懐かしさ漂う小さなスキー場。
何気なく訪れたこの場所で過ごした
心あたたまる一日。

レヴォーグで旅する長野県の旅

2023.3.24 | #88 Nagano Touring /Day4:EXPERIENCE「聖高原スキー場」

雪に包まれた道路を行く長野の旅。
車の中から眺める銀世界は美しいが、さすがに窓を開けて走れる気温ではない。私はハンドルを握りながら、冷気を頬に受けながら走る自分を夢想した。それは雪と一体になるような、心地よい瞬間に思えた。
「スキー場に行ってみよう」
突然、そう思いついた。ゲレンデで重力に任せて雪の中を進めば、思った通りの体験ができるだろう。
長野にはスキー場が無数にある。
世界的に有名なリゾート、国際大会の会場にもなる難コース。どれも魅力的に思えた。しかし私は地元の方に伺った、ローカルなゲレンデを目指した。私の旅には、それがあっているような気がした。
目指す聖高原は、長野市街から1時間ほどの麻績村にある。
今年は暖冬だというが、標高が上がるにつれて積雪量が目に見えて増えてくる。
千曲市から山に入り、ワインディングの続く山道を行く。視界が山景色に変わり、同時に気持ちも高揚してくる。
やがて、雪に覆われた湖が見えてきた。ここが聖湖だ。
『聖高原スキー場』の看板に従いハンドルを切る。『この先、四輪駆動車のみ』の表示を越えると、目の前はもうゲレンデだった。
本当にゲレンデの目の前まで車で行けることに驚いた。
長野県 聖高原スキー場の駐車場に停まるレヴォーグ(セラミックホワイト)とすぐ奥に隣接するゲレンデ | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

ゲレンデと駐車場がこの距離。スキーを履いたまま車まで行けるほど。

『聖高原スキー場』は、なんとも懐かしい雰囲気だった。
リフトは2人乗りのタイプが1基。案内所を兼ねた受付、レンタル道具の小屋がそれぞれひとつ。音の割れたスピーカーからポップソングが流れている。
私はこのレトロな雰囲気がたちまち好きになった。
綺麗な施設も、広いゲレンデも、速いリフトもない。だが、この旅情を誘うような昔ながらの雰囲気は、即席で作れるものではないだろう。きっと長い時間、多くの人達から愛されたという歴史だけがこのタイプのスキー場を形作るのだ。
長野県 聖高原スキー場に1基だけの2人乗りリフト | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

ペアリフトひとつのみだが、混在はなし。手頃な価格も魅力だ。

長野県 聖高原スキー場の麓から見たゲレンデの様子 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

コースは初心者向け、中級者向け、上級者向けの3種。最大斜度は30度ほど。

私はさっそく道具をレンタルして、リフトに乗り込んだ。
リフトはものの数分で、山頂についた。
そして私は息を呑んだ。そこには、蛇行する千曲川と善光寺平を一望するパノラマの景色が広がっていたのだ。
コースは、その絶景に向かって滑り降りていくような感覚だ。頬に当たる冷気と、足裏に伝わる雪の感覚、そして視界に広がる絶景。予想以上の爽快感だった。斜面は長くないが、私は何度もリフトとゲレンデを往復してその爽快感を愉しんだ。
長野県 聖高原スキー場の頂上から見た善光寺平の眺め | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

頂上から一望する善光寺平の眺め。靄がかかり幻想的な雰囲気だった。

長野県 聖高原スキー場を滑る人たちと奥に見える長野の風景 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ
何度も往復しているうちに、リフトの補助スタッフとすっかり顔なじみになった。通り過ぎる際に交わす二言、三言の会話に、心が温まる。
ストーブを囲む休憩所は、町の公民館のような雰囲気だった。そこでも当然のように何気ない会話が弾む。
スキー場にやってきて、見知らぬ人と会話をするという感覚が新鮮だった。きっと昔はそこかしこでこうした会話が交わされ、交流が生まれていたのだろう。そしてこの『聖高原スキー場』には、その古き良き時代の空気がそのまま残っているのだろう。
私は、この小さなスキー場が時代を越えて人々に愛される理由を垣間見た気がした。
帰り際、駐車場横にある小さな食堂に立ち寄った。
昔ながらの食堂で味わった、たくあんが添えられたカレー。その心に染みるおいしさを、私はいまでもありありと思い出すことができる。
長野県 聖高原スキー場の駐車場横にあるひじり食堂の看板 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

カレー、ラーメン、うどんなどがある食堂も、どこか懐かしい雰囲気。

長野県 ひじり食堂のカレーライス | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

疲れた体と高揚した気持ちに、このシンプルなカレーがじわりと染みた。

DATA

聖高原スキー場
住所:長野県東筑摩郡麻績村5889-1
TEL:0263-67-2133 (聖高原観光案内センター)
URL:http://www.vill.omi.nagano.jp/kanko/hijiri/000236.php
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