメージした手描き風の欧文フォントで「Mt.〇〇〇」という文字を入れることで、それぞれがどこの山なのかすぐに判別できるようにすると同時に、デザインクオリティも高めました。他にも、その山を知っている人がよく見ると気付くような特徴も、一部デザイン要素として取り入れています。
一例を挙げると、山梨側から眺めた富士山(ドア右側)には、春先に雪融けが進む過程で現れる鳥のようなカタチ“農鳥(のうとり)”を入れました。筑波山は手前に低山の宝篋山(ほうきょうさん)を描き、伊吹山には石灰岩の採掘場へ続く九十九折の道のシルエットを描きこんでいます。また、赤城山の麓をよく見ていただくと、SUBARUの拠点である群馬県太田市のシルエットが描いてあり、その中のSUBARUの開発・生産拠点が所在する辺りに星マークを入れるなど、見つけたお客様が思わず微笑んでしまうような遊び心を盛り込みました。



最後に、山デカールに対していただいた反響の一部をご紹介します。新型フォレスターの導入に際し、昨年度から全国のSUBARU販売店スタッフ向けに車両・アクセサリーの研修会を開催していました。その中でさまざまな新しいアクセサリーをご説明しましたが、特に印象的だったのがこの山デカールです。「◯◯山がある!/△△山はないの?」「リクエストすればご当地エディションも作れるの?」といったリアクションや質問が次々に寄せられたのです。会場は、皆さんの故郷の山や思い出の山の話題で大いに盛り上がりました。

その後、新型フォレスター発表直後には、SNSで山デカールを取り上げて投稿してくださる方も現れ、予想以上に話題が広がり多くの注目を集めました。この反響を見て、新型フォレスターをご購入いただいたお客様にも、山デカールをきっかけにさまざまな話題で盛り上がり、笑顔になっていただけると確信しました。
今後の展開案として、お客様の声を集めて山デカールの人気ランキングを発表しても楽しそうですね。また、一定数のリクエストが集まれば、新たな山をラインアップに加えることも可能です。ちなみに、オンラインショップでの関連グッズ製作なども鋭意検討しているので、みなさまの声援を受けて進化していく山デカールの今後にご期待いただければと思います。新型フォレスターのアクセサリーは、山デカール以外にも新しい視点や発想で企画開発した新アイテムがたくさんあります。山デカールをキッカケにして他のアクセサリーにも関心を寄せていただき、フォレスターと共に過ごすカーライフを笑顔で愉しんでいただければ幸いです。


- 近藤 太郎(こんどう たろう)
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株式会社SUBARU 商品事業本部
現行商品群総括グループ群馬県みなかみ町(旧月夜野町)生まれ。幼少期から赤城山や谷川岳を眺めながら育つ。子どもの頃からクルマ好きで大学生の時に10年落ちの中古で入手したフランス製ホットハッチ(2ボックスの小型スポーツカー)は、レガシィB4と共にメインテナンスをしながら現在も所有している。フォレスターのアクセサリーを企画することになってマウンテンバイクに初挑戦。会社の先輩の指導を受け、白馬岩岳にある専用コースで走ってみて乗り物を操ることの面白さを再発見し、これからも継続してMTBの腕を磨きたくなったという。
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