基礎編 (2)タイヤの基本構造

内部に空気を充てんしたタイヤは、荷重や外部からの衝撃に耐えながら回転を続けます。
このとき、タイヤは重量や圧力を受け止めるとともに、空気もれを防いだり、熱を発散したりといった働きを同時に続けます。
これらの働きをまっとうにするために、タイヤの内部は大変複雑なつくりになっています。

乗用車用タイヤの断面構造

ビードフィラー

ビード部の剛性を高めます。

リムライン

リム組みの際、ビードが正確に上がっているかどうかを確認するためのラインです。

サイドウォール部

タイヤが走行中、もっとも屈曲が激しい部分。路面に直接接触はしないが、カーカスを保護する役目ももつ。また、タイヤサイズ、メーカー名、ブランド名などが表示されている。

ショルダー部

厚いゴム層でできており、カーカスを保護するとともに、熱の発散を促進するためのえぐりが設けられています。

ベルト

ラジアル構造のトレッドとカーカスの間に円周方向に張られた補強帯。カーカスを桶のたがのように強く締めつけて、トレッドの剛性を高めます。

ビードワイヤー

鋼線。

チェーファー

カーカスがリムに直接触れないようにして、カーカスを保護する。

ビード部

カーカスコードの両端を支持し、タイヤをリムに固定する。高炭素鋼を束ねた構造になっている。

カーカス

タイヤの骨格であり、荷重や衝撃・充てん空気圧に耐えて、タイヤ構造を保持します。

インナーライナー

チューブに相当するゴム層をタイヤの内部に貼りつけたもの。釘を踏むなどのトラブルの際でも、急激な空気もれを防ぎます。

トレッド部

カーカスを保護するとともに、摩耗や外傷を防ぐタイヤの外皮。表面にはトレッドパタンが刻み込まれており、濡れた路面で水を排除したり、駆動力・制動力が作用した際のスリップを防止したりします。

タイヤの諸元

■無負荷時のタイヤの諸元

タイヤを適用リムに装着して規定の空気圧を充てんし、荷重をかけない状態を「無負荷」と呼びます。無負荷時のタイヤは、以下のような要素と数値によって表されます。

タイヤ外径
新品寸法=新品タイヤを規定の方法で測定したときの寸法。
断面高さ
タイヤ外径からリム径を引いた数値の1/2。
タイヤの総幅
タイヤ側面の模様または文字などのすべてを含む
サイドウォール間の直線距離。
断面幅(タイヤ幅)
タイヤの総幅から、タイヤ側面の模様、文字などを除いた幅。
トレッド幅
タイヤのトレッド模様部分の両端の直線距離。
適用リム
(リム幅・リム径)
タイヤの性能を有効に発揮させるのに適したリムのことで、標準リム幅と適用リム幅があります。標準リムとはタイヤに最も適した幅と形状をもつリムを指し、最適幅はタイヤ幅の70〜75%とされています。(インチ単位)
リム・フランジの
高さ
リム(ホイール)のタイヤと組み合わされる部分の高さ。
([リムフランジ外径ーリム径]×1/2)
トレッド半径
クラウンRともいい、曲率半径をmm単位で表す。

偏平比

外径は同じでも、タイヤの断面形状をより偏平にすると、トレッドの接地長は減りますが、接地幅は増えます。その結果、タイヤはより大きなパワーをエンジンから路面に伝えることができます。

偏平比と偏平率

偏平比

「アスペクトレシオ」「アスペクト比」などともいいます。タイヤのカタログなどでは、ふつう、偏平率を使います。

偏平率

タイヤの断面形状(プロファイル)の偏平化の度合を表す数値です。単位には%を用います。
偏平率は80>70>65>60>55>50>45>40(%)と小さくなるほど、タイヤの高さに対してタイヤ断面幅が広くなることを示します。

豆知識

タイヤには、国ごとに異なる規格があります。

JATMA規格

一般社団法人 日本自動車タイヤ協会JATMAは、Japan Automobile Tyre Manufacturers Associationの略です。(略称:ジャトマ、JATMA)日本国内のタイヤメーカーが定めた規格で、国産新車装着タイヤの規格です。

ETRTO規格

ヨーロッパの規格で、エトルトと発音します。

ETRTOレインフォースド規格

ETRTOスタンダード規格同様、ヨーロッパの規格です。「REINFORCED」や「RFD」と刻印が目印です。また、「XL」や「EXTRA LOAD」のような刻印があるタイヤ、エクストラロード規格もETRTOレインフォースド規格と同じ意味です。

その他の規格

●TRA規格…アメリカの規格。 ●DIN…ドイツの規格。
●ISO(国際標準化機構規格)…国際標準化機構規格は世界で使用されるタイヤの基本的な規格。

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