カートピア4月号 TOURING With SUBARU SUBARU BRZ STI Sport

Touring with SUBARU

海の碧、空の青、川の蒼
−土佐の水辺を旅する

高知県室戸市〜いの町〜仁淀川町

柔らかな緑の新芽が少しずつその色を濃くし始める春。
桜が開花したにもかかわらず、まだ少し冷える東京を抜け出し、高知県を訪れた。
三日月のような形をした高知県は、南側は大きな円弧を描くような形の土佐湾で太平洋に面し、北側は愛媛県、徳島県と山地で接する。
今回は、そんな高知の海辺、川辺をクールグレーカーキのSUBARU XVで走る。

海の碧を眺めながら


温暖多湿な土地と言われるだけあり、高知の空気は少し暖かく感じる。窓を開け放ったSUBARU XVで高知市内から室戸岬方面に走り出す。ボディカラーは、春らしい霞んだ海に映えそうなクールグレーカーキだ。

開店前からお客様が並ぶ人気店「SEA HOUSE」。

開店前からお客様が並ぶ人気店「SEA HOUSE」。

琴ケ浜が遠くまで見渡せる「SEA HOUSE」の店内。

琴ケ浜が遠くまで見渡せる「SEA HOUSE」の店内。

「SEA HOUSE」では、スウィーツや食事が愉しめる。

「SEA HOUSE」では、スウィーツや食事が愉しめる。

高知市から国道55号を小一時間ほど走ると、時々、海が見えるようになってくる。東西約4㎞続く「琴ケ浜」の西側に海に突き出したガラスの箱のような形の建物がある。「SEA HOUSE」という、海が見渡せる絶景レストランだ。ランチやディナーだけでなく、パンケーキやデザートなども愉しめるので、ドライブ中の腹ごしらえにも、一息つくのにもぴったり。店内は、天井から床までガラス張りになっていて、琴ケ浜が遠く向こうまで見える。晴れた空と海の碧、黒い砂浜にふっと身体の力が抜けて初めての土地での運転に少し力が入っていたことに気づく。

モネが描いた風景に出会える「水の庭」。5月には手前の池に睡蓮が、奥の太鼓橋には藤の花が咲く。

モネが描いた風景に出会える「水の庭」。5月には手前の池に睡蓮が、奥の太鼓橋には藤の花が咲く。

クルマに戻り、国道55号をさらに走る。室戸岬までの道程の中ほどに、もう1ヶ所寄りたい場所があった。ゆずの産地として有名な北川村に、かの有名な画家クロード・モネが人生の約半分を過ごし、睡蓮の絵を描いたフランス・ジヴェルニーの庭を再現した「モネの庭」があるのだ。園内を広報担当の牛窓さんが案内してくださった。

モネが描いた風景に出会える「水の庭」。

「モネは列車から見たジヴェルニーの風景に心惹かれ、43歳から晩年までをジヴェルニーで過ごしました。モネはその土地でキャンバスに色を塗って絵を描くように、草花や木を選んで庭に植えたのだそうです。この庭は、本家「モネの庭」から、正式に名称をいただくだけでなく、本家の庭園管理責任者のアドバイスもいただきながら、「モネの庭」を再現している世界唯一の庭です」

モネが200点以上も描いた睡蓮のある池も、そこにかかる太鼓橋も本家ジヴェルニーの庭に近い形で配置されている。植えられている草花は、高知の環境に合わせて、色合いが近しいものになるように選ばれているのだそう。取材をした3月末は黄色や紫の花が咲き乱れていたが、5月には睡蓮や藤が見ごろになるのだという。

再び国道55号に戻り、室戸岬を目指す。入り組んだ海岸線ではなく、ゆったりとした曲線を描く室戸岬までの道は、もともとSUBARU車が持つ安定性の高さとあいまって、リラックスして、楽に走れる。

室戸岬まであと6kmほどのところで、「室戸スカイライン」という看板が目に入り、遠回りをしてみることにする。室戸岬を見下ろす山に登るワインディングからは、あまり海が見えない。しかし、四国八十八箇所霊場の札所のひとつ最御崎寺[ほつみさきじ]を過ぎると、眼下に海が広がった。絵に描いたようなヘアピンカーブをいくつも曲がり、海沿いの道まで一気に下る。室戸岬には強い風が吹いていた。荒々しい岩と縦横無尽に根や枝を伸ばすアコウの木に、常に吹いているのだというこの強風に耐え得る強いエネルギーを感じる。

土佐湾沿いを走る国道55号で室戸岬に向かう際に通る羽根岬付近を走るSUBARU XV。

土佐湾沿いを走る国道55号で室戸岬に向かう際に通る羽根岬付近を走るSUBARU XV。

仁淀[によど]ブルーを追いかけて


教えていただきながら紙漉き体験。ハガキや色紙は漉いた紙に草花や和紙などを並べて自由にカスタマイズ。うちわは和紙を染めるところから始める。それぞれ40〜60分ほどで体験できる。
教えていただきながら紙漉き体験。ハガキや色紙は漉いた紙に草花や和紙などを並べて自由にカスタマイズ。うちわは和紙を染めるところから始める。それぞれ40〜60分ほどで体験できる。
教えていただきながら紙漉き体験。ハガキや色紙は漉いた紙に草花や和紙などを並べて自由にカスタマイズ。うちわは和紙を染めるところから始める。それぞれ40〜60分ほどで体験できる。

教えていただきながら紙漉き体験。ハガキや色紙は漉いた紙に草花や和紙などを並べて自由にカスタマイズ。
うちわは和紙を染めるところから始める。それぞれ40〜60分ほどで体験できる。

翌日は高知市から、仁淀ブルーと呼ばれる青が美しい仁淀川に沿って走る。仁淀川に沿って曲がりくねる国道194号を軽快に走り、目指したのは紙漉き体験ができる「土佐和紙工芸村くらうど」だ。

紙の原料となるコウゾやミツマタなどが自生し、水が豊富な仁淀川が流れるこの地では、1000年以上前から和紙が製造されていたことが記録からわかっている。また、関ヶ原の合戦後、土佐の国主となった山内一豊は、仁淀川流域で作られた柿色・黄・紫・桃色・萌黄(薄緑)・浅黄(薄青)・青の七色に染めた七色紙に感激し、これを徳川家に献上。幕末にいたるまで、これが土佐藩御用紙として幕府指定の献上品とされていたのだそう。現在も紙漉きの伝統が守り継がれている。「くらうど」では、紙漉きでハガキや色紙を作る体験と、和紙を好きな色に染めてオリジナルうちわを作る体験ができる。涼しげな青色に染めようと思って染料をつけてみるが、他の色と混ざると予想外の色や模様が現れて面白い。慣れないながら手を動かしているとあっと言う間に時間が経っていた。

「くらうど」には宿泊施設もある。

「くらうど」には宿泊施設もある。

仁淀川にかかる浅尾沈下橋。前後の道はすれ違い困難な細めの道なので、運転には気をつけたい。

仁淀川にかかる浅尾沈下橋。前後の道はすれ違い困難な細めの道なので、運転には気をつけたい。

「くらうど」を後にして、仁淀川を左手に見ながらドライブしていると、仁淀川に橋がかかっているのが見えた。欄干のない沈下橋だ。水量が豊富な河川が多い高知では、増水時には水中に沈み水の抵抗を減らせる沈下橋が多くあるのだという。仁淀川流域でも沈下橋がいくつか見られることがわかり、沈下橋巡りをする。一つずつ、SUBARU XVで渡ってみる。欄干がないので、運転するのはなかなかのスリル。でも地元の方はすいすいと走っていく。四万十川流域の沈下橋は、観光資源として保存しようとする動きもあるそうだが、地元の方にとっては純粋に生活のための道なんだと改めて感じる。

取材時はいの町のあちこちで満開の花桃を見ることができた。

取材時はいの町のあちこちで満開の花桃を見ることができた。

さらに仁淀川に沿って走っていくと、所々で鮮やかな桃色に染まった木々が目に入る。桜よりもずっと鮮やかな花は花桃だ。昨日のドライブで見ていた海とは違う青を湛えた川と、空と、空に映える桃色。綺麗な青色を見ようと出かけたが、青以外にも様々な色を見つける、思いの外、カラフルなドライブになった。自分で染めたうちわを使う季節が、きっとすぐにやってくる。次のドライブにはこのうちわを持って行こう。そう思いながら帰路についた。

今月のルート


SEA HOUSE〜北川村「モネの庭」 マルモッタン〜
土佐和紙工芸村「くらうど」

今月の紹介ポイント


SEA HOUSE

高知県安芸郡芸西村西分乙54-1
TEL 0887-32-2880
営業時間
[平日] 11:30〜20:00(L.O.19:30)
[土・日・祝] 11:00~20:30(L.O.20:00)
定休日
毎週火曜日(12/31~1/1の2日間はお休み)

北川村「モネの庭」
マルモッタン

高知県安芸郡北川村野友甲1100番地
TEL 0887-32-1233
開園時間
9:00~17:00(最終入園 16:30)
休園日
毎週火曜日(祝日の場合は営業)
※4月~6月は無休(5月14日は貸切のため、一般利用はできません)、冬期(2019年12月2日~2020年2月末)はメンテナンス休園

土佐和紙工芸村くらうど

高知県吾川郡いの町鹿敷1226
TEL 088-892-1001
土佐和紙手漉き体験
●体験教室
ハガキ8枚・色紙2枚/無地400円(約40分)・草花入り600円(約60分)
うちわ/800円(約40分)
折り染め・しぼり染め/小判400円(約40分)・中判600円(約40分)

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