SUBARU×SAJ スペシャルインタビュー アルペンチーム、東京合宿にお邪魔しました。

2018年9月23日から26日までの4日間、東京都北区にある国立スポーツ科学センターにおいて、全日本スキー連盟の第1回アルペン合宿が行なわれました。アルペンの選手が雪のないこの時期に東京で合宿? 一体どんなことをやっているのでしょう? そんな疑問を抱きつつ、合宿に参加中の6名の選手にお話を伺いに行きました。

まず最初に今年の2月に開催された平昌オリンピックで、アルペン女子の日本勢として3大会ぶりにオリンピックの舞台に立った石川晴菜選手(大回転)と安藤麻選手(回転)に、聞いてみました。

石川晴菜選手
profile 石川晴菜選手 (木島病院)
ジュニア時代にはインターハイ2冠達成をはじめ数々の全国大会で活躍。中学3年から全日本ジュニアチーム入り。技術力の高さを武器に次世代の日本女子アルペン代表として今後の活躍が期待される。優しい性格でマイペース。たくさんの方に愛され応援してもらえる選手へと、さらに成長&進化中!
安藤麻選手
profile 安藤麻選手 (東洋大学)
全中やインターハイなど、世代ごとの全国タイトルをことごとく制覇。今や日本女子アルペンのエースに成長した。昨季はワールドカップ入賞を複数回記録するなど世界レベルにも肉薄し、平昌五輪でビッグイベントも経験。いよいよ世界のトップに挑む。

―――オリンピックへの切符を射止めた昨年12月の全日本選手権(SUBARU協賛)の思い出について、聞かせていただけますか?

石川晴菜選手
石川:
昨年はオリンピックへの出場が決まるこの一戦だけにかけてきましたから、ワクワクして臨みました。阿寒湖のコースは硬めで、私には合っていました。前日から滑降のイメージが鮮明にできていて決勝でもその通りに滑ることができ、これまでのスキー人生の中でも最も思い出に残る舞台となりました。

安藤麻選手

安藤:
幼い頃からの夢であったオリンピックへの出場権を賭けた大一番でした。前日の大回転で石川さんに敗れて2位ということで悔しさもあったのですが、レース後に回転の練習でとても感触がよく、翌日の回転では自信を持って臨みました。ところが、2本目のスタートでゲートバーを早く切ってしまい、その後はもうそのことで頭がいっぱいになって、レース中はテクニカルな考えは一切なく、ただ急いでゴールしなくちゃ!という想いだけで慌てて降りてきたんです。それで無心になれたのか、結果は逃げ切る形で優勝できて、ほっとしました。
第96回全日本スキー選手権大会 アルペン競技会

2017年12月26日~28日に北海道釧路市国設阿寒湖畔スキー場で開催。
2017/2018シーズンで初めて開催されたアルペン競技の全日本選手権であり、オリンピック代表選手への切符をかけた大会となった。

今シーズン新たにSNOW JAPANに加わった竹内選手と、今回で10年連続合宿に参加している大越選手に合宿のねらいや、この合宿をどう活かしているのか伺いました。

竹内力音選手
profile 竹内力音選手 (日本体育大学)
2017-2018シーズン 第67回全国高等学校スキー大会 SL 1位
2018年FIS花輪ジャイアントスラローム大会 3位
日本体育大学学友会スキー部の選手として、初の代表入りを果たしたインターハイ王者は世界にどう挑むのか?
大越龍之介選手
profile 大越龍之介選手 (東急リゾートサービス)
大学生からはナショナルチームのシニア指定になり、幼少の頃に憧れた世界の舞台(世界選手権・ワールドカップ)へ出場を果たす。現在は、世界の壁を打ち崩し頂点に立つと共に、それに相応しいアスリートを目指し奮闘中。

―――ところで、今回チームの皆さんが東京で行なっている合宿はどのような内容なのでしょうか?

竹内力音選手
竹内:
この後すぐに行なわれるヨーロッパ遠征につなげていくため、身体を低酸素環境に慣らしていくのがこの合宿の第一の目的です。標高3000mを想定した低酸素トレーニング場で一日に90分トレーニングをする他、宿泊する部屋も高度2000mの酸素、二酸化炭素濃度に設定されているので、睡眠時を含めてできるだけこの部屋で過ごす時間をとっています。今年の8月にも同じようにここを利用したのですが、遠征先に移動してからは、高度に身体を慣らすことなくすぐに練習に入ることができました。

大越龍之介選手

大越:
ここに来るときは体力測定や身体のチェックが中心で、積み重ねてきたトレーニングの出来の確認をします。また、他の競技も含めて色々な選手が居るので、トレーニング方法等、新しい情報の収集もできます。私の場合は過去10年間のデータと比べることができるのも役立っています。持久力は今回、過去最高の数値が出ました。パワーもずっと伸び続けています。持久力を高め、パワーを付けるためには一気にトレーニングの強度を上げるのではなく、その時の自分に合った強度から少しずつ負荷をかけていくことが大切だということがこの10年間の測定データ推移から分かります。

最後にお話を伺ったのは、来季のワールドカップ全戦出場権を手に入れた新選手。そして、ワールドカップにも初出場を果たし、ヨーロッパカップでも実力を発揮している加藤選手。

新賢範選手
profile 新賢範選手 (Brain)
日本、中国、韓国など極東エリアで開催されるFISのシリーズ戦「ファーイーストカップ」のジャイアント・スラロームで、シリーズタイトルを獲得し来季のワールドカップ全戦出場権を手に入れた。
加藤聖五選手
profile 加藤聖五選手 (野沢温泉スキークラブ)
中学を卒業するとすぐにアルペンの本場オーストリアのスキーアカデミーに単身留学し、2016年には全日本選手権大回転で優勝。2017年にはワールドカップにも初出場。

―――来季に向けての目標をお聞かせいただけますか?

新賢範選手
新:
技術面では、ターンとターンの間のミスをいかに減らすかが課題です。ミスを最小限に食い止める技術と、その後のリカバリー部分の強化に取り組みたいです。1つの失敗も、それが1秒かかってしまうのなら0.5秒に詰めていく。そのためには普段の練習から試合を想定して現場で極限まで集中するということが重要になってきます。その意味で “集中力”がこれまで以上に問われてくると思います。来季の目標はワールドカップの大回転での入賞です。いつかは優勝したいのですが、今回は先ずそこへのステップとして日本人として初の入賞を狙います。

加藤聖五選手

加藤:
今回は、5月からトレーニングを開始して根本的に身体を造り直しました。また、夏からはメンタルもトレーニングしてきました。アルペンでは“勢い”が大事なのですが、気持ちで負けているとなかなかその“勢い”を発揮できません。そこで、粘り強く頑張り続ける心を鍛えました。それらの取り組みがどういう結果として出て来るのか楽しみです。目標はワールドカップのスタートリスト30番に入ること。また、ヨーロッパカップにも参戦する予定ですので、そこでも1ケタ、10番以内に入ることを目指します。

以上、今回は東京で開催されたSNOW JAPANアルペンチームの合宿にお邪魔し、合宿参加選手の皆さんが、胸に秘めた様々な思いをお伺いしました。アルペンチームはこのインタビューの二日後にヨーロッパ遠征に出発。標高3000mクラスの山での本格的なトレーニングがスタートしました。
目の前にせまった2018-2019シーズン。SUBARUはSNOW JAPANの皆さんを応援します。頑張れSNOW JAPAN!

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