
4月23日に、スバリストの聖地ともいわれるスバル研究実験センター(通称SKC)にて、SUBARU DRIVING ACADEMY 特別編 Tetsuya OTAプレゼンツ injured ZERO project SAFETY TRAINING 2017が開催されました。このイベントは一般道における死亡・負傷事故をゼロとすることを目標とする国土交通省安全運転推進事業実績がある「injured ZEROプロジェクト」を掲げ、座学と実践で「正しい運転を、 愉しく学ぶ」をテーマとした元レーシングドライバーでモータージャーナリストの太田哲也氏が校長を務めるレッスンです。
今回、SUBARUとのコラボーレーションでイベントを開講した、太田哲也氏が推進するinjuredZERO PROJECTは受講生・関係者について、一般道における死亡・負傷事故をゼロとすることを目標とする標語として「injured ZERO」を掲げ、「安全運転を、楽しく学ぶ」スクールです。
講習は、座学と実践のほか、トークショーも交えながら楽しく学べる内容となっていました。午前中はホール内で、2部にわかれて座学を行いました。
まずは、スバルネクストストーリー推進室の室長 岡田より、開会のあいさつが行われたのち、今回の講師陣の紹介が行われました。
第1部では太田校長から死亡事故の現状から、クルマの荷重移動やコーナーでのブレーキング操作といった話まで、データや図を使い
わかりやすくレクチャーされました。
サーキット走行だけでなく、日常のドライビングで危険回避をするシーンにも役立つ安全運転につながる講義に、参加者の皆さんも真剣なまなざしで
受講されていました。
第2部では、スバルの車両研究実験第一部 次長 本井からスバル研究実験センターの紹介とスバルのクルマ作りをテーマに語られました。
普段入ることのできないSKCの成り立ちやエンジニアがテストドライバーとして訓練を積んでいるスバルドライビングアカデミーのお話など、ここでしか聞けない貴重なお話の数々が披露されました。
座学の後は太田校長とSUBARUのエンジニアによるスペシャルなトークショーを開催。今話題の自動運転についてのトークを中心におこなわれました。スバルは現在ドライバーの運転支援を行うアイサイトが広く認知されていますが、これは自動運転ではなくあくまでドライバーをアシストする支援システム。しかし、アイサイトの全車速追従機能付きクルーズコントロールやプリクラッシュブレーキなどは、クルマが判断してブレーキやアクセルを動作させるため、自動運転にも応用できる技術といえます。
そんな先端技術を多くのクルマに搭載しているSUBARUのエンジニアだからこそ語れるトークは大変興味深いものでした。
実技講習は4つのグループにわかれ、路面体験、WET旋回レッスン、高速周回路レッスン、スラロームレッスンをそれぞれ順番に体験していただきました。
開会前に入念な車両チェックの方法もレクチャーされ、ホイールナットの点検からエンジンルームのチェックまで実車を使い講習を受けた後、受講生のみなさんにはご自身の愛車をチェックしていただきました。
路面体験プログラムでは様々なテスト評価用路面を体験したほか、車両感覚を養うレッスンもおこなわれました。
まずは、正しい運転姿勢についてレクチャーを受けていただきました。意外とラクに運転しているつもりのシートポジションでも、実は正しく着座したほうが長時間のドライビングでも疲労は少なく、まさに運転の基本中の基本となる大切なレクチャーです。
その後は2人一組となり、コースにひかれた白線に車両先端と右タイヤを合わせる訓練。みなさん車両感覚は優れている方が多く、一回でかなり惜しいところまで寄せることができていました。もともと0次安全と呼ばれる視界の良さが自慢のスバル車ですから、車両感覚も養いやすいといえます。
路面体験では、実際のテストに使用されるSKCの路面を使用。世界中の様々な路面を再現したコースは、車体やステアリングを通して伝わる振動や乗り心地などを評価するのに使用されているそうです。
スキッドパッドを使用したWET旋回レッスン。定常円旋回で一定のアクセルワークやステアリング操作、そしてアンダーステアの体験をおこないました。雪道のドライブやサーキット走行などをおこなうドライバーの中にはアンダーステアを体験したことがあるひとも多いとおもいますが、日常のドライブではなかなか体験することのできない貴重なレッスン。滑りやすい路面でアンダーステアが発生する限界点を体験するとともに、アンダーステアとはどういったものかを初めて体験する参加者の方もいました。
クルマが滑るギリギリ限界での一定のアクセルとステアリング操作できれいに円を描いて走るのは、慣れていないとなかなか難しいレッスンですが、冬季に開催されたSUBARU On-ICEに参加された方はその時に学んだことを実践して活かすことができた方もいたようです。
SKCの高速周回路を使ったレッスンと同乗体験。自分の愛車で高速周回路を走り、前後に講師の方がWRX STIでついて無線から指示を出してくれます。こちらのレッスンは時速80キロと130キロの2段階に分けて走り、車体が車線の中央を走れているか、車間距離は適切かといった診断がおこなわれます。自分の愛車でバンクを走るのも貴重な体験。ちなみに時速130キロという速度は、SKC内のライセンスで最初に受けることのできる最高速度だそうです。
愛車での高速周回路を体験後は、講師の方がドライブするWRX STIで時速230キロの走行を同乗体験。
異次元の縦Gに同乗したほかの参加者の方も大興奮の様子でした。
スラロームレッスン体験ではタイムアタックなどではより小さく旋回することを目的とすることが多いスラロームですが、今回は緊急回避時にどれだけ素早くステアリング操作ができるかを学ぶため、旋回半径は大きく、素早くステアリングを切って回ることを重視したレッスンとなっていました。
また、コース内には座学で学んだフロントに荷重をかけて舵の効きをよくしてコーナリングするブレーキングしながらのコーナリングレッスンやいざというときに、全力で素早くフルブレーキをしてABSを作動させるフルブレーキング体験レッスンも盛り込まれていました。いずれのレッスンも一般道路での危険回避などに役立つ内容です。
閉会式では全員に認定証と受講を記念したプレートが全員に配られました。特にこのプレートはスバル研究実験センター管理課 課長 秋山が手作りで全員分を作成。
レーザー彫刻機で日付や個人名などが入っており、素敵な記念品となりました
今回のレッスンはクルマの基本的な動きやドライビングを実際に体験して学ぶことで、一般道での走行でもいざというときに冷静に対処できることをしっかりと学べるプログラム。参加者の方からは、普段危険に直面した時にはじめて対処しなくてはいけない状況を、こうした機会にあらかじめ体験できることで、いざというときも冷静な判断ができるようになると思いますといった意見も聞かれました。
クルマの基本的な動きや限界をを安全な環境で体験し学ぶことで、クルマとの対話をより深めることもできる内容といえるでしょう。
最後は講師陣、スタッフ総出で参加者の皆さんをお見送り。受講者の皆さんは1日たっぷりレッスンを受け疲れていると思われましたが、手を振るスタッフに笑顔で応える皆さんを見て、充実の内容と満足していただけた様子でした。