雪山、絶景、棚田、サウナ。
密度の濃い時間が流れる
冬の長野のドライブ。

レヴォーグで旅する長野県の旅

2023.3.31 | #91 Nagano Touring /Day7:DRIVE「聖高原」「中牧湖」「姨捨の棚田」

ぽかぽか春の陽気だった日の翌週に、記録的な寒波がやってきた。
不思議な気候に振り回されながら、それでも長野は凛とした冷気に包まれていた。
「近頃は市街地には雪もたいして積もらない」
長野の各地で聞いたそんな言葉。
長野の人にとって、雪はどんな存在なのだろう。積雪による物流の停滞、雪かきや雪下ろしの手間。そんな煩わしさから開放されて清々しているのか。それとも雪のない冬に、一抹の寂しさを感じているのか。
私は雪を探しに長野に向かう。
雪国の生まれではない私にとって、雪は冬を感じるための舞台装置に過ぎないのかもしれない。それでも真っ白な世界を走る幻想に抗えず、私は長野の山間部に向けて、車を走らせる。
長野県 山間部の雪道を走るレヴォーグ(セラミックホワイト)の後ろ姿 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

暖冬でも山間部は道路まで積雪がある。白一色の世界が美しい。

早朝に長野市を出発し、千曲市を越えて、聖山方面へと車を向ける。
聞いていた通り、市街地には雪が少ないが、山道に入ると途端に視界は白一色。スタッドレスタイヤが雪を掴む感覚を頼りに、慎重に車を走らせる。
山道は意外にも通行量が多かった。
道の先にはスキー場やリゾートホテルがあり、山を越えれば安曇野や松本に至る。観光道路であり、生活道路でもあるのだろう。
そして長野の県民性なのか、どの車も安全運転だった。細い道では譲り合い、交差点では「お先にどうぞ」と手で示す。そんな心あたたまるマナーにも支えられ、私は不安なく雪道を進むことができた。
日が高くなると、雪がキラキラと輝いた。
ただ静止しているだけに見えた景色に動きが加わり、気持ちまでワクワクと高ぶってくる。車は聖湖を横目に、聖山の山頂方面を目指す。
しばらく走ると、広い雪の原野が見えた。
地図を確認すると、ここが中牧湖らしい。雪に覆われ湖面はみえないが、空が広く見える心地よい場所だった。周囲には別荘群がみえる。
「雪山を走る」という曖昧な予定のみで走り出したドライブだったが、美しい山道の果てにこの穏やかな景色を見ることができ、内容の濃い半日となった。
長野県 北アルプスの名峰に朝日が登る様子 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

出発後、しばらくすると朝日が登った。北アルプスの名峰が日差しを受ける。

長野県 日が昇った雪道に駐車するレヴォーグ(セラミックホワイト) | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

日が昇ると照り返しが眩しい。サングラスが必須だ。

長野県 曲がりくねった雪道を進むレヴォーグ | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

聖山頂への道は、さらに細く曲がりくねっている。中牧湖までもう少し。

帰り道、往路とは逆回しで、山を下りるごとに雪は減っていく。町並みが見える頃には、日陰に少しだけ白い塊がみえる程度になった。真っ白な山から、カラフルな街へ。色彩の変化が目に楽しい。
市街へ向けて走っていると、窓の外に一面の棚田が見えた。ここが名高い姨捨の棚田だろう。松尾芭蕉が句を詠み、歌川広重が浮世絵に描いた名勝。その美しい棚田の向こうに、千曲川と靄のかかった善光寺平が見える。
ちなみに日本一長い川として知られるのは信濃川だが、その長野県内での呼称が千曲川だ。この目の前の川も、ゆったりと進みながら遠く日本海まで流れ込んでいるのだ。なんと雄大な景色だろう。
長野県 階段状に広がる姨捨の棚田と奥に見える市街地の景色 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

1800枚もの田が階段状に広がる姨捨の棚田。前の週までは一面の雪景色だったという。

ふと、棚田の一角から煙が一筋、上がっているのがみえた。
落ち葉でも燃やしているのだろうか?
減速して車を近づけてみた。煙は棚田の一角に張られたテントの煙突から立ち上がっていた。テントの横にはチェアもあった。どうやらテントサウナのようだ。それにしても、なんと贅沢なサウナだろう! 古から風流人たちを魅了してきた絶景のなか、サウナを体験できるなんて。
駐車場に車を停めて、テントの横にいた男性に声をかけてみた。 森政教さんというこの男性は、棚田の田の保全・耕作者のひとり。この素晴らしい景色を伝え、棚田を守るためのツールとしてサウナを活用したいのだという。
「棚田作業後の疲労回復、気分爽快効果で、まさに“とと農(整う)”です」
と笑う森さん。この日はまだトライアルだったが、特別にサウナを体験させてもらった。
サウナの中は灼熱だった。冷たい外気温との差で、温度がいっそう高く感じる。冷えた体の隅々まで血が巡り、体が温まる。ストーブの温度も、テントの密閉性も素晴らしく、野外のテントサウナであることを忘れさせるほどだった。
長野県 姨捨の棚田で体験できるテントサウナのロウリュ | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ
10分ほど耐えて、外に飛び出す。
冷たい外気に、火照った肌が引き締まる。チェアに腰掛け、棚田を眺めながら外気浴をする。心が解き放たれるような開放感。
「雪が積もっていたら、それが水風呂代わりだったんだけどね」
と森さん。この日は数日前の温かい雨の影響で、雪がすっかり溶けてしまったのだという。それでもこの絶景のなかでのひとときは、最高の贅沢だ。
着替えてからも、しばらく森さんと話をした。
この景色への誇り、守るべき伝統、思い描く未来。聞かせて頂いた素敵な話に、心が温かくなった。
田に水を張る5月、ホタルの舞う初夏、実りの秋、雪景色。どの季節にもそれぞれの美しさがあるという。
春になったら、もう一度来てみよう。雪が溶けた棚田を眺めながら、私は心でそう誓った。
長野県 棚田の一角に設置されたサウナテントと2つのチェア | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

棚田の一角に設置されたサウナテント。本格的な宣伝はこれからはじめるという。

長野県 棚田の所有者でテントサウナを運営する森政教さん | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

棚田の管理の傍ら、この景色を伝えるためにさまざまな取り組みも行う森さん。

DATA

姨捨の棚田
住所:長野県千曲市
TEL:026-273-1111(千曲市棚田保全推進会議)
URL:https://shinshu-tanada.jp/tanada/334/
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