目的地の更に先。
待っていたのは、時空を超えた
邂逅体験だった。
予定にはなかったこの景色を
もう少し眺めていよう。
私はそう思った。

2021.11.25 | #2 Niigata Touring /Day2:DRIVE「中魚沼郡・秋山郷/十日町市・棚田」
江戸時代の末期、新潟を訪れその景観を随筆に綴った文人・鈴木牧之は、この『秋山郷』を桃源郷と呼んだ。
新潟県と長野県にまたがる深い山奥。中津川の流れに寄り添うように、小さな集落がぽつりぽつりと点在する。サイドウィンドウを流れ過ぎる風景だけを見ていても、古い習慣を守り続ける生活様式が伝わってくる。 「きっと200年前の旅人も、この景色を眺め、胸を打たれたのだろう」。 
そんな思いが湧き上がる。牧之の訪問から200年が過ぎようとする現在にあって、『秋山郷』は変わらずに桃源郷であり続ける。  
郷には平家の落人伝説が残っているという。深い山に守られ、冬には雪に閉ざされるこの地はたしかに、追撃の手を逃れるのにふさわしそうだ。厳しい自然の中で生き抜くために狩猟文化やこの地ならではの農業が育まれたのも頷ける。風になびくススキのように、自然の流れに逆らうことなく時間を重ねてきた土地なのだろう。 
だから、都会から訪れる旅人にはなおさら、この土地の景色は心に清々しさを与えてくれるのだろう。道は山道だから、ハンドルを切る手は忙しない。それでも『秋山郷』の懐を走り抜けるだけで、心の底に溜まっていた不純物が洗い流されていくような気がする。
新潟県 レヴォーグから秋山郷の自然に触れる | SUBARU グランドツーリングNIPPON
新潟県 秋山郷の木々の中を走るレヴォーグ | SUBARU グランドツーリングNIPPON
「不便はないのですか?」。旅の途上で知り合った男性に尋ねてみた。私の少し失礼な質問に、男性は笑って応えた。
「ここしか知らないからね」。それは言葉通りの意味ではない。買い物には隣町まで出かけるという。農閑期には旅行に行くのが楽しみだという。それでも「ここしか知らない」という。勝手に補完するならそれは「ここで生きていく方法しか知らない」ということなのだろう。諦めではない。この場所で生きる豊かさを身をもって知っているのだ。 
『猿飛橋』から望む山肌は、晩秋には燃えるような紅葉に覆われるのだという。石落としと呼ばれる高さ300m以上の岩の崖は雪解けの頃、雪崩とともに石が転げ落ちるという。今、目の前に見える景色だけではなく、別の季節の眺めまで予感して鳥肌が立つような、圧巻の風景。旅のルートにこの地を加えて本当に良かったと思う。
新潟県 秋山郷の雄大な景色とレヴォーグ | SUBARU グランドツーリングNIPPON

“『秋山郷』の懐を走り抜けるだけで、
心の底に溜まった不純物が
洗い流されていくような気がする”

車は北に進路を取り、やがて十日町市に入る。『秋山郷』が静の絶景だとするならば、こちらは動の絶景だ。ブナ林を走れば、キラキラと木漏れ日が輝く。高い山から見下ろせば、はっきりと活動する町並みが見渡せる。そして目に飛び込んできたのは、十日町市を代表する景観である棚田だ。
今回訪れた時期には、穂を揺らす緑豊かな田園風景はない。なぜなら、あえてそれを刈った後、ご馳走の時期を選んだからだ。新米である。 
しかし棚田は、景勝地ではない。 
これは誰かの生活の場であり、生きる糧である。300年前の先祖が切り開いた田を子孫が守り続ける、伝承の場である。そんな事実を教えてくれたのは、音だった。
新潟県 十日町市を颯爽と走るレヴォーグ | SUBARU グランドツーリングNIPPON
トラクターが棚で区切られた小さな田を小刻みに往復する。曲がりくねったあぜ道を軽トラックが走っていく。それはこの地で繰り返される、人の営みの音。そしてそれらがふと途切れる瞬間、まるでオペラの幕が開く瞬間のように、緊張感のある静寂に包まれるのだ。
ここではエンジン音も異分子だ。何も車でこの地を訪れたことを悔いているのではない。ただ私自身が発する音が、この地に響く美しい和音に混じり、少しだけその響きを変えていることを自覚したのだ。だからせめてその事実を忘れぬよう、窓を開けて走ろうと思った。山の空気は少し冷たい。頬を刺す心地良い冷たさが、この地の思い出を記憶に刻み込んでくれる気がした。
新潟県 十日町市棚田 | SUBARU グランドツーリングNIPPON

“棚田は、景勝地ではない。
これは誰かの生活の場であり、
生きる糧である”

新潟県 十日町市を颯爽と走るレヴォーグ | SUBARU グランドツーリングNIPPON
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