カートピア クロストレックの広角単眼カメラ | SUBARU

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ここがSUBARUですVoL.107

カートピア クロストレックの広角単眼カメラ | SUBARU

交差点で事故を防止する
新型CROSSTREKに
搭載した広角単眼カメラ


カートピア 「ここがSUBARU」というポイントを開発スタッフが紹介するCOCOSUBA | SUBARU カートピア 「ここがSUBARU」というポイントを開発スタッフが紹介するCOCOSUBA | SUBARU
カートピア 交差点で事故を防止する新型CROSSTREKに搭載した広角単眼カメラ | SUBARU カートピア 交差点で事故を防止する新型CROSSTREKに搭載した広角単眼カメラ | SUBARU

Photographs● 田丸瑞穂

Photographs● 田丸瑞穂

交差点での
事故発生メカニズム


安藤:最新の事故統計によると対歩行者事故の50%が歩行者横断中に発生しており、そのうち76%が車両が右左折しているときに起きています。そのうちの半数以上が車両の内側(自車と同じ進行方向)からの歩行者の飛び出しであると想定しました。左折であれば左後方に視線を向けて確認しなければ気づかない場所から歩行者が飛び出すような場面です(図1)。同じく対自転車事故を見ると交差点での出合い頭事故が全体の55%で、その半数以上は自車よりも自転車の方が速い速度であると想定しました(図2)。

*公益財団法人 交通事故総合分析センター

これらの事故原因の8割以上が「前方不注意」「安全不確認」で占められています。交差点では減速、旋回、加速などの操作に加えて歩行者、自転車、対向車や信号、標識など周辺状況の確認を同時に行わなければなりません。ヒトの視野は約200度ありますが、視野の中に情報として入っていても、脳が識別できるのは中心部の20度程度が限界で、思っているよりも狭い範囲のものしか〝視る〟ことができません。交差点のように多くの認識判断操作が必要な場面では首を左右に振るなどして広い範囲を視る必要があります。交差点での「前方不注意」「安全不確認」を原因とする事故は、ドライバーが多くの情報を処理しきれず、ヒトの限られた視野では気づくことが難しい状況で発生しているのです。2030年に死亡交通事故ゼロを目指すSUBARUとしては、これは避けて通ることのできない課題です。今回、新型CROSSTREKに搭載した広角単眼カメラは、交差点を少しでも安全な場所にしていくために、このようなシーンに特化して運転支援を行うことを目的に開発しました。

具体的には、図1の状況で自車の速度が約10~20km/h以下で右左折しようとしているとき、ドライバーの死角から自車の進行方向に接近する歩行者を検知した際に警報と警告表示で注意を喚起し、制動などの回避操作がない場合には衝突被害軽減ブレーキで衝突を回避、または被害軽減します。また、図2の状況では自車の速度が約10~100km/h以下で交差点を直進しようとしているとき、新型ステレオカメラの制御も合わせて、左右から接近する自転車を検知した際に警報と警告表示で注意を喚起し、回避操作がなければ衝突被害軽減ブレーキで衝突を回避、あるいは被害軽減します。

カートピア 新型CROSSTREKに搭載した広角単眼カメラについて語る開発者 | SUBARU

株式会社SUBARU 技術本部 ADAS開発部 安藤 祐介

アイサイトで蓄積した
技術を生かして


通崎:新たに搭載した広角単眼カメラは、現在搭載されている新型ステレオカメラのさらに2倍のエリアを検知できるワイドレンズを採用しています。これにより、ステレオカメラのエリアで検知しきれなかった左右の前側方エリアまで検知することができるようになりました(図3)。従来型アイサイトでは、バンパーの左右に装備したレーダーで同じエリアを認識して接近する車両を検知していましたが、レーダーは主として金属製の対象物を検知するのみで、その形状やそれが何であるのか?までを認識することはできません。今回は、交差点という複雑なシチュエーションで、それぞれの方向に進む複数の対象物の中から、“自転車”“歩行者”という対象物を正確に認識できるセンサーが必要でした。複数の対象物を正しく認識し、その中から衝突の危険性があるものを見極めるためにはレンズの性能だけでなく、画像認識技術が必要です。

また、制御対象と認識すべきでない対象物に対しては、意図しない機能作動(誤作動・早期作動)を抑制しなければいけません。そこでSUBARUはステレオカメラを用いた運転支援システムを長く開発し、知見を蓄積してきているため、過去経験した認識を誤る可能性がある(対象物に類似している物標など)シーンも加味して評価を実施してきました。死亡交通事故ゼロを目指すプロセスの中で、今回はきわめて限定した制御対象に絞って開発した広角単眼カメラですが、今後はさらにこの装備の応用範囲を拡大していく予定です。

カートピア 新型CROSSTREKに搭載した広角単眼カメラについて語る開発者 | SUBARU

株式会社SUBARU 技術本部 ADAS開発部 通崎 悟

今月の語った人


カートピア 新型CROSSTREKに搭載した広角単眼カメラについて語った開発者 | SUBARU

通崎 悟(写真左)

株式会社SUBARU 技術本部 ADAS開発部

群馬県太田市出身。父親がワイパーやホーンを造る部品メーカーに勤務していたため、小さいころからクルマやSUBARUに親しみを感じて育つ。祖父の生家があった北海道美深町にSUBARUのテストコースができたことにも縁を感じたそう。学生時代から始めたスニーカーのコレクションはこれまでに約200足。うち9割は履かずに温度湿度を管理した部屋に大切に保管している。好きなブランドはナイキ。SUBARU社内に同好の士がいればぜひ声をかけてほしいという。

安藤 祐介(写真右)

株式会社SUBARU 技術本部 ADAS開発部

福島県須賀川市生まれ。父親が自動車整備販売業を営んでいたため、幼少時からクルマに親しんで育つ。学生時代は宮城県仙台市で暮らし、その後静岡県御殿場市、栃木県佐野市、群馬県高崎市などで暮らした。中でも最も気に入っている町は仙台。「海や山が近く、温泉もあり洗練されたエリアもあってとても暮らしやすい町です」とのこと。お気に入りの仙台土産は菓匠三全のずんだ餅。現在は2歳になる娘さんのボキャブラリーが増えていく様子を見るのが楽しみだそう。

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