冬の厳しさを乗り越えた夏。
空に向かう木々のエネルギーは
車内にも、私の心にも満ち溢れた。

レヴォーグで旅する北海道の旅

2022.07.01 | #43 Hokkaido Touring /Day1:DRIVE「ニセコパノラマライン」

先も見えないほど、真っ直ぐな道。両脇には見渡す限りの畑と、ときどき白樺の林。全開にした窓から、ひんやりと涼しい空気が流れ込む。その空気を思い切り吸い込むと、自然と顔に笑いが浮かんだ。アクセルを踏み込み過ぎないように注意しながら、車を走らせる。夏のニセコ。なんて爽快な道だろう。
北海道 ニセコ町の田畑の間を駆け抜けるレヴォーグ | SUBARU グランドツーリングNIPPON
新千歳空港からニセコ町に向かう道も、ニセコ周辺の道も、どこも広く、真っ直ぐで爽快な道だった。ニセコにやってきてから私は、ドライブの愉しさを心から満喫していた。さあ、次はどこに出かけよう。そう考えていると、地元住民からニセコパノラマラインのことを教えられた。
名峰・ニセコアンヌプリの懐を走る道道66号線の別名。周囲を囲む山々の自然を間近に感じながら走れる絶好のドライブルートだという。これまでの道が広大な自然のスケール感を愉しむルートだとすれば、こちらは豊かな自然の臨場感を愉しむ道。私はその情報に感謝しつつ、さっそくニセコパノラマラインへと向かった。
ニセコを縦断する道道66号線がニセコアンヌプリ方面へカーブすると、そこがニセコパノラマラインだ。道は少しずつ山道へと変わっていく。ハンドルを動かす手が忙しくなる。広い一本道に慣れていたからか、この曲がりくねった道のドライブが、いっそう面白く感じられる。
道路脇にあった「甘露水」なる湧水を汲んでから、パノラマラインを進む。隣の蘭越町に入ると、緑はいっそう深くなった。
ふと、風に硫黄の匂いが混じっている気がした。窓を開いてみる。進むごとに匂いは強くなる。しばらく走ると、もうもうと湯気が湧き上がる沼があった。匂いの出どころはここらしい。
車を停めて近づいてみると、看板に「大湯沼」とあった。沼底の噴気口から出るガスで加熱された約60度の温泉が、毎分約1000Lも湧き出しているのだという。隣にはその温泉に入れる「蘭越町交流促進センター 雪秩父」なる施設もある。帰り道に立ち寄ってみるのも良いだろう。私は心のメモに書き留めて、車に戻る。
北海道 湧水「甘露水」 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
北海道 「大湯沼」の側に佇むレヴォーグ(セラミックホワイト) | SUBARU グランドツーリングNIPPON
ワインディングの道が続くが、ときどきカーブの先に街や山々が見える。周囲にはときどき残雪も見えるが、高原の木々に茂る葉は、なんと鮮やかな緑色だろう。以前、ニセコで出会った画家が言っていた言葉を思い出す。
「毎年冬の間、雪の下で耐えていた木々のエネルギーが、夏になると上に向かって開放されるの。まるで七転び八起き、人間みたいだね」
短い夏を知るように、太陽に向かって上へ上へと伸びる木々。そのエネルギーが感じられるような光景だった。私は目に優しい鮮やかな緑と車内に満ちる爽やかな森の空気、そして胸躍るワインディングの道を愉しみならが、ニセコパノラマラインを進む。
北海道 ニセコパノラマラインから見たニセコ町の町並み | SUBARU グランドツーリングNIPPON
北海道 ニセコパノラマラインとレヴォーグ(セラミックホワイト) | SUBARU グランドツーリングNIPPON
北海道 上空から見たニセコパノラマライン | SUBARU グランドツーリングNIPPON
道中にカフェロッジを見つけて、車を停めた。
コーヒーを注文しつつ、少し話を伺った。聞けばこの道は年の半分ほどは雪で通行止めになっているとか。冬の間に力を蓄え、夏にエネルギーを開放する。だからこそ、この美しく力強い目の前の緑が生まれるのだろう。
さらにそのスタッフによれば、駐車場から歩いて20分ほどの場所に「神仙沼」なる美しい沼があるという。せっかくなので少し足を伸ばしてみる。
整備された木道を歩くことしばし。到着した「神仙沼」は、話の通り美しい場所だった。水面に真っ青に晴れた空が映っている。しんと静まり返った周囲に、野鳥の鳴き声だけが響いている。偶然、耳にした話に従い訪れた場所で、これほどの絶景に出合えることも、この地の自然の豊かさの象徴なのだろう。
北海道 カフェロッジの駐車場に停まるレヴォーグ(セラミックホワイト) | SUBARU グランドツーリングNIPPON
北海道 整備された木道 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
北海道 水面に真っ青な青空が映る「神仙沼」 | SUBARU グランドツーリングNIPPONN
車に戻り、再びニセコパノラマラインへと走り出す。
やがて道は峠を越えて、下り坂に差し掛かった。先に見えるのは岩内町の街と日本海、右手は積丹半島。美しい山々を眺めた後に、海まで見えるとは、なんと贅沢なドライブルートだろうか。
そしてこれほど素晴らしい道でありながら、道中ほぼ車を見かけなかった。
「前に一台いたらもう渋滞」
と地元住民は冗談めかして言うが、夏のニセコはまさに穴場。スノーリゾートとして賑わう冬から一転、のんびりとしたムードが漂っている。
爽やかな森の空気、力強い自然のエネルギー、まるで独り占めのドライブルート。そのどれもが、訪れてみるまで知らなかったことだ。海に向かう直線の道を走りながら、私は偶然の出合いや発見に満ちたドライブの愉しさを改めて感じていた。
北海道 ニセコ町の一直線に伸びる道路を走るレヴォーグ(セラミックホワイト) | SUBARU グランドツーリングNIPPON
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