雪深い冬の戸隠。
人間文化と豊かな自然が共存する
美しく、心に迫る白い世界。

レヴォーグで旅する長野県の旅

2023.3.17 | #87 Nagano Touring /Day3:EXPERIENCE「戸隠スノーシューガイドツアー」

以前にも戸隠には行ったことがある。
訪れたのは夏だった。
先端が見えぬほど高く伸びた杉、高地特有の凛と澄んだ空気。どこか神聖な雰囲気が漂いつつ、それでいて田舎の素朴で穏やかな雰囲気もあった。確か行列のできるそば屋に並び、土産物屋の店主にお茶をごちそうになりながらすっかり話し込んだのだった。
戸隠という地名を聞いただけで、さまざまな記憶が浮かんできた。
冬の長野を訪れるにあたり戸隠を目指した理由は、そんな懐かしさもあった。そして季節の違いによる情景の変化も愉しみだった。私は期待を胸に、戸隠へと車を向けた。
近年、積雪はだいぶ減ったという話だが、戸隠山を目指していると、周囲は徐々に白い世界に変わっていった。
長野市街から北西へ。曲がりくねり、勾配が急な山道を慎重に走る。
しばらく走っていると、カーナビに「七曲」という地名が表れた。文字通りいくつものヘアピンカーブが連続する道だ。
通過してみるとその道には屋根があり路面の積雪はなかったものの、急峻な坂道にあるカーブの連続に改めてこの地の険しさを思う。
そこからさらにしばし走り、車は戸隠神社の鳥居前に到着した。
長野県 戸隠山へと向かう山道を走るレヴォーグから見える雪の景色 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

近年は雪が少ないといわれるが、山中はやはり豪雪だった。

長野県 レヴォーグのカーナビに表示された7回のヘアピンカーブが連続する山道(七曲) | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

カーナビが示す七曲。文字通り7回のヘアピンカーブが連続する。山道が不安な場合は、幹線道路の浅川ループライン経由を推奨。

冬の戸隠は、夏とはまったく違う様子だった。
雪は少ないと聞いていたが、圧雪されていない場所は膝まで埋まるほどの積雪。白一色に包まれる景色は清潔で、聖地の印象を一層強く感じさせる。夏場はあふれるほどだった観光客が少なく、静けさに包まれているのも良い。
この日私は、戸隠観光協会が主催するスノーシューガイドツアーに申し込んでいた。
ただ神社を参拝するだけならばガイドなしでも可能だ。しかしせっかく訪れた冬の戸隠をより愉しみ、より深く理解するためにはガイドの案内とともに巡るツアーが最適だと思ったのだ。
結論から言うと、その判断は正解だった。
この日のガイドを担当してくれた秦孝之さんは、豊富な知識とユーモアあふれる語り口で、戸隠の歴史と文化をわかりやすく案内してくれた。
長野県 戸隠観光協会が主催するスノーシューガイドツアーで案内中の秦孝之さん | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

ガイドの秦さんは戸隠でイタリアンレストランも経営する。

まずはスノーシューを履いて戸隠神社の参道へ。
秦さんによれば冬期は雪深く雪崩の危険がある奥社と九頭竜社は閉鎖され、その分霊が中社にお祀りされているという。
秦さんは中社に参拝をしてから奥社の入り口である随神門まで歩き、山に入って自然の中を歩くルートを提案してくれた。
「自然だけでなく、文化だけでもない。人が自然と関わりながら生きてきた歴史そのものがこの戸隠なんです」
戸隠の名の由来は、天照大御神が隠れていた天岩戸がこの地に落ちて山になったという伝説から。まさに神話の時代から2000年以上も、山を崇め、山とともに生きてきた地。その歴史を感じるために、山と神社の両方を歩いてみる必要があるのだ。
戸隠そばの由来、新そばの合図だという蕎麦屋の店先に下がった杉玉の話、戸隠神社の伝説、このあたりの動植物。秦さんの話は多岐にわたり、ただ雪道を歩くだけでも、いつまでも飽きることがない。
長野県 雪が深く積もる戸隠神社の中社 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

戸隠神社の中社。境内も雪深いが、スノーシューがなくても歩くことができる。

長野県 深雪のなか約500mにわたり200本以上の巨樹が連なる並木道 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

約500mにわたり、200本以上の巨樹が連なる並木道。

長野県 雪道の奥に見える朱色の随神門と門の前に立つ参拝者 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

随神門。雪の中で朱色がいっそう映え、鮮やかに見えた。

随神門までの参道の雪は参拝者に踏み固められ、スノーシューがなくても歩くことができそうだった。
だが山道に踏み込むと、そこは未踏の深雪。一歩ずつスノーシューで踏み固めながら、ゆっくりと歩みを進める。いつしか視界に人工物は見えなくなり、白い雪と黒い木々だけが織りなす世界に変わった。
秦さんの話は続く。
この地に住み着き、厳しい自然とともに生きた先人たちの話。そして彼らを支えた信仰の話。高潔な人の生きざまが伝わる話に、気持ちが引き締まる思いだった。ただ美しいだけだった雪景色が、深い意味のある眺めに見えてきた。
長野県 スノーシューで随神門に向かうツアーガイドの秦孝之さん | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ
長野県 雪の中をスノーシューで進むツアーガイドの秦孝之さん | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

山の中へ。スノーシューがなければ腰まで埋まるほどの深い雪の中を進む。

長野県 スノーシューで雪を踏みしめている様子 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

スノーシューは、いわゆる“かんじき”。材質は変われど古くから利用されてきた雪国の知恵。

長野県 雪面に残るうさぎの足跡 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

雪面に残るウサギの足跡。どんな状態でどちらに進んでいったかも読み取れるという。

気づけば木々が一本もない開けた場所に出ていた。
秦さんによるとここは池の上だという。いまは表面が凍結して上を歩くことができるが、うっかり氷を踏み抜いてしまえば大事故になる。歩ける氷と不安定な氷の判断は、ガイドとしての経験に基づいているという。
私は池の中心付近まで歩き、周囲を見回してみた。 グラウンドほどもある一面雪の平原。この下に池があることは、言われなければわからなかった。それはたとえば現代生活と歴史の関係のように、目には見えなくても、たしかに存在しているもの。目に見えぬ土台があって、はじめて存在し得るもの。
神聖な空気と豊かな自然、息づく偉大な人間文化。もしかすると戸隠こそが人の歴史の縮図なのかもしれない。冬の白い戸隠は、私にそんな思いをもたらした。
長野県 表面が凍結し雪が積もった小鳥ヶ池の上に立つスノーシューツアーガイドの秦孝之さん | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

小鳥ヶ池と呼ばれる池の上へ。危険があるためガイドの案内なしでは進めない。

長野県 木々が一本もなく一面が雪原となった小鳥ヶ池の様子 | SUBARU グランドツーリングNIPPON | SUBARU | レヴォーグ

一面の雪原。下には豊かな水があり、春になると動物や小鳥たちのオアシスとなる。

DATA

一般社団法人 戸隠観光協会
住所:長野県長野市戸隠3517
TEL:026-254-2888
URL:https://togakushi-21.jp/
長野に関する他の旅紀行も読む

Nagano

レヴォーグ | SUBARU グランドツーリングNIPPON
すべての移動を感動に変えるクルマ
クルマの移動をもっと特別に。
もっとしあわせに。
LEVORG WEB SITE
レヴォーグ | SUBARU グランドツーリングNIPPON
すべての移動を感動に変えるクルマ
クルマの移動をもっと特別に。
もっとしあわせに。
LEVORG WEB SITE
レヴォーグ | SUBARU グランドツーリングNIPPON
すべての移動を
感動に変えるクルマ
クルマの移動をもっと特別に。
もっとしあわせに。
LEVORG WEB SITE