WRX開発者インタビュー
【後編】開発陣が目指した、“今のWRX”だからこそ実現できる走り
トピック | 2026/10
新たなMT(マニュアルトランスミッション)モデルで開発陣が目標にしたのは、歴代モデルの再現ではない。開発陣が今届けたい“走りの愉しさ”を実現するに至った背景に迫ります。
【前編】WRX開発責任者が語る、MTに受け継がれる想い はこちら
- 小林 正明
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商品革新本部 スポーツ車両企画室
PGM(プロジェクトゼネラルマネージャー)
(撮影:田丸 瑞穂)
“操る愉しさ”の原点を感じられる一台
「もちろん歴代WRXの良さも再確認しました。ただ、それをそのまま再現するのではなく、今のWRXの良さを活かしながら育てていきたい、という気持ちで開発を進めてきました」。
現在のWRXには、スバルグローバルプラットフォームによる高い剛性など、これまでの進化によって培われた強みがある。そうした持ち味を活かしながら、走りの質感を高めてきた。その先にあるのは、スペックだけでは表せない、走った瞬間に伝わる感覚だ。
「WRXのMTモデルは、ファンの皆様にとって特別な存在ですし、SUBARUを代表するスポーツカーのひとつとして、大事にしたいと思っています。バッテリーEVやハイブリッドなど新たな魅力を持つクルマがあるなかで、原点に立ち返ったこのクルマを通じて、改めて運転する愉しさを感じていただき、愛着を持ってもらいたい。それを形にしたのが今回MTモデルです」。
数字だけでは語れない、
クルマの愉しさを
新たなMTモデルでは、トランスミッションのポテンシャルを活かし、シフト操作やステアリングの応答性を含めたスポーティな操作感を磨き上げた。
今回のMTモデルでは、高出力・大トルクに対応する「TY85型」のトランスミッションを採用し、その特性を活かした走りを追求することで、ドライバーとクルマとの一体感をより高めている。
「トランスミッションによってシフトやステアリングの操作感が変わるので、新しいMTモデルではTY85ならではの操作性を突き詰めました。トランスミッションも含め、それぞれの良さをどう引き出し、クルマ全体としてまとめるかを大切にしています」。
SUBARUのMTは新たな一歩へ
SUBARUは、2020年頃から環境や企業平均燃費への対応を進め、バッテリー式電気自動車は2車種、ストロングハイブリッドは3車種とラインアップを拡充してきた。環境に向き合ったクルマづくりに取り組むなかで、ガソリン車で走りの愉しさを追求するMTモデルを開発する機会を得ることができた。
そして、CEO(最高経営責任者)の大崎篤、CTO(最高技術責任者)の藤貫哲郎からの要請を受け、小林をはじめとする少数精鋭の特別チームによるプロジェクトがスタート。お客様に愉しさを感じていただける新たなMTモデルを短期間で届けることがチームの目的だった。
「開発から数年後に新モデルが出るのでは遅い。皆様にできるだけ早くお届けするため、今回は短期開発にチャレンジしよう!と。この取り組みが実現に至ったのは、今まで培った技術やWRXが元々持っているポテンシャル、そしてモータースポーツなどで鍛え上げた多くの技術資産があったことが大きかったです。SUBARUの技術者たちが積み重ねてきたものがあるからこそ、今、新たなMTモデルをお届けすることができます」。
そして小林は、「MTの愉しさをもっと幅広い世代のお客様にも届けていきたい」と語る。長くMTを待ち続けてくださった方はもちろん、これから初めてMTに触れる人にも、自らクルマを操る愉しさを感じてもらいたいという。
新たなWRXについて小林はこう語る。
「お客様の期待に応えられるクルマができあがりました。これはSUBARUのMTモデルが踏み出す新たな一歩です。これからも魅力的な商品をお届けできるように頑張っていきますので、ぜひご期待ください」。
待ち続けてくださったお客様の期待を受け止め、受け継いできた技術と人の力で、さらに先へ進んでいく。
SUBARUの“操る愉しさ”は、新たなWRXでどのような走りに結実したのか。ぜひ、その登場を楽しみにお待ちください。