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星々の軌跡

水平対向エンジン60年の歩み〜Vol.2 第二世代 EJ型〜

トピック | 2026/05

カートピア 水平対向エンジン60年の歩み〜Vol.2 第二世代 EJ型〜 | SUBARU

BOXERの愛称で知られるSUBARUの水平対向エンジンは、ちょうど60年前の1966年にスバル1000に搭載されて誕生しました。SUBARUのコア技術として今なお進化を続ける水平対向エンジンの軌跡を、世代ごとに振り返ります。

飛躍的な進化を遂げたBOXERセカンドステージ


第一世代の水平対向エンジン「EA型」は、水平対向という形式の優位性を巧みに引き出す設計によって長期にわたって第一線で活躍し続けてきた。しかし、その誕生から20余年が経った1980年代になると社会のニーズは変化し、出力、燃費、排ガス対策等のバランスのとれた性能が求められるようになり、その対応は次第に困難になってきていた。

このような状況下、スバルでは「高性能・高品質の実現」をテーマにグローバルマーケットを意識した国際戦略車と、その心臓にふさわしい新型水平対向エンジンの開発が進められていた。

開発にあたって重視されたのは「基本に立ち戻って、丁寧に、しっかりとしたクルマをつくる」ということだった。クルマとしての基本が車体の剛性にあるのと同様に、エンジンも剛性こそが第一の基本となる。

カートピア 水平対向エンジン第二世代(EJ型)。 | SUBARU
水平対向エンジン第二世代(EJ型)。

ピストンの動きを回転運動として伝えるクランクシャフトとそれを支えるシリンダーブロックをしっかりとつくる。もともと剛性の高い水平対向の特性をさらに強化するために、構造・形状の最適化が図られた。

クランクの支持を3ベアリングから5ベアリングに強化。シリンダーヘッドは、DOHC、SOHCともに4バルブ化。高剛性で、高出力に耐え、振動の少ない高品質なエンジンの基本構造が完成する。燃焼効率の向上には過大なオーバースクエアの是正とDOHCの採用という、抜本的な改革がなされた。

こうして新世代の水平対向エンジン「EJ型」は完成し、1989年1月、スバル初の本格的2リッター車、レガシィに搭載されてデビューしたのである。

カートピア 1989年発売の初代レガシィ。 | SUBARU
1989年発売の初代レガシィ。

ターボによって、本格的なスポーツユニットにふさわしい高出力を生み出したことも「EJ型」のエポックだった。

開発チームでは、ターボエンジンをWRCへの参戦を考慮した本格的なスポーツユニットとして位置付けていた。モータースポーツ用のエンジンには、なによりも基本性能の高さが前提となる。そして初代レガシィに搭載されたターボエンジンは、当時の2リッタークラスとしては世界最強レベルの220psを発生し、他社のスポーツモデルを一気に追い抜く性能を発揮することとなった。

また、スバルはレガシィの発表に先立ち、10万キロ世界速度記録への挑戦を行った。EJ20型ターボエンジンを搭載したレガシィRSは平均時速223.345km/hで10万キロを走り抜き、世界記録を樹立。その優れた性能と耐久・信頼性を実証したのである。

カートピア コースを走るレガシィ。 | SUBARU
10万キロ世界速度記録樹立に向けてバンクを快走するレガシィ。

レガシィは1989年10月、最高出力200psのEJ20型ターボエンジンを搭載したツーリングワゴン GTを追加。ワゴンパッケージ、ターボAT、フルタイム4WDという組み合わせで、荷物が積めるだけではなく、速く、しっかりと走り、心地よいロングドライブが愉しめるという、それまでにないカーライフスタイルを提案。ツーリングワゴン GTは大ヒットし、その後のワゴンブームの先駆けとなった。

カートピア 1989年発売の初代レガシィ ツーリングワゴン GT(EJ20型 水平対向4気筒ターボ)。 | SUBARU
1989年発売の初代レガシィ ツーリングワゴン GT(EJ20型 水平対向4気筒ターボ)。

EJ20型ターボエンジンを搭載したレガシィは、スバル独自のシンメトリカル4WDレイアウトを基本に、高剛性ボディ、先進メカニズムで構成された4WDシステム、そしてドライバーの意思を確実に伝えるハンドリングが結びつき、速さと愉しさを提供するスポーティな4WDという新しい魅力を提案する発端ともなった。

さらに1992年に登場したコンパクトカー、インプレッサのターボモデルWRXによるWRCでの活躍は、スバル車の高性能&スポーツイメージを世界的に確固たるものにした。

カートピア 1992年発売の初代インプレッサ WRX(EJ20型 水平対向4気筒ターボ)。 | SUBARU
1992年発売の初代インプレッサ WRX(EJ20型 水平対向4気筒ターボ)。
カートピア 1996年発売の2代目レガシィ ツーリングワゴン GT-B(EJ20型 水平対向4気筒ターボ)。 | SUBARU
1996年発売の2代目レガシィ ツーリングワゴン GT-B(EJ20型 水平対向4気筒ターボ)。

初代水平対向エンジン開発期から続く「乗る人、使う人のための技術を追求する」というゆるぎない理念と、開発テーマ「高性能・高品質の実現」という想いが込められた第二世代の水平対向エンジン「EJ型」は、その後、フォレスターやエクシーガなどにも搭載され、さまざまな進化を遂げる。

環境規制に対応した改良、燃費向上のための技術革新も進められ、絶え間なく改良・性能向上の道を歩むこととなるのだ。

カートピア 1997年発売の初代フォレスター S/tb(EJ20型 水平対向4気筒ターボ)。 | SUBARU
1997年発売の初代フォレスター S/tb(EJ20型 水平対向4気筒ターボ)。
カートピア 2008年発売のエクシーガ 2.0GT(EJ20型 水平対向4気筒ターボ)。 | SUBARU
2008年発売のエクシーガ 2.0GT(EJ20型 水平対向4気筒ターボ)。

6気筒の水平対向エンジン

第一世代、第二世代ともにメインは4気筒だが、もうひとつのエンジンシリーズとして6気筒の水平対向エンジンが存在する。2ドアクーペのアルシオーネVXに搭載されたのはEA型をベースに2気筒をプラスした「ER型」だった。その後アルシオーネSVXにはEJ型をベースとする「EG型」が開発された。さらに2000年にレガシィ系に追加された6気筒専用設計の「EZ型」へと進化した。EZ型は4気筒ボディに搭載可能な6気筒としてコンパクト化を追求。軽量でコンパクト、低重心、低振動といった水平対向エンジンの優位性を最大限に引き出したエポック的な存在だった。

カートピア 1991年発売のアルシオーネSVX(EG33型 水平対向6気筒)。 | SUBARU
1991年発売のアルシオーネSVX(EG33型 水平対向6気筒)。

【エンジン用語解説】

DOHC:ダブル・オーバーヘッド・カムシャフト。エンジンの各シリンダーヘッドに2本のカムシャフトがある方式。1本が吸気バルブ専用、もう1本が排気バルブ専用となる。

SOHC:シングル・オーバーヘッド・カムシャフト。エンジンの各シリンダーヘッドに1本のカムシャフトがある方式。1本のカムシャフトで吸気バルブと排気バルブの両方の開閉を担う。

オーバースクエア:シリンダーのボア径がストロークよりも大きいエンジンのこと。高回転・高出力化に有利な特性を持つ。

※こちらの記事は2026年春号に掲載した内容です。

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