トピック

WRX開発者インタビュー

【前編】WRX開発責任者が語る、MTに受け継がれる思い


トピック | 2026/10

カートピア青い車体に付いたWRXのエンブレム。右側に赤いテールランプが見える。 | SUBARU

SUBARUが今、MT(マニュアルトランスミッション)モデルを世に送り出す理由とは。歴史と共に受け継がれる“操る愉しさ”と向き合い、磨き上げることで生まれた新たなMTモデルへの思いを、開発責任者が語ります。

プロフィール

カートピア 建物の前に立つ、WRX開発責任者の小林正明。 | SUBARU
小林 正明

商品革新本部 スポーツ車両企画室

PGM(プロジェクトゼネラルマネージャー)

(撮影:田丸 瑞穂)

“操る愉しさ”の原点。
それがSUBARUのMT


WRXの開発責任者を務める小林正明は、「MTは、クルマを“操る愉しさ”そのもの」と語る。

「シフトチェンジやクラッチ操作、アクセルの踏み方一つひとつを自分でコントロールする。その難しさも含めて愉しむことができ、人とクルマが一体になれる。それがMTの魅力です」。

カートピア 椅子に座ってインタビューに答える小林正明。 | SUBARU
(撮影:田丸 瑞穂)

ATやバッテリーEVなどクルマの選択肢が増える一方で、“操ることの原点”ともいえる価値がMTにあると小林は考える。限定車のWRX STI Sport♯、そして新たなMTモデルの開発ではその価値と向き合い、ステアリングの応答性やギヤの操作感など、基本的な操作の一つひとつを磨き抜いた。

「SUBARUが大切にしてきた“操る愉しさ”を、今の技術でもう一度磨き上げ、お客様に届けること。それが新たなWRXの開発の出発点となりました」。

カートピア 濡れた路面を走る青いWRX STI Sport♯。 | SUBARU
2026年4月に限定600台で抽選販売された、STIコンプリートカー「WRX STI Sport♯」。

お客様の期待が、開発者の背中を押してくれた


WRXのMTモデルは、モータースポーツでの活躍などを通じてSUBARUファンにとって長く特別な存在であり続けた。PGMとしてイベントなどでお客様と接する機会の多い小林は、その期待の大きさを何度も肌で感じてきた。

「『なぜMTを出さないんだ』と強く訴えてくるお客様が何人もいらっしゃいました。ファンの皆様の思いを実感しましたし、国内向けWRXにMTモデルを復活させて、その走りの愉しさを届けたいという気持ちは持ち続けていました」。

一方で、現行のWRX S4の発表・販売当時、SUBARUは環境や企業平均燃費に向き合いながら、電動化技術の開発にも取り組まなければならなかった。

その後、様々な開発を積み重ね、バッテリーEVやストロングハイブリッドのラインアップを拡充し、環境対応に取り組んできた。

「このような開発課題を乗り越え、私たちは、MTモデルの開発に着手する機会を得ることが出来ました。そしてお客様の期待に応えたい、という強い気持ちで関係者を巻き込み、プロジェクトチームで検討を始めました」と小林は語る。

「WRXのMTを世に出せる嬉しさと同時に、『このクルマを受け入れてもらえるのだろうか』という不安もありました。そんな中、600台限定のWRX STI Sport♯に9,000件を超えるご応募をいただき、これほど多くのお客様が待っていてくださっていたんだと勇気づけられました。イベントで『ありがとう』と声をかけてくださるお客様もいて、MTの開発を進めてきて良かったと感じました」。

カートピア 東京オートサロンの会場に展示された、青いWRX STI Sport♯ PROTOTYPE。 | SUBARU
2026年1月の東京オートサロンでお披露目された、WRX STI Sport♯ PROTOTYPE。

受け継がれてきた技術を、
今のWRXへ


国内向けWRXにMTモデルが設定されていなかった間も、SUBARU BRZや海外仕様のWRX、さらにはモータースポーツの現場で技術と人材が磨かれ続けてきた。

今回の開発で目指したのは、かつてのWRXの再現ではない。受け継いできた技術を土台に、“今の時代だからできるWRX”を実現する。それが開発陣の目指した姿だ。

カートピア サーキットを走るSUBARU HIGH PERFORMANCE X VersionⅡ。 | SUBARU
スーパー耐久シリーズに参戦している「SUBARU HIGH PERFORMANCE X VersionⅡ」。

受け継いできた技術と人、そして待ち続けてくださったお客様への思い。その積み重ねは、新しいWRXでどのような走りへと結実したのか。

後編では、開発思想と走りへのこだわりをお届けします。

【後編】開発陣が目指した、“今のWRX”だからこそ実現できる走り はこちら

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