宇宙服のようなヘルメットを被り
珊瑚礁の中を散歩する。
海に溶け込むような自然との一体感に
心まで青く、透明になっていく。

2022.08.12 | #53 Ehime Touring /Day3:EXPERIENCE「西海観光船」「シーウォーカー」
愛媛県の海岸線の長さは、全都道府県で5位だという。
面積自体は26位だから、県内のあらゆる場所の間近に海があることが窺える。瀬戸内海の島々、海を渡る海道、県南の長い海岸線。愛媛県をドライブして見てきた、いくつもの海。そんな多彩な海を見るにつけ、もっと近くで海を感じたくなった。
愛媛県は、スキューバダイビングの聖地として人気らしい。しかし未体験の身としては、いきなり体ひとつで海に潜る踏ん切りがつかない。さらに調べてみると、シーウォーカーなるアクティビティが目に止まった。宇宙服のようなヘルメットをかぶり、海中を歩く体験だ。
「海中アクティビティの入門編」
そんな文句に惹かれ、さっそく申し込んでみた。体験場所が専用の船で行く無人島というのも興味深かった。
松山から南下し、宇和島を通り過ぎ、目的地の愛南町へ向かう。フロントガラスの向こうに青い海が見える。開け放った窓から流れ込む空気に、潮の匂いが濃い。爽やかな海の気配が、これからの体験に向けて気分を盛り上げる。
愛媛県 海沿いの山道を走るレヴォーグ | SUBARU グランドツーリングNIPPON
海を感じるドライブの末に、西海観光船の瀬の浜待合所に到着した。港にはこれから乗る船が見える。遠くに見えるのが、目的地の無人島・鹿島だ。受付を済ませて船に乗り込むと、ほどなく出航。穏やかな海の上を、船はゆったりと進む。
15分ほど船に揺られて到着した鹿島は、美しい島だった。桟橋から覗いてみると、澄んだ海の中に泳ぐ魚がはっきりと見える。この界隈は、国定公園に選ばれているため、環境が守られているのだという。
愛媛県 海を走る西海観光船 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
愛媛県 海から見える鹿島の海岸 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
桟橋でウェットスーツに着替え、インストラクターの高橋翔さんにレクチャーを受ける。
「水が怖くても、泳げなくても大丈夫。先日は85歳の方が体験して、愉しんでいかれましたよ」
そう言って緊張をほぐしてくれる高橋さん。しかし、水中の注意事項を話す際は、真剣そのものだった。とくに水圧で圧迫される鼓膜を元に戻す耳抜きと、緊急時のハンドサインは桟橋で繰り返し練習をした。そしていよいよ水中へと移動する。
愛媛県 「シーウォーカー」スキューバダイビングインストラクター高橋翔氏 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
かぶるヘルメットにはホースが繋がり、そこから絶えず空気が注入されている。ただしヘルメットは35kgもあるため、クレーンで支えながら装着する。水中へ向けて設置された階段を、一歩ずつ降りる。完全に水中に降りると、高橋さんが差し出す鉄の手すりを掴みながら歩く。
愛媛県 シーウォーカー用のホースが繋がったヘルメット | SUBARU グランドツーリングNIPPON
愛媛県 シーウォーカー 海に入る瞬間の様子 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
愛媛県 海から見えるシーウォーカーの様子 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
水中は思った以上に水のうねりがあり、ただ歩くだけでもひと苦労だった。しかししばらく歩いているとコツが掴め、ようやく辺りを見回す余裕ができてきた。
そこは、異世界だった。
美しい珊瑚の間を、カラフルな魚が泳ぐ。高橋さんが水中用のホワイトボードを使ってガイドをしてくれる。
『トゲのないクラゲ。触ってOK』
『クマノミです』
『ウツボがいますね』
ボードに書かれる短い言葉のひとつひとつが胸に響く。
『現在、水深5m』
『もう少し進んでみましょう』
見るものすべてが新鮮だ。映像とも水族館とも違う、“伸ばせば手が届く”というリアリティ。水のうねりや水中の不自由さが、自分が海の中にいることを強く意識させる。
愛媛県 水深5mの海底の様子 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
愛媛県 手を振るダイバー | SUBARU グランドツーリングNIPPON
『そろそろ戻りましょう』
ボードにそんな文字が書かれた。あとで聞くと30分近く経っていたというが、体感としてはあっと言う間だった。それほど愉しい時間だった。もっと水の中に居たいと思った。
スタート地点近くまで戻ってきたとき、高橋さんが頭上を指差した。その方向に目を向けると、小魚の大群が通り過ぎていった。1,000や2,000という数ではない。視界を埋めるほどの大群。銀色の小さな体が、斜めに差し込む陽光を受けてキラキラと輝いている。
イルミネーション、都会の夜景、流星群……。いくつかの比喩が浮かんだが、どれもこの眺めには程遠い。なにしろきらめきの数が桁違いなのだ。私は呆然とその大群を眺めていた。
愛媛県 海底を泳ぐキビナゴの大群 | SUBARU グランドツーリングNIPPON
桟橋に上がると高橋さんが、先程の大群の正体を「キビナゴです」と教えてくれた。食卓でもおなじみの身近な魚が、海中で見るとあれほど美しいことに再度驚かされた。
帰りの船が来るまでのしばしの間、高橋さんの話を聞いた。
高橋さんは東京生まれ、東京育ち。7年前に旅行でこの地を訪れ、体験ダイビングをしてこの海に魅了されたのだという。
いかにも海の男という風貌に見えたが「それまで海に入ったこともなかった」という。
高橋さんを魅了したのは、複雑なリアス式海岸に太平洋の水が流れ込んで生まれる、この地独特の水中環境。魚が多く、珊瑚が美しく、変化に富んだ海だという。話を聞くうちに、いかに高橋さんがこの海を愛し、誇っているかが伝わってくる。
高橋さんが所属する西島観光船には、このシーウォーカーのほかに水中が見える観光船もあり、体験ダイビングがあり、さらに本格的なライセンス取得の講習などもあるという。レベルや希望に合わせて、この美しい海の魅力を伝える素晴らしい仕事だ。
帰りの船がやってきて、鹿島を離れた。桟橋では高橋さんとスタッフたちが手を振ってくれた。
駐車場に戻り、車に乗り換えて愛南を後にした。
サイドウィンドウの向こうに、輝く海が見える。来るときににも見た海だが、私にはまるで違う景色に見えた。なぜなら私はすでに、この海の下に宝石のように美しい景色があることを体験として知っているのだから。
愛媛県 堤防から手を振るシーウォーカーのインストラクター | SUBARU グランドツーリングNIPPON

DATA

西海観光船
URL:https://nishiumi.info/
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